そのいち
◇注意書き◇
この物語は、とおくとおい、レスティン・フェレスという世界に伝わる絵本です。
絵本が元の作品を、童話のような物語に書き起こしたものになります。
よければ、世界や出てくる動物たちを想像して読んでみてください。
◇◇◇
夏がやってきたというのに、雨の止まない日々が続いていました。
そのさむくてつめたい雨は、春からずっと続いていました。
作物は育たず、大地は荒れ果ててしまいました。
大陸で生きる人たちは、とても困っていました。
西にあるセシュール王国では、花が咲かなくなりました。
南にあるルギリア帝国では、麦が取れなくなっていました。
北にあるアンザイン帝国では、毛布が手放せませんでした。
さむいさむいアンザイン国より更に北、山々で暮らすグリフォンたちにとっても、同じことでした。
さらに言えば、食べものに困っていただけではありません。
彼らにとって一番大変だったのは、日課の日光浴でした。
空は雨雲でいっぱいで、お日さまは見えません。
くらく、くらい日々が続いていました。
海の向こうの島は、いつでもグリフォンたちが来られるようにと、少しばかりの手料理を用意していました。
お腹のすいたグリフォンたちでしたが、それでも大陸にいようと決めていました。
ある日、一羽のグリフォンが、空腹から西の山に降りていきました。
「セシュールの人たちなら、食べ物を分けてくれるかもしれない」
グリフォンの思った通り、セシュールの人たちはとうもろこしや木の実を分け与えてくれました。




