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アーカイブ・ユウヤと少女

久々のアーカイブ

久々のユウヤの出番

久々の施設の話題です。


 南米。とあるテロ国家と国の激戦区。



 既に闘いは終わり、辺りには戦火の名残が見られる。特殊テロ国家ブレーメンのリーダーであるユウヤは辺りを見渡した。

 半壊した建物。横たわり煙をあげる車両。その近くで倒れる大人達は皆、火器を携帯していた。

 今、彼の後ろには小さな子供達が群れをなしている。その数は30程。いずれも白い服を着せられ、あまり食べ物を与えられていないのか全員が痩せ細っていた。

 この地区に「施設」があるとの情報を入手し、彼は「施設」の子供達を救出すべく動いたのだ。

 駆け寄ってきた仲間達に手早く食料用意の命令を下達し、ユウヤは子供達に呼び掛ける。


「俺たちの船がここから10㎞向こうの海岸に停めてある。君達を救いにきた。着いてきてほしい」


 子供達は疑わしそうにユウヤを見ている。皆、10歳いくかいかないかの歳に見られるが、その中に1人。中学生くらいの年の少女がいた。この中では最年長のようだ。


 「施設」ではその歳になって生きているケースは珍しい。彼女がこの子供達のリーダー格である可能性が高いと踏んだユウヤは少女を呼び出した。

 長い黒髪は腰まで伸び、肌は白く、二重瞼の大きな目は若干垂れぎみでボーッとした顔立ちだ。

 だが少女が近付いてきてユウヤは顔色を変えた。


 少女の首もとが見えたのだ。


 「施設」で産まれた存在は皆、首に識別コードが付与される。


 だが少女にはそれが見られない。


 ユウヤの前に立ち、少女は彼を見上げた。


 流暢な英語で少女は尋ねかける。



「英語か日本語を喋ることは?」

「……ああ。どちらも話せるよ」

「じゃあ日本語でお願いします」



 日本語でそう話す少女に同じく日本語でユウヤは訊いた。



「君はオリジナルか?」

「ううん。私は保有者ホルダーでも新融種ドールでもない。ただ、日本に行こうとあちこち渡り歩いてたらこの施設に捕まってしまったの」

「なぜ捕らわれた? 例えば普通ではありえない不思議な力があるとか……」

「あるよ」


 ユウヤはビクッと身震いした。

 目の前の少女は保有者ホルダーでもないと言うのに能力を持つと言う意味が理解できなかったが、彼女が放つ言葉にはどこか歴戦を戦い抜いた者が持つような重みを感じたのだ。



(何者なんだ…?)


「今はこの子達を早く避難させたいので。避難中の子供達の面倒は私が見てもいいですか?」

「ああ…それはありがたいが」



 もとよりそれをお願いするつもりだった。ユウヤは船にいる仲間に無線で報告した後、少女に尋ねる。



「名は? 日本に住んでいたのか?」



 長い髪をなびかせ、少女は返す。



「サヤ……私は小夜」



 名乗ったとき少女の影が、まるで自分等が操るATCのような鎧を纏っているように見える。そんな錯覚をユウヤは覚えた。



「サヤ……お前は何者だ?」


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