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閑話・生き残り

「何だこの死体は…」

「隊長!広場に首領らしき死体が!」


私…ガノンドルフ王国騎士団団長ロドリゲス・ペッツォーリはとある村の査察に訪れ、とんでも無いものを見ていた。


その村は既に盗賊に襲撃されたのか壊滅していた。しかし、幾つか不可解な点があるのだ。


まず盗賊が全滅しているのにも関わらずその当事者が居ない。


次に、盗賊達が殺した村人の死体は明らかに剣などで切られたりしたありふれた痕跡があるのに対して盗賊達の死体はあり得ないほどに滑らかな切り口だ。しかも物によっては鎧や剣ごと切られている。


そして最も不可解なのは死体の幾つかはまるで内部から弾けたかの様に頭部や身体の彼方此方が弾け飛んでいる。


どんな魔法でもこんな魔法は見たことも聞いたこともない。ましてや文献でもない。


…何なんだいったいこれは。


「隊長!生き残りです!」

「何!何処だ⁉︎」


私は弾かれる様にその部下の元へと走る。そこにはマントに包まれた十四、五歳の少女が血塗れで震えていた。


「どうしたんだ?」

「鋏…」

「鋏?」


鋏?何の事だ?


「アインが降ってきて…剣を抜いてドンドン盗賊を殺した…」

「アイン?…それは何処かの冒険者か?」


しかしそんな冒険者は聞いたことが無い…これだけの腕ならもっと有名だろうに。


「違う…アインは男の子。まだ七歳くらい…でも…明らかにアレは…人を殺し慣れていた…」

「隊長、恐らくは恐怖による見間違いかと…」

「…そのアイン君はどうしたんだ?」


見間違いかどうかは兎も角その人影が何をしたかが気になる。


「…アインは腰から見たことのない武器を取り出して盗賊に向けた。途端に盗賊達の頭が爆発した…」

「⁉︎」

「その後出していた剣を仕舞うと背中から見たことのない剣をふた振りして…それを右腕に一振りくっつけた」

「くっつけた?」

「まるで…まるで鋏だった。それで盗賊の首領らしき人を一太刀で斬って…後ろに構えていた魔法使いみたいな男の首をその鋏で切り落とした…バチンって」


思い出したのか更に震えだす。しかしこれは確実に見間違いではない方が濃厚になってきたな…見間違いにしては情報が正確すぎる。確実に何かしらの奴がいた。


流石にアインという少年ではないだろうが。


「隊長…どうしますか?」

「取り敢えずその少女を保護して王都に帰還…その後そのアイン君とやらを捜索する」

「生きているかも分からないのにですか⁉︎」

「最低限形だけでも示しておかないと示しが付かないだろう?」

「そりゃそうですけど…」


渋々と言った感じで受諾する部下。悪いな本当。


私は馬にまたがると主発させた。さて、どうなるかな?蛇と出るか鬼と出るか…?

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