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くだらない話

なし

なんやかんやで15時少し過ぎにはだいたいのところをまわり後はゴールという時。

突然、それは起こった。

先頭を行くどんぐり続いて歩くはっちゃき、私、オハラ。

「はっちゃき、もし宝くじ当たったら何につかう。」

しゃべり疲れて私はそんな質問をした。オハラは意外にあまりしゃべらず

聞いているのみ

会話は常に私とはっちゃき、今までの会話の延長でだれながら行く。

はっちゃき「ばっかじゃない」と笑いながら振り返ろうとして

氣をとられそのまま足がもつれて尻餅をつくいたああああああい。

悲鳴に近い、驚いてどんぐり振り返る

見れば何のことはない下り道、だが、大きな木の根が道の中央をはしっていた

あまりのくだらない質問に力がぬけ、そこに足をとられたらしい

明るいはっちゃきが黙り込む懸命に大丈夫を繰り返すが顔も青い

オハラがすぐに駆け寄り足を見る

まったくだ、しょうもない質問に色をなくした

続いてどんぐり冷静にピンクの線が何本もはいったブランドの靴をぬがせ

靴下もぬがせて足をさわって痛みを探る

指でさわって押してみるはちゃきの顔が苦痛でゆがむ声を出さないところが

はっちゃきらしいが相当痛いのが分かる。

こりゃあ、ねんざかうちどころ悪ければ骨打ってるか

いかんせん固定したほうがいいなとつぶやくように

どんぐり経験があるのか手慣れたもの

ちょっとした僻地のドクター。

どんぐり、すぐに草むらに消え手頃な木の枝を探してくる

そうして、ジャケットから包帯を取り出す

本当に恐れ入ったの鬼子母神

こんなところでギャグもしょうもないが

なんでも出てくるないものはないのか

手早く包帯を巻き固定する

聞けば、どんぐり救急救命の講習をうけたとのこと

誰にでも簡単に止血や人工呼吸の方法を消防署の人が教えてくれるらしい

その証の黄色のカードをちらつかせるまぶしいぜ旦那

あんたはなんでもできるねえ

しかしながら、この後どうするか一同黙り込む

「置いてけ」はっちゃき相変わらず言葉が短い、そして重い

が痛さでうめくように言う

ここに置きざり、みんなで救助を求めにいくか。

何か違う氣がする

オハラ、私が助けを連れてくる。少し涙ぐんで。決死の覚悟だが

はっちゃきを落ち着かせるように慈愛に満ちたやさしい言い方

だめだ、2次遭難のおそれがある

どんぐり、どうしたさっきと違って険しい言い方

とげをなくすように私、「大丈夫だて宿舎なんてすぐっしょ」

「甘くみんな」どんぐりいつにもなして吼える

そうやって遭難は始まるとのこと

ここは山に慣れたどんぐり、私ら男子で救援をもとめにいく方向に固まった

何かが頭の中で鳴る。何か違う。

あとで、女子を残していいのか。時刻はもうすぐ16時。

春とはいえ、夕刻は近い。

山ガールズとはいえ。女子二人は軽装だ。ここは男が護るべきなのか。

くだらない話の落ちとして私が残ることを提案する。

どんぐり、少し思案するが、そうだなそれでいこうとうなずく

どんぐり、オハラでスタート方向に戻る

「生きて帰れよ」手を軽くあげて後ろを振り返らずにどんぐりが行く

戦場に行く兵士のようだ頼もしい背中が緑に消えていく

頭上でからすが泣いている。その悲しそうな鳴き声に夕方が近いことを知る


なし

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