映画のラストシーン
なし
5分くらいしただろうか、突然、目の前が急にひらける
なんのことはない、森を少し行けばすぐにグランドだったのだ
スタートした時の道とは反対に出たが
おいおいおいどんぐりを見る
どんぐり、いやあーうちらも迷ったんだよとぼやいているが
あらぬ方を向く、嘘がわかりやすい人だ
二人っきりにする作戦だったのかはよくわからん
はるか向こうのグランドに遠くで一人佇む人がいる
背が高いすらりとした人
オハラだ
うちらの姿を見て、すごく大きく手を振る、何度も何度も手を振る
本当に一生懸命手を振っている
泣いているんじゃないか
だいぶ近づいたら、オハラが向こうから駆けだしてきた
そんなに急いで転ぶなよすごい勢いだ
息せききってやってきた
はっちゃきのたんかに駆け寄る
はっちゃき、ニコッと笑って大丈夫
オハラも力がぬけたようだ肩でわかった
私の方を見るよかった
目でそう合図しているようだ、何もしゃべらない
でもその目にきらりと光るものがあったのは見間違いだったか
たんかと並行して歩きながらはちゃきに言葉をかけている
そのまま医務室に行くらしい
お医者さんに見てもらうのだろう
よかった、あとは二人にまかせよう
どんぐりと並んで見送る
いいムードだ
よくある映画の最後のシーン
ここで、主人公はいつもかっこいい氣のきったことを
ぼそっと言う
おれもなんかどんぐりに言ってやろうと考える
しばし沈黙、俺が言おうとする
そこへ、先に口をはさむどんぐり一言
メシだ
なし