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プロローグ

アマンレイン城の城下町には冒険者登録所が存在していた。

この施設は何処どこにでも作れるというわけではなく国の許可が必要だ。

さらに条件として、近郊には初心者を紹介できるモンスターが棲息している場所があること。

モンスターならば最弱と言われるスライムなどが相応しいだろう。

大人が本気で蹴飛ばしたなら倒せてしまうだろうというスライムがいて、

さらに町に近づくなど徘徊をしない洞窟ひとところとどまることも重要で、その条件を満たしていたのが「アマンレインの洞窟」であった。


昔々、薪拾たきぎひろいの青年がうっかり森の奥に入り込み、そこでモンスターの棲息する洞窟を発見する。青年はあわてて逃げ帰り、村では縄張りを荒らしたことへの反撃を恐れ冒険者が雇われた。彼らは徹底的に調査して討伐も行われた。

その結果、村は洞窟を縄張りにしているのはモンスターの中でも最弱のスライムで、しかも縄張りに入り込んだ後も何も危害は加えてこないという報告を受けて、安心を取り戻した。

これが300年前の出来事。アマンレインがまだ村だった頃の記憶。


しかし洞窟から隠された財宝が出るということも無かったので高額で冒険者を雇用した村では別の期待もハズレてしまう。

また元の数まで沸き続けるスライムたちを倒し続けてもドロップアイテムがあるのはまれだったので、得られる鉱石が集まってもせいぜい串に刺さった肉と野菜の食べもの1本が買えればいい程度だったから、村は大いに落胆した。


アマンレインの洞窟に危険はないが、代わりに何の価値も無かった。

そして通常であれば攻略が完了したダンジョンは封印される。


しかし村人の落胆を知った冒険者は、国にこの一件を報告しろと助言した。

そうすることで洞窟を放置したまま活用する道も選択できるという。

村は彼らの言葉に従うと、洞窟を利用することで冒険者を登録できる施設を作る許可を得ることができた。


この登録所で最初の冒険者となったのは村の青年たちだったそうだ。

彼らがアマンレインの洞窟でスライムを蹴散らして冒険者としての自信を手に入れて旅立った後で、やがて噂を聞きつけた周辺の冒険に憧れる者たちが登録所に集まり始める。


世界中への冒険に期待を寄せて外から訪れて冒険者となった彼らは、洞窟の攻略を予約して村に滞在する。そこで落ちていく宿泊費や微々たる資源を糧として村では移住者があり、商人の出入りも頻繁となり出店があり100年が過ぎて人口が数十倍となった。そして今から35年前には城が完成してアマンレインの城下町となっていた。


しかしアマンレインの洞窟には300年目、唐突な「終了のお知らせ」が向こうからやって来ようとしていた・・・。




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