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そのいち
暑い夏がやってきたというのに、雨のやまない寒い日が春から続いていました。
作物は育たず、大地は荒れ果ててしまいました。人々は困っていました。
北の人里から離れた山々で暮らすグリフォンとて、同じことでした。
さらに言えば、食べるものに困るだけでなかったのです。
彼らにとって一番大変だったのは、日課の日光浴でした。
雨雲の遥か上まで飛んで行って、お日様に当たらなければならなかったのです。
海の向こうの島は、いつでもグリフォンが来られるようにとご馳走を用意して待っていました。
お腹のすいたグリフォン達でしたが、それでも大きな大陸にいようとしていました。
ある日、一羽のグリフォンが日光浴の帰り、空腹から西の山に降りていきました。
「セシュールの人たちなら、食べ物を分けてくれるかもしれない」
グリフォンの思った通り、セシュールの人たちは僅かな穀物や果物を分け与えました。




