舞台修正7
それからランディは、少しずつではあるがしっかりとした男の子になっていった。もう私の後ろに隠れていた彼の姿はない。それに寂しいな、と思いつつも、本来はこうなのだから、と己に言い聞かせる。
マシューはどうやらマナーや社交ダンスに力を入れているみたいで、家に誘っても断っているようだった。この時期のマシューは原作では語られていなかったが、ミランダの家とはもう関われないようなイベントになっているのだろうか?愛人の息子という設定な分、婚約など大変なのかもしれない。
体調を気遣う文と共に、”女の人を口説くのがマナーよ?”と修正計画の作戦に使う予定だった言葉を書いて手紙を出したが、「間違った知識だから勉強しなおせ馬鹿」という返事が返ってきた。マシューはもう、諦めなければいけないのだろう。
私は私で、本来の性格を演じられるよう、発声練習をし始めた。最初こそ奇怪な目で見られたが、「これは立派な令嬢として振舞う為」と言えば応援してくれるようになった。目標は2週間後のパーティで取り巻き候補の友達を作ることだ。
ちなみにルーク王子からは、月に一回の頻度で手紙が送られてくる。
内容は「ミランダ様に会えず胸が苦しい」「お互い都合が合う日にまた星を見に行こう」「敷地内にあなたの為だけの庭を作りたい」「私の心はあなただけのものだ」という、私に夢中過ぎるだろうと感じるほどの恋文だ。
これがゲームの世界でなければ……いや、ゲームの世界だとしても、私が気づかなければ、嬉し恥ずかしながらベッドの上でのたうち回っていただろう。相手がショタだろうと、色恋に疎い私には嬉しいものだ。
しかし、今はこの恋文を冷めた目で見てしまう。ルーク王子は時期にミランダへの興味を無くし、アンジェリカに恋するようになるのだから仕方ない。




