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冒険者テンプレ来たよ

冒険者になった喜びを噛み締めて

ニヤニヤしながら両開きの扉を開けて外に出る


薬草採取ランランラン♪なんて喜んでると


「おっさん、ちょっと待てや!」


冒険者組合の角から怖そうな男達にいきなり囲まれた


「えっと、何か御用ですか?」


モヒカン頭のムキムキ男が


「お前、アガタちゃん泣かしただろ!」

「おっさん、下っ端のくせに生意気なんだよ!」


その他大勢がなんか口々に叫んでる

要するに、受付嬢を泣かせた事に怒ってるんだなとは判った


「俺たちはB級冒険者だ、お前みたいな奴は武器使うのは勿体無い

 鉄拳制裁で態度ってやつを指導してやる

 有り難く受け取れや」


これは大人しく殴られておけやってことかな?

自慢じゃないが俺は暴力関係はからっきしダメなんだが

タダで殴られるのは癪に触るし、痛いの嫌だしどうしようと考えてたら


冒険者組合から飛び出してきた男が


「緊急クエストが出たぞ!

 森に熊がと狼が出たらしい

 至急排除するようにって事だがお前ら行くのか?」


モヒカン頭は、そいつと俺を見比べて


「おっさん、命拾いをしたな

 救急クエストを片付けて来る、帰って来てまだウロチョロしてたら

 半殺しにしてやるからな」


捨て台詞を残しながら、仲間に行くぜと声を掛けて走って行った


ヒャ、緊急クエストのお陰で助かったぜとか思いながら

熊と狼が何故か少し引っかかる

まあ、アイツら森に帰れって言ったから帰ってるだろうし熊、狼違いなんだろうな


気を取り直して採取に向かってる内に熊と狼の事はすっかり頭から消えていた

街の守衛所には大勢の冒険者が集まっていてどうやらこれから

固まって討伐に向かうようだ


来たときの親切な番兵さんが、


「あんたも討伐に行くのかい?

 危険だからやめといた方が良いよ」


と、声をかけてくれる


「いえいえ、私は参加しませんよ

 暴力関係はさっぱりなんで、薬草採取クエストを受けさせて貰ったんで

 近場で採取する予定です」


「ああ、そうなのか。

 間違っても森の中に入ったらダメだよ

 恐ろしい熊や、狼が出るらしいからね」


「了解しました。なんか見たら走って逃げますんで」


と話して、薬草が生えている場所を目指す


20分程度歩いて、森の手前まで来ると

見本の解説書を取り出し周りに生えている草と見比べること30分


そんな草ねえじゃねえか

葉の部分にトゲトゲみたいなのがあって、小さな花が咲いてて

さほどに大きくない草


そんな草ばっかりしかねえよ


それでも探し方が悪いのかと再度気を取り直して探すこと30分


「あ、これかぁ!」


これは解りにくいな、他の草と見分けがつき難い癖に数が少ない

道理でクエストに書いてある通り面倒くさいんだ


1時間かけて、1本ってどうなの?

クエスト的には1本で50広域銅貨らしいけど10本集めないと

1食の食事代程度にしかならないそうだ


日本で言うと、1コイン定食が食えるのが薬草10本となる訳だ

これは困ったぞ、見つけるのに苦労する上数がないと来た

服屋に行ってないから不明だけど、下着やら合わせて買うと

恐らく100本以上は必要になる

100本で5000円程度として、全部は買えないかもしれないなぁ

せめてパンツだけでも買いたいよなぁ、洗い替えも入れて3枚はいるしなぁ

今着てる服なんて、会社支給の作業服だしなぁ

ポケットは多いから便利だけど転生する時に、結構置いて来たんで

タバコとライターくらいしか持ってねえしなぁ


座り込んで服を見ていると何かおかしい

確か転生して20日近くは経ってる

ごろ寝したり、さっき迄膝をついたり寝転んだりして薬草を探してた

草地に膝を突けば当然汚れる

でも汚れが無い


試しに膝をついてみると、確かに土や草の汁がついて汚れる

まあ、当たり前だわなぁ

しかしだ、汚れた部分がゆっくりではあるが消えていく


勝手にクリーニングしてやがるし

何なのこれ便利なのは良いけど臭いとかも取ってるのかな


辺りを見渡して誰もいない事を確認してズボンを下ろす

目的はパンツだ

確かに俺は転生してからうんちはしてない

ションベンは1回した


「これは確認する必要があるな」


意を決してパンツを下げると

あーら、どうした事でしょう汚れなんて何処にもありません

下ろしたてみたい


「つまりだ、服もパンツもいつでも綺麗って事で良いのか?

 でも作業服だしなぁ、普通の服が欲しいよなぁ」

「やっぱ薬草集めて、服買わないとなぁ

 しかしこの調子で薬草採取なんてどんだけかかるんだろ

 なんかうまい手はは無いものか?」


なんて独り言を言いながらパンツとズボンを直していると

後ろの方から


「キュキュ!」


動物の鳴き声がする


振り返ると栗鼠の群れが…

1匹ずつ草持って並んでるんだが?

よく見ると薬草らしい


「む、お前達薬草持って来てくれたの?」


「キュキュ!」


まあ、何言ってるのかは不明だけど薬草を持って来た事は間違いないらしい

1匹ずつが、薬草を手渡しでくれるとこなんて可愛くて仕方ないよな

目なんてキラキラしてるし、頭撫でてやると転がって喜んでるし

てか、栗鼠どもどんだけ居るんだ

薬草を渡して終わった栗鼠は一目散に森へ駆け出し

再度持ってくるを繰り返す

如何やら薬草は500本程度集まったみたいだ

てっ事は25000広域銅貨て事じゃねえか!


「お前ら非常に助かった!しかしお礼が出来んな

 何か欲しいものがあるか?」


理解出来んだろうなぁと思いながら声に出してみると

栗鼠の大群に押し倒されて、寝転んだ所をみっしり囲まれてしまった

身動き取れないんですど如何すれば良いですか?

寄り添いきれない栗鼠が何とかして俺の身体にしがみ付こうとして

飛び付いて来る


これって側から見たら、栗鼠に襲われてる様に見えるのか

俺が栗鼠を襲ってる様に見えるのか

でも栗鼠ども柔らかくて可愛いぜ

子1時間程栗鼠の好きにさせてそろそろ帰らないとなぁなんて考えてた


こっち来てからやたらと動物に好かれる様になったよなぁ

あのネコミミ着けた神様の所為なのかなぁ

でもあいつネコミミ着けてるから栗鼠からすれば天敵じゃねえのかよ

分からんなぁとか思いながらも身体を起こして


「栗鼠たち、ありがとう

 お陰で薬草は集まった、また来るから頼むわ」


そう声掛けると栗鼠の大群は一斉に前足を胸の前に揃えて

頭を上下に振りキュキュと鳴く


可愛いぜぇ、デレっとしながら振り返ると

まだ首振ってやがるし


「んじゃ、またな可愛い栗鼠どもよ」


そう言って俺は街へ帰るのであった


 

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