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プロローグ

  元号が「文修」となってまだ間もない。しかし世界の情勢はあまりにもスピーディーに変動していた。


  世界各国ではテロ組織による第二次世界同時多発テロが発生。これにより国家としての機能を失った国も発生し、テロリストたちによる非公認国家(通称・テロ国家)が乱立。事態を重く見た国連は保有する軍事力の規制を一部解除し、対テロ国家の武力制圧を図るも、一般市民達を人質に取るテロ国家を前に、大規模な攻撃をしかけることも出来ずにいた。


  一方で悪いことばかり起きたわけでもない。武器の制限を解除したことにより工業系の企業は潤い、器械事業は科学へ大きな貢献を果たす。


  その結果、現代科学は著しく発展し、その恩恵は人類に更なる進化への可能性をもたらした。


  今では医療に使われている器械型細胞『ナノマシン』

  万能細胞とも呼ばれるこのマシンは人体に馴染むことができ、拒否反応を起こさない他、腕全体などの大きな再生こそ不可能だが、手術により切除した臓器の一部、血液などの再生・生産が可能となった。


  『ナノマシン』の再生速度では間に合わないとされる場合に使用される、人工四肢『フランケン』は本物の四肢に近い動作を可能とし、多くの人々に五体満足の恩恵を与え続けている。


  これらの発明によりかつての事故、テロ事件などにより失った体の一部を取り戻したという者も多い。

  あとはテロ国家の脅威がなければ…

  そう思う人の数は星のように多いはずだ。




  文修16年・北海道札幌市すすきの繁華街

  乱立するビルの裏道を縫うように、男は走り回っていた。運び屋の彼はこの土地に精通している。違法薬物・銃器・場合によっては人……

  それらを運ぶ彼はこの北海道に拠点をもち、そして万一の時には身の安全のために逃走のルートたる道を全て頭に叩き込んでいた。

  護身のためにケンカも積んでいたし、逃げ足も速い。とくにビルが並び、複雑化を増すこの札幌で、彼が捕まる要因はなかったはずだ。


  それなのに……



(嘘だろ?‼)



  奴はそんな自分との距離を徐々に、確実に詰めてきた。この狭い、入りくんだ道を迷うことなく。

  まるで自分がこれから行く道を見透かしているかのような。



(いや、待て)



  息が切れて酸欠を起こし気味の重たい頭をフル回転させる。

  道を把握されている。それは確かだろう。奴は自分を見失うことなく追ってきているのだから。

  だがあまりにも不自然すぎる。


  追跡が的確すぎるのだ。

  まるで自分が見張られてるかのような……


  そう考えた刹那、追跡者の手が男の襟首を捕らえた。

  しかし男も修羅場をくぐり抜けた身だ。すぐさま追跡者の懐に後ろ向きのまま飛び込み、背負って投げ飛ばそうとする。

  追跡者の身体は容易く宙に浮いた。浮いてはいるが、その肘は既に男の首に巻き付いており……


  追跡者が地面に落ちる音と、硬い何かが折れる音。それは同時だった。


  男の意識はすぐに途切れたに違いない。首こそはあり得ない方向に曲がっているのに、その顔に苦痛の表情は一切なかった。


  一方、追跡者は男の首から腕を離すなり、地面に打ち付けた背中を労るようにさすりながら、ヨロヨロと起き上がった。

  20にも満たない青少年だ。身長は170丁度くらい。かなりの距離を走ったのに汗ひとつかいていない。


  青少年は大きく息を吐き出すと、携帯型の通信機を取り出した。



「ターゲットの排除を完了。迎えの車を頼む」



  通信機からは老いた男の声が聴こえる。



『早いな……よくやった』

「天才ハッカーが常時追跡してくれたからだよ」



  控えめな言葉。


  そう、この複雑な裏道で迷うことなく追跡できたのは、監視カメラやGPSを乗っ取って常に男の進む道を把握した存在がいたからだ。おそらく今頃、カメラの映像記録を消しているに違いない。男を追跡する映像が残っていたら後々面倒だ。



『………5分後に待ち合わせ場所に車が到着する……それに乗れ』



  通信はそれで途切れた。

  追跡者は足元に転がる男を見下ろす。


  彼は北海道の港を利用して、様々な物の密輸に手を染めていた。そのなかにはテロ国家への人材派遣や工作員の密入国者といった者の手引きもあったと聞いている。


  追跡者は男に侮蔑と憎悪のこもった眼差しを向けた後、イルミネーションで光る繁華街へと歩き始めた。その姿はたちまちにして、すすきのの人混みへと溶け込んでしまった。

ただいま続きを執筆中です。

初めての作品につき文脈もおかしく、また、今後の掲載にも時間をいただく形になりますが、生暖かく見守ってくださると幸いです。

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