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反発心

「ふーん?お前は、欲しくない、か。

なら、やはり、お前は利用される側の存在なんだな」


俺は、まるで軽蔑したように言ってやった。

先ほどのような猫かぶりはもうさせないつもりだ。


そして・・こいつを、手に入れる・・!


「確かに私は利用されている。

けれど、私にだって心がある。私にだって、選ぶ権利がある」


彼女の瞳が、炎みたいに燃えている・・闘争心にたぎった瞳をした。

強いまなざしが俺を突き抜ける。


これだ・・!


俺はそのとき感じた。

自分だけを見つめる、自分だけを映す、素のまなざしや、言葉、表情。


俺は、なんの隔てのないこの視線のからみあいが、たまらなかった。


「選ぶ権利があるか・・なら、

お前は実際にその権利を使えているのか?」


俺は不敵に笑って問いかける。


さぁ、俺だけに、俺だけをその瞳で映してくれ!

俺だけに、お前の本当の姿を本性を、見せてみろ・・!


「っ!?それは・・。

でも、私は地位があり、豊かな暮らしなんてまっぴら!

自分のやりたいようにする・・!」


彼女の瞳が、一瞬揺らぐ。

しかし、再び怒りの混じった声で俺に訴えかける。


あぁ、たまらない・・!

これだ、これがいいんだ。


「だが、実際、やれることなんて少ないんじゃないのか?」


「確かに少ない。

けど、私だって、利用されるだけで終わってなんかいない」


彼女がそう強がりを見せた。

俺には、そう強がってるとしか思えなかった。

が、しかし・・


「じゃあ、何を利用しているというんだ」


「・・貴方たちからもらう仕事。

それさえできれば、私の行動範囲は広がる・・!!」


「俺たちを利用しているだと・・?」


ぐっと、彼女の胸倉をつかみあげ、彼女の首を絞めた。


癪に障った。

王族を、一番誇り高く威厳がある一族を、利用しているだと!?


おそらく、王族から承る仕事を利用している奴なんて

腐るほどいると思う。

が、しかし、その言い方はイラっとさせた。


「っ・・”

そう。できさえすれば、あとは、

望みが、かなう・・っ」


そう言う彼女は辛そうだが、

俺から視線をはずさなかった。


外さずに、勝ち誇ったような笑みを浮かべて、

俺に言ったのだ。


こいつは、俺を恐れていない。


「俺たちを利用してるとはいい度胸だな!?」


「私はッ、王族なんて、嫌い・・!

あなたも、嫌い・・!」


彼女は、俺を強いまなざしで睨んだ。

嫌い、その言葉にぐっと、強いものが感じる。


俺が嫌いだという、その言葉に、

俺はやってやろうじゃないかって気持ちになった。


「嫌いか。そうか、なら・・

嫌いな俺から逃げてみろ。」


「!?」


「面白い、お前が気に入ったぞ、リュネ。

俺はお前を手に入れるために動く。」


「なぜ、そんなこと・・!?」


彼女が目を見開いて、問う。


そりゃあそうだろうな。

嫌いだといわれて

逆に欲しくなる俺の気持ちなんてお前には分からないだろう。


「せいぜいあがけ。

お前は、俺から逃げられない。

身体も心も、地位もすべて、お前は俺のものだ」


俺はばっと、彼女を放して、そう宣言した。


これからは、忙しい。

まぁ、いい目標ができた。


俺の隣にふさわしいのは、もうこいつしか、リュネしかいないだろう。



そうして、半年後、彼女を婚約者に仕立て上げた。


・・俺の圧勝だと、思ったのもつかの間、


彼女の上手な猫かぶりと説得力ある理屈で、

婚約者というのは、公にはできなかった。・・リュネめ!!



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