剣と魔法と銃その二
続編希望なのでまた書きました。
ピッチ草原、その草原は主に魔物の兎が多数生息している。この兎、何度討伐をしても次の日には前日と同数又は増えているのだ。
それは他の魔物も通用する。所謂繁殖力が凄いのだ。ぶっちゃけてパネぇ。
ピッチ草原は兎が大半でたまに狐がいる。狐はあまり食えた物じゃないが毛皮はかなり売れる(一匹五セン)ので三日に一回のペースで討伐している。
そうこうしている内に兎が視界に入ってきた。俺はゆっくりと三八式歩兵銃を構えて兎に照準を合わせる。
対する兎は隠れている俺に気付かず、草をムシャムシャと食べている。俺は兎の頭に狙いを定めて……引き金を引いた。
三八式の六.五ミリ弾は狙い通りに兎の頭に命中した。兎は何が起きたか分からないだろう。分からないまま絶命した。
俺は擬装していた毛布を捲り、穴から出てピクピクと痙攣している兎をナイフで解体する。
「これで十五匹目っと。弾丸は……あったあった」
兎の付近を探していると真新しい六.五ミリ弾を見つけて弾薬盒に入れる。弾丸は兎の胃の中にあったり、その付近に落ちていたりする。
俺は解体した兎を擬装した穴の中に入れる。穴は深さ一.五メートル、幅二メートルくらいの簡易な穴だがクエストするには最適だ。
穴に隠れて兎や狐を狙撃する……狩猟みたいだが討伐クエストだからまぁ気にするな。
「……そろそろ日が暮れるな」
遠くで烏が鳴いている。早く街なね戻らないと門が閉じられるし野宿は御断りだな。
「帰るか」
解体した兎を袋の中に入れて周囲を警戒しながら穴から出て街に帰るのであった。
「御苦労さん。今日は五十匹か、エンにするかい?」
「そうしてくれ」
「なら貯金に回すようにしておく。薬草十八キールで五十リン。センにするかい?」
「うむ」
「分かった。なら五センだ」
「ありがとう」
「また頼むよ」
「あ、それとレベルが上がってEランクに申請出来るが……」
「……申請は何時でもいけるだろ?」
「うむ」
「……なら今は良い。まだ暫く兎を討伐するつもりだ」
「そうか……ならそのままにしておこう」
受付の青年にそう言ってギルドを後にする……がギルドの入口に複数の人物がいた。
「昨日……ぶりですねミカサさん」
「何の用ですかシスターエリカさん?」
「何の用だと貴様?」
シスターエリカの横にいた女騎士が俺を睨んでくる。
「本当に……本当に私を助けてくれたのでは無いのですか?」
「それは先日話しましたよ? あの時、自分はピッチ草原でもホルスト森とは反対側にいました」
シスターエリカを助けた翌日からシスターエリカ達に付きまとわれていた。他の奴等にしてみれば羨ましいかもしれない。
シスターエリカはとあるPTを組んでいる。そのPTはパーリィの中でも精鋭のPTなのだ。
リーダーは先程俺を睨んできた女騎士――オウカ・フォン・ヴァルケイトだ。他にも女戦士や女僧侶もいる。
「……分かりました。今日のところはこれで失礼します」
シスターエリカはそう言って俺に頭を下げてPT達と何処かに行った。
「あんたも大変だねぇ」
「……ハルーネか」
俺に声をかけてきたのはソロで活動している同期のハルーネだ。カネにせこい女性でPT組からは遠慮されがちだか俺はそれなりに普通に接している。ちなみにDランクでシーフだ。シーフなせいか装備が軽装であり短剣をよく魔物に投げている。
「臨時PTはどうした?」
「いやぁ、カルナクの遺跡で落ちてる硬貨を拾っていたらゴーレムに出くわしてね。皆をほっぽいて尻尾巻いたら死ねと言われて追い出されたわ」
「それはお前が悪いわ」
「アッハッハッハ。で、カネが無いから暫く臨時PT組んで」
「はいはい……七・三か?」
「六・四で良いよ」
「分かった。ならピッチ草原に行こうか」
俺はシーフのハルーネを連れてピッチ草原に向かった。
「狐十二匹にウサギ六十か」
「大量ね。暫くはピッチ草原をメインにするのも良いわね」
昼過ぎ、ピッチ草原に作った穴の中で俺とハルーネは休憩していた。
「それにしてもよくこんな穴を作ったね?」
「俺は魔法も使えんし剣もからっきしだからな。奇襲して討伐するしかないからな」
「ふーん……そういや肩に担いでいるのは何なの?」
「ん、まぁ弓みたいなもんだな」
金目にはならん事を言っておかんとな……まぁ何かは理解出来んと思うしな。
「そうなの。あ、そういやシスターエリカのPT、カラスト森に行ったらしいよ」
「ホルスト森の反対側の森だな」
「カラスト森にはオークがいるしそれの討伐かもね」
「オークはBランクの討伐クエストだな」
オークは単体だとEランクでも討伐出来るが、集団で来たらランクは高くなる。
「ま、俺達には関係ないな」
「それもそう「―――ッ!!」え?」
……今のは……鳴き声か?
