舞台修正5
ランディに頼み、出て行ったマシューを一緒に探し、何事もなかったようにお茶会を開く。
「き、今日の紅茶、美味しいでしょう?フフ、フフフ……」
先ほどの事を忘れさせるよう、爽やかな会話をしようと笑うも、気味の悪い笑い声が出る。
「そうだね。でもミランダから変な話されなきゃもっと楽しめたかも」
しかしマシューは忘れる気がないようで、不機嫌です、という態度を微塵も隠さず答えた。
「ご、ごめん……」
「……?お姉様?なにか、あった?」
「なっ、なんでもない、よ!大丈夫、大丈夫……!」
「さっきキミのお姉さんに意地悪されたんだよね」
「へぁっ!?ななななにを……!」
そんなこと言われたら可愛いランディに「お姉様、めっ!だよ?」って言われてしまうではないか!そんなの心が耐えられない……!
「お姉様……?ほんと……?」
「ん、んんんんんんん……!」
眉を下げて、不安そうな瞳でこちらをじっと見るランディに嘘なんてつけない。しかし、ほんとだと言えず唸る。
「ははっ、冗談だよ。からかってごめんね、ランディ」
そんな姿を見て笑ったマシューは、そう言い助け船を出してくれた。いや、原因は100%マシューなのだけど。
その後は普通に世間話や他愛ない話をし、マシューが帰るとなると2人で見送った。
「じゃあ、また、ね」
そういい微笑むと、マシューも笑顔で私の耳元に顔を近づけた。
「今日の事、何倍にもしてお返ししてあげるから」
「ん?うん」
「じゃ、またね」
なんのこっちゃ、と思いながら適当に返事をし、マシューが乗った馬車が見えなくなるまで見送った。
「……お姉様、さっきの、なに?」
部屋に帰る途中、さっきの様子を見ていたランディから質問させる。
「うーん、今日出したお菓子より、何倍も凄いお菓子、くれるの、かな?」
マシューのキャラ修正計画の事なんて夢にも思わず、なにかあったかと思い出し、お返しできるとしたら今日出されたクッキーかな?とランディの質問に答える。
「クッキー……!」
ランディは目を輝かせ、次来るのはいつだろう、とマシューの次回の訪問を楽しみにした。
これがあの一匹狼になるのか……。
あまりにもギャップがありすぎて、思わずランディから視線を逸らした。




