副隊長の勘違い
応接室から、第二王子とお嬢様が出てきた。
副隊長は目で尋ねた。
第二王子は目を伏せた。
どうやら不首尾だったらしい。
王太子の行方は分からなかったようだ。
これでふりだしに戻ってしまった。
霊獣のスピードは千里の馬もはるかに上回るとも言われている。
今からこの周辺をしらみつぶしに探したとしても無駄であろう。
もう一度、一から練り直さなくてはならないのだ。
副隊長は軽くため息をついた。
「もう少し話を聞きたかったな」
帰り際、第二王子がもらした一言を、副隊長は聞き逃さなかった。
第二王子はそのまま何事もなかったように、ひらりと馬に飛び乗った。
城へと向かう道すがら、副隊長は先ほどの第二王子の言葉を考えてみた。
今日の出来事を順番に思い出していく。
ふと、ひっかかった。
第二王子とお嬢様が応接室から出てきたときのことだ。
副隊長は王太子の行方の方に気をとられていたので気にもとめてなかった。
が、よく思い出してみると、何かがひっかかる。
あの時の二人の様子は、どことなくおかしかった。
そうだ。
そういうことだったのか。
ここは自分が一肌脱ぐべきだ。
副隊長は意気揚々と城へと向かった。




