舞台修正2
まずはいつでも会えるランディをターゲットにする。
今のランディは、私とマシューに対してだけ、甘えん坊だ。しかしそんな姿は許されない。ランディの本当の姿は誰にも頼らない寡黙な一匹狼なのだから。
「ランディ、あなたはね……、将来、一人でも生きていける、ナイスガイにならなきゃいけないの……」
昨日無視した謝罪をした後、早速本題へと入る。
「言うならば……えっと、そうね。俺は一人で出来る、俺に関わるな。って言えるような子になってほしいの……」
ランディは引き取られたミランダ屋敷で両親に愛されず、ミランダから嫌がらせされ、従者にも冷たくされ、人間不信になった。成人を迎えたら縁を切る為に自分で何でもできるよう練習し、傷つきたくない為に人を遠ざける。
アンジェリカと会った後は、冷たくなった彼の心を溶かされ、「お前を一生守る。絶対に離さない」と抱き着いてキスをするナイスガイになる。
「……やだ」
しかし私の計画は、ぷくーっと柔らかな頬を膨らませたナイスリトルによってすぐに拒否された。
「なっ、なんでぇっ!?」
「お姉様……僕の事、きらい?」
「ままっまままさか!!」
「僕、お姉様と、一緒、いたい」
「わっ私も!そう、だよ!」
「じゃあ、なんで?関わるなって」
グッ、これは完全に私の選んだ言葉が悪い。”関わるなって言えるような”って、これでは関わってほしくないみたいに聞こえるじゃあないか。違う言葉を使うべきだった。
「ランディには、立派に、なってほしいの……」
そう、私の夢への実現の為に……。
「…………やだぁ」
彼は瞳をうるうるとさせ、すがるような愛らしい声でぎゅっと抱き着いた。
「う、うぐぅ……ッ!」
邪な願いで頼んだ私の心は、大ダメージをくらった。




