表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/18

第11話 少し距離を置く。

「今日は来ないのか?」

「え?ああ、ジュリエンヌですか?あの子は先週から父と領地に行っていまして。」

「ふーん」

「私が王城に上がりましたので、あの子が侯爵家の跡取りになりますので。」

「…ふーん」



あの慌ただしい日から、もう1か月になる。

翌朝に見た王女殿下は、妙にすっきりとした顔をしていた。思ったより幼いお顔で、あとで聞いたら、妹と同じ年だった。

妹はキャサリン王女殿下専用の化粧水を作り、手土産に持たせた。お付きの侍女用にも作ったらしく、皆さん喜んで帰った。


人生…どこで何が役に立つかわからないものね。


帰国後も、妹と文通しているらしい。

「今度、キャサリン様がブリア国に遊びに来るように言ってくださったの!」

それから、妹はブリア語の勉強に一生懸命だ。




「その…なんだ…噂と違って、博識で、明るくて楽しい子だな。お前の妹。」

「……」


私も気が付かなかったけど、あの子は、今までいた世界が狭すぎただけなのかもな、と今回のことで思い直した。もっと、こう…大物なのかも。



*****


「まだ帰ってこないのか?」


もうすっかり秋だ。中庭も秋の花に様変わりしている。お茶会の会場も、そろそろ室内になりそうだ。


「妹ですか?ええ。あちらでお見合とかしているらしいです。跡取りなので、今から優秀な婿を探すとなると、準備期間も必要ですからね。」


「…見合い?…そうか。」


あら?寂しいんですか殿下?


上品に紅茶を飲んでいる。目線はかなり遠いわね。

ここのところ、殿下も真面目に執務に取り組んでいる。仕事量はもともと多いんだから、早く気が付いてほしかったわね。私の処理する書類も随分と減ってきた。いいことだ。

夜遊びも減ったらしい。出かけても長居せずに帰ってくるみたいだ。侍従が言っていた。


そう…もう一押しかしらね?




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