オスロ防衛戦 3
新たに現れた異世界転生者、通称、拳骨和尚。この男は言った。アレクがじきに来ると。この襲撃は、アレクの仕業なのか。
「すまん!出遅れた!」
後方から接近する味方の声、この声は小林くんの声だ。
「小林か。遅かったな」
「すまねぇ。ったく、せっかくのデートの余韻が台無しだぜ」
「気を抜くなよ。敵は手強い。本気でいくぞ」
「おう、異世界帰りの奴らだってな。まさか戦う羽目になるとはな。結構好きだったんだけど、異世界ライブ配信」
「それは、光栄だな。だが、やはり妙だ。ハルモニアは異世界渡航を禁じ、徹底して阻止している組織なはずだが・・・我々の配信を楽しんで見ているとは信じ難い」
和尚は怪訝そうな顔だ。決して油断を見せず、戦いの姿勢も一切崩していないが、じっとこちらを品定めするように観察している様にも感じる。
「考えてみれば奇妙なものだ。ここにいる者は皆邪念がない。使命感、あるいは大義といったものを胸に抱いていること感じる・・・。なぜだ。なぜ君たちは異世界渡航を禁ずる。異世界に渡るものは、この世界で苦しみもがき、社会から迫害されたもの達がほとんどだ。なんであれば、世の中から社会不適合者、穀潰し、不要な存在と謗られる者達だ。異世界に渡ったとて、この世界に不都合はないはずだ。なぜ、そっとしてやらない」
「そりゃお前、異世界渡航組にしちゃ、異世界を知らなさすぎじゃないか?異世界は天国でもなんでもないぞ。どれだけの人間が渡った先の異世界で犠牲になっていると思ってるんだ」
「・・・。それは、初耳だな。田中さん、君は今の話どう思う?」
「敵のブラフでしょ。でなきゃ、“あの方”が私たちに教えてくれたことは嘘ってことになるじゃない。それこそ信じられないわよ」
「確かに、“あの方”が嘘をつくとは到底考えられない・・・」
和尚は腕を組み、すっかり考え込んんでしまった。
「なんの話か知らないが、こちとら随分仲間をやられたんでな。落とし前はつけさせてもらうぞ」
「小林の言う通りだ。情報を吐かせたら、その首切り落とす」
「おう、我らが同志の弔い合戦じゃ」
銀、小林、カルフが、ずいっと前へ出る。
「ふむ、君たちに興味が出てきた。ここは一つ、戦闘で確かめるとしよう、君たちが何者であるかを」
「へっ、拳で語り合うってことか。上等!」
三人は同時に踏み込み、和尚と田中に襲いかかる。それぞれ間合いに入り攻撃動作に入った瞬間、バリバリと雷鳴が響き、雷が和尚と田中を覆った。
「?!何事だ!!」
強烈な雷により、あたりは砂塵が舞い上がり、視界が塞がれる。みんなそれぞれに声を掛け合い、安全を確認している。どうやら、今の雷で味方に被害はなかったようだ。その時、ふわっと、一陣の風が吹き、視界が広がる。
そこには、マントを翻し、和尚と田中の前に立ち、剣を構えるアレクの姿があった。




