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掌編小説集2 (51話~100話)

見える

作者: 蹴沢缶九郎

「きゃー!! ちょっとあっち行って!! こっち来ないでってばー!! やめてよもう!! あっち行ってってばー!!」


まるで虫を追い払うかの様に、顔の前で手をバタバタ振り、喚き叫ぶ女性が一人。


周囲の人間は、そんな女性に好奇の視線を向け、一定の距離をあける。


周りにかまわず、女性は尚も手をバタつかせ、叫び続けた…。


傍から見れば、気でも違えたかと思うかもしれない女性の行動だが、細菌やウイルスの存在が明確に見えてしまう視力100.0の女性の苦しみを一体誰が理解出来よう…。

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