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終
霊獣の群れを引き連れた母は、見晴らしの良い小高い丘の上に立っていた。
「来てしまったのですね」
母は前方を見据えたまま言った。
眼下には平原が広がっていた。
わが国の軍と大国の軍が睨み合っていた。
どう好意的に見積もっても、わが国に勝ち目はないのは一目瞭然だった。
「やはり、そなたも運命には逆らえなかったのですね」
母はゆっくりと振り向いた。
母の顔を見た瞬間、私はすべてを悟った。
私がここに来なければ、母はこの戦に加わるつもりがなかったのだ。
しかし私はここにきてしまった。
ここに来ざるをえなかった。
それが、わが一族の宿命なのだ。
前方が騒がしい。
どうやら戦闘がはじまったようだ。
母と私は霊獣に乗った。
母の霊獣が遠吠えをはじめた。
他の霊獣も呼応して吠える。
霊獣の毛が黄金色に輝きだす。
私たちは金色の光の渦となって、敵陣へと突撃した。




