ポテト
なし
ここまでオハラは一息に話す。はっちゃきはぼりぼりと頭をかく
真面目に語られすぎて恥ずかしかったのか
飲み物を取りに行くと一言
どんぐりを見れば、いつのまにそんなに食べたのか
皿がつみあがっていた。さらに、私にまたポテトをすすめてくる
彼女の半世紀。頑張ったと声をかけたい衝動にかられるが
会ってばかりの男にそんなこととも考え言葉を飲み込む
飲み込んだ言葉に詰まりながらも、どうしたらいいものか
氣まずい時間が過ぎる
こんな時こそ、氣のきいた事を言えばいいのに
どんぐりあいかわらずポテトを食べている
期待した私がばかだったが、この男どんだけポテトが好きなんだ
周りを見ると、なんだか人けがなくなってきている
時計を見ると8時45分
たいへんだ、もうすぐ、学部ごとのオリエンテーションが始まる時間だ。
聞けば、全員文学部とのことなんのことはない。同じ穴の貉だ。
教育学部は、講堂で、文学部は、昨日の体育館らしい。
どうせまた、しけた学生課の見張り付きだろうて
昼食時に会うことを約束する
心なしか、オハラがホッしているような感じもする。氣のせいか
誰にも言えなかったことを初対面にいうのもなんだが
それだからこそのものもあるのか
まだ残るポテトに未練を残すどんぐりを追い立て体育館に向かう
なし