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006 死再付与/不死救済

「俺のはどんな感じ?」

「拝見してもよろしいでしょうか」

「いいよいいよ、ぜひ見てくれ。何が書いてあるかも分からん」


 彼女に存分に見せてやるとした。

 ボードはよく見ると角へと歪に進む線があり、その他には樹齢のような模様が中心から広がっていた。線と模様で、密集している。


「こ、これほど濃密なボードを見たのは初めてでございます……」

「でもなんか見づらいな」


 電子回路が複雑にボードの中心から広がっているような感じだ。

 これを見せられても、何がなんだか分からない。

 ただ彼女のと比べるとボード全体に模様が広がっていて、確かに濃密。


「本来は本人の魔力によってボードの広がり方も違いますが、シマヅ様のは魔力を得たであろう状態から爆発的にボードも変化しおります」

「魔力を得た状態? あ~……さっき君が何か言ってたけど、もしかして死ぬたびに俺は魔力を得ていたりする?」

「先ほどの光景を見た限りでは、そうかと思われます。それがおそらくシマヅ様に備わっている固有魔法が関係しているかと……ああ、ありましたね。死再付与デッドストック……?」

「なんだそりゃ」

「上級の固有魔法でしょうか、聞いた事もありません」


 失礼します、と彼女は言って心臓に似た模様を指で触れる。

 すると見た事のない文字が浮かび上がった。


「ええっと、シマヅ様が死亡時に魔力が付与され、魔力の器もその分に合わせて大きくなるようです。ボードの角が多いのもこれが関係しているようです。今後また角が増えるかもしれません」

「へー……」

「は、反応が薄いですね……」


 いや、よく分からないもので。


「魔力といってもいっぱい貰ったとしても器が小さければ漏れてしまいます。漏れた分は当然定着しないのですが、シマヅ様の場合は死亡時に魔力が付与されたらその分だけ器も大きくなっていくのです! それでボードが変化しているのでしょうね」

「お得だ」

「お得以上のものですよ! さ、最強になれますよきっと!」

「そんなの目指してないしなあ」

「他には……うぅ、閲覧不可がかけられてますね……」


 彼女が端にある円の模様に触れるも、光るのみで文字は浮かんでこない。

 俺も同じように触れたり突いたりしてみるが同様だった。


「あっ、でも名称は出てきてますね」

「ん? これか?」


 何度か突いてみたら短い単語のようなものだけが出てきた、相変わらず読めないが。ここはハスに任せよう。


不死救済イモータリティー?」

「……名前的に、俺が死ねないのはこれのせいか?」

「おそらくは……。詳細は閲覧ができないので分かりませんね、もはやこれは固有魔法というには、領域を越えております……。神の与えた奇跡の力です……」

「呪いの間違いじゃない?」


 不死救済で死んでも生き返り、その際に死再付与で魔力が付与されて魔力の器も大きくなる――コンボ技か何かかよ。

 妙なものを仕込まれたものだな、いくら神様でも人権というものを尊重して欲しいね。自殺した人間ってのは蔑ろにしていいって姿勢なのか?

 そんな事を思いながら自分のボードを眺めるとした。

 中心のものだけ線は色濃く、外側へと向かう線は途中から色は薄れて行っている。

 蜘蛛の巣のようでもあり、樹齢のようでもあり、はたまたちょっとした迷路みたいなものでもある。

 こんなよく分からない板っきれに自分の将来性がどうこうとか書かれているのか?


「このボードの初期段階はどんなものなんだ?」

「人それぞれですね。線や模様はこれよりも少なく、三角形だったり四角形だったり、私が知っている方では最初から五角形という子もおりました。五角形は今頃一流の訓練所に入って聖騎士を目指しているでしょう」


 聖騎士とは、これまたファンタジーだな。


「角の数は増えたりしないのか?」

「体を兎に角鍛えたり、魔力を蓄える器を鍛えたり、神に祈りを捧げたりすると角の数が増えてボード内にも変化が生じると言われております。私は未だに三角形ですが……」

「そうか……」


 俺の場合は死ぬ度にボードも変化していったのかな。

 だとしたらこれからも変化していくかもしれない。手あたり次第に死ぬ方法を試すつもりだからな。


「私はこれといった特技もないので、角が増える事――昇角と言いますが、昇角するよう神に祈るしかございません」


 鍛えるなり祈るなりすれば昇角するかもしれないとして、俺はそれを熱心に行うかどうか。

 ……一蹴してしまおうかと思ったものの、もしかしたら角を増やしてボードをすごい事にさせれば、死ねるスキルが手に入る可能性も……無きにしもならず?

 だとしても、祈る事だけはやめておこう。

 なんか……あんな神様に祈りたくないし。


「この中心を囲むようにある五つの丸は何?」

「これは基本属性です。赤が火、青が水、緑が風、茶が土、黄が雷、シマヅ様はどれも適性があるようですね」


 中心に触れてみると光の線がそれら五つの玉へと伸びていっていた。

 曰く、適性があるかどうかはこの発光で確認できるらしい。

 全てに適性がある、といっても……だ。


「どうやって魔法は使うんだ?」

「イメージする事と魔力が必要、との事です。私はろくに使えませんが、初めての発動となると訓練が必要でしょう」

「イメージと魔力ねえ?」


 試しに炎を想像して自分の人差し指をじっと見つめてみた。


「うおっ」


 ボンッ――! と一瞬だけ炎が上がった。

 ……成功、とは言い難い気がする。


「おおっ! 魔法名の詠唱無しで発動できるとは、素晴らしいです! 大抵は発動すらしないのですよ」

「訓練してみるか……。魔法についてはまた後で詳しく聞くとするよ」


 自爆できる魔法があるのならば取得してみたい。

 一先ずボードは閉じておく。

 個人情報みたいなものだから他人にはあまり見せないほうがいいんだとか。

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