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何だこのいい人

「さて、探索者ギルドはどこだろう?」


 街へは何度か来ていたが基本的に買い物ばかりで観光なんてできてないからどこに何があるかなんて知らないんだよなぁ。


「あっちかな?」




 結局、つくまでに街中を歩き回ることになったが色々なものを見ることもできたし観光できたと思っておこう。


「探索者登録をお願いします」

「えっと、探索者登録ですか? 依頼ではなく……?」


 やっぱり低魔力である事が問題だろうか……周囲もなんだかざわめいてるし。低魔力で探索者するなんてという声が聞こえてくる。


「何か問題ですか?」

「まずは身分証をお願いします」

「これです」


 僕は魔法で収納しておいた光沢を持った半透明のカードを取り出す。魔力を持っていれば誰でも作ることの出来る不思議なカードで本人証明に使える。


「アル様ですね。ありがとうございました。それではこちらの用紙に記入をお願いします。それから身分証はお返しします」


 身分証にすばやく目を通した受付のお姉さんは用紙とともに身分証を返してくれる。その目は何というか心配そうという目をしている。


「書けました」

「はい、ありがとうございます」


 受け取った用紙に必要事項を書き込んだ僕は受付に用紙を渡す。

 用紙を受け取った受付はすばやくそれに目を通し記入項目に問題ないことを確認すると魔法陣の書かれた台の上に置く。するとそれは形を変えて僕が最初に持っていた身分証のように半透明なカードになる。


「それではこちらが探索者カードとなります。初期登録のみですので魔力値が一定値に達するか講習を受けて合格するまでは1階層のみの探索しか許可されていません」

「はい」


 これが探索者の証。あんまり身分証と変わらないけど僕は探索者になったんだ!


「よろしければこの後食事でも──」

「ねぇ。貴女、よかったら私たちとパーティー組まない?」

「えっと……?」


 カードを受け取って魔法で収納すると受付の声を掻き消すように後ろから声をかけられる。そこにいたのはボイ寄りの容姿をした女だった。後ろにはおそらくパーティーメンバーらしいボイな女たち2人が僕を見ている。


「1階層とはいえ死者がいないわけじゃない。貴女初めてダンジョンに入るんでしょう? よかったらどうかな?」

「……そうですね。おね──」

「その話ちょっと待ってくれるかな?」


 まぁ、僕も死にに行くわけではないのでパーティーメンバーがいることにこしたことはないと了承しようとしたところで声をかけられる。


「誰でしょうか?」

「あぁ、私はシンディー・シェルズ。よろしくね」


 話しかけてきた人のほうを見ればとても美人で高魔力を感じる人だった。うらやましすぎる。


「はい。私はアル・ディティーといいます」

「ちっ! ごめんね。私たちはもう行くわ」

「え?」


 とりあえず、僕が自己紹介をすると先ほどパーティーの誘いをしてくれた人たちが舌打ちをしてこちらに興味をなくしたように去っていった。


「ごめんね。あの子達ちょっと素行がよくなくて……代わりといっては何だけど私とパーティーを組まないか?」

「いいんですか?」

「あぁ、私はソロだし。折角パーティーを組めるチャンスだったのに邪魔をしてしまったからね」


 何だこのいい人。くやしい、こういう人がモテるんだろうなぁ。


「それじゃあ、よろしくお願いします!」


 まぁ、何はともあれ助けてくれるなら助けてもらおう。魔力を増やして立派なタチになるために!



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