22/30
無気力
木々の葉が色づき、朝晩の冷え込みが厳しくなってきた。
冬が近づいていた。
冬になれば食料を手に入れることが困難になる。
くわえて、この辺りは雪深い地域だ。
冬になる前に、身の振り方を決めなければならない。
どこかの街で冬を越すか、この国を離れて南の温暖な地域に移動するか。
早く決めなくてはいけないとはわかっていた。
しかし、私は決めあぐねていた。
まだ私の中には捨てきれないモノが渦巻いていた。
決めねば、決めねばと考えているうちに、木々の葉は落ち、霜が降りるようになった。
空から、白いものが降ってきた。
タイムリミットだ。
決めなくてはならい。
そうだ、この国を出よう。
この国を出て、南へ行くのだ。
この国との、過去の私との縁を切るのだ。
私は霊獣に乗った。




