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凛の見るセカイ  作者: 猫ジャラシ
第1話 その眼にうつる未来は
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二人との会話

今回で主人公の名前発覚。隠していたわけではないけど。以降更新が遅くなるかもしれません。それでも追いかけてくれたら嬉しいです。

 早矢さんから事件の話を聞いた次の日、柊凛について調べることにした僕は手始めにクラスメイトに彼女について知っていることがないか聞いて回った。

 結果から言うと、失敗した。よく考えれば分かることだが、僕は昨日まで彼女の名前すら知らなかったのだ。僕と同じ時間しか彼女と接していないであろうクラスメイト達に今の僕に役立つ情報を知る人がいるとは考えにくい。もちろん名前を知っている人なら何人かいたがその先まで知っている人は皆無だった。

 いや、皆無ではない。1つだけ面白い話を聞くことができた。彼女、柊凛と同じ中学出身の生徒が別のクラスにいるらしいということだ。彼なら彼女について何か知っているかもしれない。


 吉川龍太郎。それが柊凛と同じ中学出身という生徒の名だ。サッカー部らしい。彼から柊凛についての情報を聞くために早速その日の放課後、彼のクラスに行くことにした。

 「吉川龍太郎くんはいますか?」彼のクラスに行き、1番近くにいた女子生徒に声をかける。

 「ああ、吉川くんなら…」と言いながら彼女は教室の後ろで3人ほどで話している男子生徒の1人を指差す。どうやら彼が吉川龍太郎らしい。中々のイケメンだ。

 僕はありがとうと声をかけ、吉川君の方へ歩いていく。

 「吉川龍太郎くん、ですよね」と僕は3人組に声をかけた。

 「そうだけど…君は?」

 「僕は上坂夕夜。えーっと…」しまった。話を聞く口実を作るのを忘れた。

 「柊凛のクラスメイトなんだ。彼女について少し話を聞きたいんだけど。君、同じ中学出身なんだろ?」しょうがないのである程度正直に話すことにする。下手な嘘をついて後でややこしくなるより良いだろう。

 彼はしばらく考え込むと、「良いよ」と言いながら一緒にいた2人に先に行っておいてくれと断りを入れた。どうやら同じ部活の友達らしい。

 「どこで話す?」彼が聞く。

 「周りに人がいないところがいいかな。屋上とかどうだろう」


 「それで。聞きたいことって?」屋上について開口1番彼は僕にこう聞いてきた。心なしかイライラしているように見える。

 「彼女が僕のクラスで孤立しているのは知ってる?彼女が誰とも話さなかったのが原因なんだけど。その理由を知りたいんだ」

 「なぜ知りたがる?」

 「僕も君や彼女と同じ越境入学だからね。彼女が孤立するのは見ていられないんだ。だから、彼女をクラスに馴染ませてあげたいんだ」真実の中に少しの嘘を混ぜる。こうすれば後からつっこまれる心配は少ない。クラスに馴染ませてあげたいのはホントだしね。

 彼はしばらく考えていたようだが

 「(あいつ)が孤立しているのは知ってし、気にはなってた。…協力しよう」


 吉川からいくつかの話を聞いたが、残念ながら今回の事件に直接関係することは聞くことができなかった。まあ当たり前か。クラスに馴染ませたいと言って話を聞いているのだ。いきなり殺人事件の話をぶっ込む訳にもいかない。

 取り敢えず彼から聞いたことを纏めてみると、柊はK県の田舎町出身、その街には高校が1校しか無いため勉強するために町から出るのはそんなに珍しいことではないらしい。中学での様子は至って普通で友達も多く学校の成績もそこそこ良かった。

 「そーいや、3年の10月ぐらいから急に学校での様子が変わったな」と彼。

 「どんな風に変わったの?」

 「急に友達付き合いが悪くなって放課後も一人でさっさと帰るようになった」それまでは寄り道することが多かったのにと続ける。なるほど。去年の10月あたりに何かあったのかもしれない。

 「その頃に何か変わったことはなかった?」

 「いや…特に。直後に凛が越境を決めたことぐらいだ。それまでは地元の高校に行くって言ってたのに」

 …え、その頃に越境を決めた?いやおかしくはない。だがしかし、僕は何か引っかかった。何故だ?なぜそんなことに引っかかる?

 「おい、どーした?もういいのか?」

 吉川の声が聞こえてくる。それによって僕の意識が表在へと帰ってくる。

 「え…ああ、そうだな。今日のところは…」歯切れの悪いと自分でも自覚できる返事を返す。

 「今日のところは…か。まあ良いだろう。また何かあったらいつでも来てくれ」吉川はそう言いながら校舎に入っていった。このまま部活に行くのだろう。僕はといえばしばらくそこから動けなかった。何か衝撃の事実が分かった訳でもないのに。

 考えても仕方がない。少し疲れたと考えよう。そう楽観的に現状を捉えた僕はしばらくして立ち上がり次の行動を決める。

 ある程度分かっていたことだが、ここから先に進むには本人に話を聞くしかないだろう。


 僕は柊凛に話を聞くことにした。ということで柊凛を探す…必要はなかった。屋上から校舎に戻るとすぐそばに柊凛がいたからだ。もしかして聞いてたのか?

 「あの…柊さん、少し話いいかな?」早速僕は彼女に話しかける。

 「……」

 …ガン無視かよ。どこかに行くわけではないから聞いてはいるんだろうけど。

 「先週の金曜日の深夜に君を見たっていう人がいるんだけど、殺人現場(・・・・)で」変化球ではなく直球で勝負してみる。決して上手い変化球が思いつかなかったわけではない。

 「…ッ」

 直球が成功したらしい。明らかに柊の様子が変わった。

 「なんであんな所にいたのかなあって思ってさ。もしかして、学校で喋らないのと何か関係あるの?」

 「何の話かしら。全く意味が分からないわ。他に用が無いなら失礼するわね」

 そう言いながら彼女は足早に去っていった。こちらの返事も聞かず。その時僕はというと

 「初めて彼女の声を聞いた。透き通るいい声じゃん」などというこの状況に全くふさわしくない台詞を吐いていた。


 さて、柊凛と会話(?)をして分かったことがある。彼女が犯人かどうかは別にして今回の事件にかなり深く関わっているであろうということだ。

 明日以降、もう一度彼女に話をする必要があるだろう。

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