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おままごとは、お姉ちゃん役が人気

作者: 宮野ひの

 幼稚園の頃、おままごとをした記憶が強く残っている。女の子たちでひしめきあって、一時的な家族を作る。


 お姉ちゃんの役は、人気が高かった。妹の役は、みんなに従うばかりでつまらない。お母さん役は、何をしても正解になる気がするので、お姉ちゃん役の次に人気が高い。お父さん役は、自分とは違う性別になるから、できるだけ避けたい。


 "お姉ちゃん"は、幼稚園児から見たら大人の女性だ。憧れそのもの。それになりきるのは、とびっきりに楽しい。


 みんな、お姉ちゃんになりたかった。だけどおとなしい子は中々言えず、結局、余った役を貰うことになる。


 空気を悪くしないことが、おままごとをする上で一番の大切なルールだ。ワガママすぎると、その後の日常生活にもひきずる。


 人間の誰かになりきるのは、エネルギーがいる。第一に言葉を喋らないといけない。即興で「ほら、そこにあるもの片付けて」なんて言わないといけない。


 その点、ペットの役になると快適だ。おままごとをしているみんなを黙ったまま横目に見ていられる。空気が悪くなったら、「ワン」「にゃん」と言うだけで事足りる。


 おままごとで出るアドリブは、すべて自分たちの家庭で起こったものが主流となる。みんなの普通が即興で繰り広げられる。違和感を感じても、その違和感に気づくことなく、おままごとが終わる。


 楽しかったね。またしようね。なんて言い合える時間があったらまだ良い方だ。おままごとが終わった瞬間のことを、私たちは覚えていない。気づいたら、元の自分に戻っている。そしてまた性懲りも無くお姉ちゃんになる。

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