プロローグ・悪友との出逢い
you are friend編になります。
将斗の学校生活や友人を主に描いた作品です。
これまでの話と比べたら短めになる予定………というか、今までが長すぎたんです。どうしてこうなった
俺は喧嘩が好きではない。
小さい頃から空手をやらせてもらってはいたが、きっかけは友達から誘われた………とか、些細なものだったと思う。
いつしか全道の大会で良い成績を収めるようになるくらい強くはなっていたが、どの大会でも俺の家族が応援にくることなんてなかった。
俺の親を一言で表すと、クズ。
母親は毎日のように違う男を連れてきては休みの度に隣の部屋で散々喘ぐし、父親なんて何度変わったかわからない。父親達に共通して言えるのは、いずれもタバコと酒で臭い男というだけ。
今年で11歳になる弟の勇気も、何人目の父親の息子か知らないくらいだ。
だから俺はバイトが終われば家で弟と身を寄せるように毎日を過ごしていた。
勇気は言わないが、アイツの体はアザだらけだ。今の父親はすぐにキレて物を投げつけてくる。家で最も力のない勇気は格好の標的なのだろう。
俺が守らないと。
バイトが長引いてしまい、バスを逃した俺は新小樽駅のある天神町へ歩きで帰らなくてはならなかった。
新小樽駅付近は都市化が進んだ町であるが、その外れは無法地帯。道中の墓場では 花火やら酒会を開く不良がゴロゴロ。
別の道を抜ければ回避できるのだが、弟が心配な俺は一刻も早く帰りたいあまりにその棘道を自ら進んだ。
「なあ、そこの兄ちゃん。面貸してくんね?」
案の定、不良達は俺に絡んできた。なんとか逃げようとするが、奴らは数で囲んできて道を塞ぐ。中には既に鉄パイプを握っている奴すらいた。
金を渡して数発殴らせるまで、彼らはやめないだろう。
喧嘩は嫌いだ。
だがやらないといけないことだって、ある。
俺は迷わず手近な奴の鼻を殴った。歯を折った手応えが拳に伝わってくる。
「ぎゃっ‼」
「テメェッ‼」
奴らは血相を変えた。
ここまで来たら迷う時間もない。鞄を投げ捨て、俺は不良達に単身立ち向かっていった。
殴りかたも避けの見極めかたも、素人に等しい奴等だ。これなら空手の地区予選で当たった他校の新入生の方がまだまし。要は捕まらなければ良いのである。
13人目を殴り倒した時、背後から鉄パイプが降り下ろされた。ちょうど姿勢が崩れそうになっていたので、片腕を犠牲にガードしようとする。
しかしその必要はなかった。鉄パイプの野郎は何者かの飛び蹴りによって顎を打ち抜かれ、白目を向きながらその場に崩れ落ちたのである。
誰だ?身構えながら確かめると、飛び蹴りをかました奴は綺麗に着地してみせた。
俺と同じ学校の制服。鋭いながらも大きな目。
顔に見覚えはあったが、特に目立つような奴ではなかったはず。
「悪い悪い、通りすがりついでにむしゃくしゃしてたんだ」
そいつはそう言って不良達を一瞥した。
「ちょっくら憂さ晴らしさせてくれ」
空手をしても楽しいと思えることはなくなっていた。
部活とバイトばかりで、学校生活を楽しいと思ったことはない。
だけどそいつを見たとき、久しぶりに俺は笑ってしまった。
そいつも学校では特定の誰かとつるんで遊ぶような奴ではないし、目立ったグループにいるわけでもない。
確か帰宅部だったし、学校生活をエンジョイしているようには思えなかった。
一見すれば空手部の俺より華奢だし、たいして喧嘩が強いわけでもないだろう。
だが俺の目の前で不良を完膚なきまでに叩きのめすそいつの姿を見て、俺はある種の新鮮さを覚えていた。
それが橘将斗と俺、鷹山晴樹の出会いだった。
おまけコーナー
五木「さて、始まりましたyou are friend編!出番の予定が全然ない私、五木と山縣さんで紹介します‼」
山縣「(もうツッコまん……)今回は将斗さんの学校生活やらその友人を主にした話らしいですが、テロ国家となんの関係が?」
五木「それは今後のお楽しみ………と言いたいところですが、ここにネタバレのネタ帳がありますので読みたいと………あああっ、山縣さん!ひどい!取り上げなくて良いじゃないですか‼」
山縣「あとがきのコーナーで話が完結したら意味ないだろうが‼」
五木「良いじゃないですか、ちょっとくらい!あ、じゃあ大事なところは読みませんから‼この眼を見て!純粋な私の眼を‼」
山縣「………(信用できん)」
イゴール「邪魔するぞ………って、なにしてンだお前らは……」
山縣「五木がプロローグの段階で話をぶち壊そうとしているので、止めてるんですよ」
五木「良いじゃないですかぁ、ちょっとくらいい!イゴールさん、助けて!出番が少ない予定の私はせめてあとがきで目立ちたいのよ‼」
山縣「十分目立ってる‼はぁ………こんなんじゃこの作品の説明もままならない………」
イゴール「そうだな………
今回はマサトの友人にスポットを当てて暗殺以外の世界で過ごすマサトの様子を描くと同時に、友人との絆を見直す作品となっている。
殺し屋のマサトなりの友達付き合いってのが表現できれば幸い………と、作者が言ってたが」
山縣「よし!そこまで説明してくれてありがとう!五木!もう下がるぞ‼」
五木「いや、………いやあああああ!出番があああああああ」




