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異世界、ダメ、絶対!!もう誰も異世界には行かせません!!  作者: イタノリ
黎明編

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異世界転生者、アレク

 アレクと名乗る少年は自らを十五年前に交通事故で死亡した実在の高校生であると述べ、死後、異世界に転生したと主張した。続いてアレクの転生先の異世界での出来事の説明が始まる。


 転生した異世界は、中性ヨーロッパの時代に似た世界らしく、そこでは剣と魔法が支配するさながらアニメやゲームのようなファンタジーの世界だった。アレクは、生まれながに尋常ならざる身体能力や魔力に恵まれ、かつ、転生しても前世の記憶や知識、技術は失われる事はなく、神童として崇められながら異世界で成長していったという。


 そんなアレク少年は生まれながらに恵まれた能力と前世の記憶や知識を遺憾なく発揮し、異世界で比類無い力を手にすることとなった。


 その絶大な力を見込まれ、異世界の最大勢力であるゴールデンキングダムなる王国から世界を脅かす魔王とその配下達の討伐の依頼を受けたアレクは、見事その依頼を果たし、英雄として異世界でこの世の春を謳歌していたという。


 だが、全てが想い通りで人生チョロすぎて退屈し始めたのと、少なからず感じていたホームシックも相まって、こうしてお忍びで元の世界へ帰ってきたというのだ。


 アレクの言う異世界は、ゲームやマンガにでてくるようないかにもなファンタジーの世界感ということもあり、またネーミングセンスがダサく設定もガバガバということからもネット配信の視聴者は、ただのネタ配信と思い、真に受ける者は皆無だった。だが、配信終了間際に、ならば証拠を見せてみろというコメントが投稿され、アレクがコメントに答えるのだが、ここから事態が大きく動く。


 アレクが瞬間移動をすると宣言した数秒後、配信していたはずの薄暗い部屋から一瞬で屋外に景色が変わり、さらに遠くに見える山を魔法で破壊する言った瞬間、発光した手から、光が集まり球体を成した。


 それを山に向かって投げると、凄まじい勢いで光の弾が山へと飛んでいき、宣言通り山一つを破壊してしまったのだ。


 もちろん、これは手のこんだ映像の加工と編集と見なされたのだが、ニュース速報で火山噴火の速報が入った瞬間ネット配信は騒然となった。


 破壊された山の映像と、火山噴火の速報に映された山が一致していたのだ。さらにアレクは、撮影機材を置くと、自分の全身が映る位置へと移動し、その後、手をかざすと空間に穴が開き、異世界への入口を開いてしまう。車が通れるほどの大きさの空間の穴の先には、色とりどりの髪色をした美女達が何人も彼を出迎え、アレクはその穴を潜ると、空間は閉じ、アレクの姿は消えてしまった。


 この配信終了後、ネットはお祭り状態となり、配信内容が繰り返しネット上で検証されることになったが、結果的に多くの視聴者が異世界の存在を信じることとなった。


 というのも、その後もアレクのネット配信は時折ゲリラ的に行われ、異世界の暮らしぶりや現実に存在しないファンタジーの動物の紹介、異世界の美女達とのハーレム生活の紹介などの配信が行われたからだ。


 異世界がネット上でトレンド入りし、誰もが異世界の存在を信じて疑わなくたった頃、政府がアレクのネット配信に対し悪質な煽動として注意喚起を行うに留まらず、情報統制を行なうなどの対応をした為に更に異世界の信憑性が増す結果となった。


 政府も情報統制に力を入れているが、アレクの配信の阻止はできず、いつも通り配信されるため、政府は無能と誹られる始末。


 だが、これはアレク凱旋事件のほんの序章にしか過ぎなかった。


 アレクの配信は異世界ライフの紹介から徐々にアレク自身が発見した異世界についての情報に関する話題が増えていく。それによると、異世界はアレクが転生した世界以外にも複数存在する事が告げられていた。驚くべき事に、異世界の数は無数に存在し、異世界に渡る方法も転生以外にもあると示唆する発言も飛び出した。


 政府の情報統制では、例によってネット配信を止める事ができず、異世界の情報流出は今日も行われており、若者の現実離れと呼ばれる深刻な社会問題を引き起こす結果となった。その現象の一つに飛び込み自殺が挙げられる。


 異世界の存在を信じた若者達はみな競うように異世界へ渡ろうと行動を始めた。多くは、アレクの配信で紹介された異世界への入口、ポータルを探す若者で、全国のパワースポットや心霊スポット、廃墟などが探索の対象となり、目を血走らせた若者がポータルを探す為に破壊行為に及ぶ事件が続発。探索場所を巡ってのケンカが多発し、治安も低下していき、また、ポータルがあると噂される地域が立入禁止区域であっても無断で侵入し、もはや無法地帯と化している。


 極めつけは、一年前に起きた異世界への渡り方紹介の配信だ。


 アレクは、最も成功確立の高い異世界への渡り方は転生であると発言したのだ。アレクは直接的な表現こそしなかったが、それは死ねば異世界に行けると言うメッセージとして視聴者に受けとめられた。


 アレク自身、交通事故で死亡したという事実と、異世界転移や異世界転生を果たしたとする人物をアレクが異世界から異世界へと表敬訪問する配信も行われたことで、そのメッセージは瞬く間に世界に広まった。


 配信後、世界中の若者が自殺を決行し、特にアレクと同じ死因である交通事故市が異世界転生への近道と根拠の無い噂が流れたこともあり、道路に飛び出し、車に轢かれる自殺者を大量に生む結果となった。いまでは配信当時に比べ下火になったが、飛び出し自殺は、今でも若者の死因のトップだ。


 異世界転生を目論み、車に飛び込んだと思われる人数は去年度だけでも8万人を越え、一時期減少傾向にあった自殺者数は、アレク凱旋事件から反比例的に増加し、現在では、異世界の存在は誰もが確信するものであり、政府がどれだけ規制しても、この流れを止める事はできず、アレクのネット動画配信サイトのチャンネル登録数は億単位にまで増え、今もなお増加し、歯止めが利かない状態にある。


というわけだ。

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