プロローグ3
「実は、ルーク王子がミランダお嬢様を婚約者にしたいと言ってきかなくて」
挨拶をし終え、椅子に座り直すと、ルーク王子の執事だという男性が本題を話す。その言葉の威力に、私は思考を停止させた。
「ま、まあ!本当ですの!?うちの娘も今婚約者を探していまして……こう見えてうちの娘は……」
私とは対照的に、母は興奮気味に私をアピールしだした。
え、え?マジ?マジで?なんで????
その言葉に疑問しかなく、何を考えているんだとルーク王子を見る。ルーク王子もこちらを見ていたのか、目がぱちりと合う。するとルーク王子は目を逸らし、頬を赤らめた。その威力ったら凄まじい。なにせふわっふわの金色の髪をした10歳もいかない天使のような可愛らしい男の子が愛らしい行動をしたのだから。お姉さんの心はバックバクである。
まさかルーク王子の心を射止めてしまったのかしら、と、人格高校生でありながら心臓がバクバクと音をたてる。コミュ障だけど見た目だけは美しいのだから納得できる。自分で言うのは躊躇するが、ミランダは美少女なのだ。これで『ブスでごめん』なんてコメント付きでSNSに投稿したら炎上間違いなしだ。
話を聞けば、同い年でありながら美しく大人しやかな姿が気に入ったらしい。物は言いようである。
その日はルーク王子の婚約者”候補”になってほしいという話で終わった。
人生なにがあるかわからない。まさか私が候補であれ婚約者になるなんて。
帰りの馬車でこれから起きるシンデレラストーリーに期待しながら、ルンルン気分で自宅へ帰った。