「ハルーネ」
「……今のはオークの鳴き声だよ。一回討伐した事あるから分かる」
「……カラスト森の方角だな」
俺はゆっくりとカラスト森の方角を見ると、複数のオークが闊歩していた。しかし様子が可笑しく何かに追われているような雰囲気だった。
「……ハルーネ、確かカラスト森にはシスターエリカのPTが討伐クエストで入ってたな?」
「そうだけど……まさか?」
「最悪な事態じゃないと思う。恐らく逃げてきたんだろう」
「……心配して損したわ。なら隠れておく?」
「そうだな……ってあれは……」
その時、カラスト森の中からシスターエリカのPTと金色のオークが出てきた。シスターエリカ達はボロボロになっている。
「あれってキングオークだよ!? オークより上位のオークだよ」
「……これは不味いな」
正直、今の展開だと前の状況と同じく薄い本になるのは必須だなこりゃ。
「シスターエリカのPTって強いのか? それとも弱いのか?」
「あのPTって前衛二人、後衛二人の筈だよ」
「……全然大丈夫なのにあれかよ……」
「キングオークに出会ったのが運の悪い事だよ」
俺は溜め息を吐きながら三八式に弾丸を装填する。
「それ……弓じゃないの?」
「……ハルーネ、この事は黙ってろよ?」
俺はハルーネに釘を指して三八式を構えて地面に横たわっている女騎士を馬乗りで殴っているキングオークに照準を合わせる。
「距離……約二百」
殴っていたキングオークは女騎士の首を掴んだ瞬間、引き金を引いた。
『!?』
六.五ミリ弾はキングオークの額に命中してキングオークは命中の衝撃で後ろに倒れた。
『………』
オークやシスターエリカ達は何が起きたか分からなかった表情をしている。ただ違うのは気絶している女騎士とピクピクと痙攣しているキングオークである。
俺は空薬莢を外に出さしてハンドルを戻して呆然としているオークの頭に照準して引き金を引く。
六.五ミリ弾は確実にオークの命を刈り取っていく。
『―――ッ!!』
次々と倒れていくオークに生き残りのオークは慌ててカラスト森に逃げていく。
「……ねぇミカサ、それって……」
「今日見た事は忘れてくれハルーネ」
ハルーネが何かを言う前に俺はそう言う。
「……分かったよ(今は聞かないでおくよ)。とりあえずシスター達を助けよう」
「……あぁ」
何か引っ掛かるが俺とハルーネはシスター達の元へ行くのであった。
おまけーね
「貴方しかいませんよねミカサさん?」
「……何の事でしょうか?」
「……礼を言わせてくれ」
「頼みますから胸を押し付けないで下さい」
「(面白そうだから暫く眺めてよっと♪)」
翌日のギルドのとある机で繰り広げられた光景であった。
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