俺、シスコンになりました
「姉さん…大丈夫?」
俺は慌てて姉さんを抱き上げる。酷え…手足をしっかり潰して動けなくして慰み者にしてたのか…くそっ!もっと惨たらしく殺ってしまえば良かったな…
「アイン?私は助かったの?」
「助かったんだよ姉さん」
「父さんは?」
「…クソどもに殺られてしまった」
俺がそういうと疲れた様に「そう」と一言だけ零し眠る様に失神した。
…くそっ…くそっくそっくそっくそっくそっくそっ‼︎‼︎姉さん一人…誰ひとりも守れてないじゃねえか…何なんだよ…俺には平穏なんてないのかよ…
俺は取り敢えず姉さんの腕を模して義手を作り嵌めた。と言っても神経も通ってないから動かないけどな。何せ腕とかのインプラントは痛い。義足とかみたいにざっくりしたもの…つっても要は車椅子みたいなのを動かす程度なら痛くはないが、腕とかになるとまずかなり痛い。だから今は姉さんの許可待ちかな?
それから車椅子…と言って蜘蛛みたいな奴だけど…神経接続型だから姉さんの腰に少しインプラントを施して接続できる様にした。
蜘蛛型にしたのは歩きやすいからだ。八足なら安定している。タコでも良かったかな?
ちゃんと排泄や性交も出来る様にその部分はカバーがない。これなら蒸れたりしないから大丈夫か。
「姉さん!」
「アイン?おはよう…って何これ?」
「新しい足。それと腕は動かす為には少し痛い事をしなきゃならないんだけど…」
俺がサクサクと説明すると姉さんは怒らずにまず抱きしめた。え?
「助けてくれてありがとう…本当、アインは可愛くて強いなぁ…」
「姉さん…埋まってる…話出来ない…」
そう、胸がデカイのを忘れて俺を抱きしめるもんだから苦しいの何の…え?勿論息ではなく精神的にだが?
「アインはアインよね?」
「そうだよ…俺はアインだよ?確かに前世はタイキ・ナルカワだったけど…俺は母さんに名付けてもらった…アインだよ」
「うん…えへへ」
所で姉さん?腕はどうするの?と言うか神経の通ったない義手でよく抱きしめられたね…凄いのは姉さんだよ。
「で?アイン…何で私の足、蜘蛛なのかな?」
「え?そっちの方が歩きやすいからだけど?」
「不気味でしょ⁉︎」
「アラクネみたいで神秘的で可愛いよ?」
「はにゃ⁉︎」
突然ボフンと真っ赤になる姉さん。え?どうしたの?
「へ⁉︎か、かかかかかかかかかか可愛い⁉︎私がか⁉︎」
「うん…彼女にしたいくらい可愛い」
「にゃあぁぁぁぁぁぁ⁉︎か、かかかかかかかかかかかかか彼女ぉぉぉぉぉぉぉ⁉︎」
本当にどうしたんだろ?俺としては早くその義手の続きの施工を施したいんだが?
「姉さん、取り敢えず落ち着いて」
「えへへ…うふふ…うふぅ?」
「義手に神経を通したいんだけど…滅茶苦茶痛いけど良い?」
そう聞くと姉さんはクエスチョンマークを浮かべている。ま、普通わからないよな。
「分かりやすく噛み砕いて言うとその腕を元の腕みたいに動かせる様にしようかって事」
「お願い!」
「…凄い痛いんだよ?」
「構わない!それと私のこの蜘蛛のパーツ…アインみたいなパーツに変えて貰える?」
「…俺と同じ体になるの?そっちの方が痛いけど?」
「お願い!耐えるから‼︎」
はぁ?まあそこまで言うなら良いけど…
「じゃあ施術するからそこに寝て…じゃなくて腰出して」
「え?何?まさか私の汚れを払う的な…」
「姉さん?俺達は姉弟だからね?それは近親相姦って言って犯罪だから」
「いけず〜…」
よく見ると手が震えている。全く、強がらなくても良いのに。
「姉さん、目を閉じて」
「?」
目を閉じた姉さんの唇に素早く俺の唇を重ね、すぐに離す。
「な…うななななななななぁぁぁぁぁぁ⁉︎」
「さ、施術するから動かないでね」
「…きゅう……」
今度はボフンではなくボンッと真っ赤になり後ろ向きに倒れる。姉さん…せめて前向きに倒れてくれ…その…色々と見えちゃいけないとこが見えてるから。
悶々としながら俺は姉さんを蜘蛛の義肢から外す。
そして予め作っておいた俺の予備パーツを姉さんサイズに…そして女型にカスタマイズして組み上げる。
次に麻酔を打ち、姉さんの頭を開く。はい?何でこんなこと出来るかって?以前いた所である程度できる様に訓練されたんだよ。
身体は勿論姉さんのクローン体を使う。ん?何で姉さんのクローン体があるかって?
…聞くな。アレだ。つい、愛が暴走して…だ。
で、姉さんの脳を取り出し特殊カーボンのケースに入れて完全に密封させて神経を通す。これで本体の出来上がり。
次にさっきのクローン体の身体を解体する。そして身体の性器とかその辺…まぁ子供産むための機能以外は機械に置き換える。
「んん…」
やべ。姉さんが起きる。後は脳を入れて、武装を接続して…完成!
「姉さん!起きて!完成だよ!」
「んん…ふあ…」
「動いてみて」
「どれど…ぬわぁ⁉︎痛い痛い⁉︎何で⁉︎」
いや、痛いよって言ったよな?
「アイン酷いよ〜…慰めてよ…」
「ほら…出来る限り以前と同じ姿にしておいたよ。因みに身体は新品だから…もうあいつらに汚されたところは残ってないよ」
「⁉︎」
「本当は…もっと早く助けれればよかったんだけどね?ゴメン」
本当、役に立たねえよな。俺。
「違う‼︎アインは役立たずじゃない!」
「でもこうして姉さんの身体を俺みたいな化け物に…」
パチンと音がする。頬がヒリヒリする。
「違う…違う違う違う違う‼︎アインが来なかったら私は死んでいた!でも!アインが来てくれて私はこうして生きている!だから…だからアインは役立たずじゃない‼︎」
「…‼︎」
まさか、姉さんに諭されるとはね…
ここは一つ、俺からも言わせてもらうかな?
「姉さん」
「何?」
涙目で見てくる。一言だけ。俺から伝えたい気持ちなんてこの一言で十分過ぎる。
「好きだよ」
「………ふぁっ⁉︎」