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第2話 成長の始まり

水晶が眩い光を放つと、次の内容が表示される。


職業:(無職)

〖アクティブスキル〗

・強撃

〖パッシブスキル〗

なし

固有スキル《無限成長》


「え?無職?」

柊が困惑する。

「お、おかしいなぁ。もう一度触れてみてください。」

リーシャが少し混乱する。

「まぁ。何かの不具合だったんだろう。」

と言いながら柊はもう一度触れるが、再び同じ内容が出てくるだけだった。

「て、てことは、本当に無職!?」

リーシャは逆に驚いてしまう。

『マジかぁ。俺の異世界ライフ…終わったぁ。』

柊はとてつもなく絶望した。

「まぁ、元気だしなよ。」

「こんなことで悲観することなんてない。」

初海と天音が柊を励ます。

「お前らは良いよなぁ。伝説の職業とか言われてさ…。」

柊はとてつもなく落ち込んでいる。

「ま、まぁでも固有スキルもスゴそうですし!何とかなりますよ!」

リーシャは無理やり柊のことを励ます。

だが神威には、言葉がグサッと突き刺さる。

「リーシャ君、君が無理に励ませば、逆に傷ついてしまいますよ。」

シャリスが優しく教えるが、その言葉すら柊を貫く。

「えーっとー。それじゃあとりあえず、皆さんはこのままだと、ほとんど戦えないので、それぞれこの国で修業を積みましょう!えー、皆さんの名前は…あ、そういえば名前をまだ聞いていませんでしたね!」

リーシャが聞く。

「あぁ!そうでした!私の名前が初海で、こっちが天音で、こっちが柊です。」

初海が答える。

「そうなんですね!御三方とも、良い名前です!それで、早速修業に出て貰うんですが、初海さんは王族剣術を習うために、国王様から、直々に指南を受けてください。」

リーシャがそう言うと、

「王様から剣術の指南ですか!?」

初海が驚く。

「はい!国王様は、この国一の王族剣術の使い手なので、ビシバシご指導を受けてください!そして天音さんは、まだ魔術すら知らない状態なので、この城の大魔導書館で、魔術教師から魔術を学んで来てください!」

リーシャが説明を続ける。

「はい、わかりました。」

天音が反応する。

「それで、柊さん!貴方は無職なので、好きな修業を受けてもらって良いですよ!無職だからといって話にならないという訳ではないので!」

リーシャが容赦なく言い放つ。

『容赦無いなぁ。』

「それじゃあ、刀を扱ってみたいんですけど…。」

柊がそう言うと、

「それでは、この国にある古流(こりゅう)殺刃術(さつじんじゅつ)の道場に行ってみてください!」

リーシャが答える。

「うおー!厨二的でかっこいい!なんかめっちゃやる気出てきた気がする!!」

柊に気合いが入る。

「ふふっ、それは良かったですね。では皆さん、更なる成長を期待してますよ!当分の間、泊まる部屋はこの城のものを貸しますので、心配しないでくださいね!」

リーシャがそう言うと、

「え!いいんですか!ありがとうございます!」

柊が元気にお礼を言う。

「それじゃあ2人とも、3人で頑張って強くなろうね!」

初海が2人を鼓舞する。

「おう!」

「うん。」

柊と天音が返事をする。



初海は、リーシャから貰った銀剣を携え、城の王の間まで来た。

正面には重そうな扉が佇んでいる。

「ここが王の間かぁ。大きな扉だなぁ。」

『王様って人なのかな。』

そう思いながらも、初海は重そうな扉を軽く動かす。

そして中に入っていくと、とてつもなく広い空間の奥に大きな玉座があり、そこに威厳たっぷりの勇ましい老人が座っていた。

「ふむ、流石は剣聖だな。あの扉を1人で開けるとは。リーシャからは聞いておろう。儂がこのリークリッヒ王国の王、ラゼロス=イルクレイムだ。とりあえず、今のお前の実力を測っておこう。さぁ好きにかかって来なさい。」

と言うとラゼロスは、玉座に立てかけてあった大剣を手に取って鞘から抜き、威風堂々とした構えを取る。

「あのー。私、戦ったことなんて無いですし、剣すら触ったことが無いんですけど。」

初海が気まずそうに言う。

「なるほど、剣は初心者か。まぁ良い。だが、お主は仮にも剣聖。全く剣が使えないという訳では無い。体の動くまま来れば良い。」

と、ラゼロスは言う。

「わかりました。それじゃあ、お手柔らかにお願いします。」

そう言いながら、初海は銀剣を正中線に構えた。

と同時に、初海は床を駆けながら突進する。

「はぁぁぁ!!」

そして大きく振りかぶり、ラゼロスに斬りかかる。

「キィィィン!!」

しかしラゼロスは、その一撃を大剣で軽く受け止める。

初海は更に、連続で剣を叩きつけ、激しい火花が飛び散るが、その全てを軽々と受け止められる。

「ふん!」

そして、そのまま大剣を軽く振ると、初海は扉まで大きく吹き飛ばされた。

「なるほどな、並の剣士より速度は良いな。だがやはり、技術が足りておらんようだ。そこでだ。強くなる為には、まず自分の力を知らねばな。スキルを使ってみよ。」

ラゼロスはアドバイスする。

「私、スキルの使い方もイマイチ分からなくて。」

初海が苦笑いで言う。

「スキルの使い方は簡単だぞ。まず、心の中で『ステータス』と唱えるのだ。そしたらステータスが出てきだろう。」

ラゼロスが説明する。

『ステータス!』

すると、初海の目の前に、ステータスが映し出される。

「おー。これかぁ。」

初海はマジマジとそれを見る。

「そこに、アクティブスキルと言う欄があるだろう。その1番上のスキルを使ってみるのだ。」

ラゼロスが説明を続ける。

『1番上……、強撃……これか!』

初海は早速使ってみようと、アニメで見たことがある構えを真似てみて、剣を横に振りかぶるように構え、無意識に息を吸い込み集中する。

「スゥゥ。」

すると、銀剣の刃が白いオーラを纏っていく。

そして、

「はぁぁぁ!!」

と言う掛け声と共に、ラゼロスに向かって、再び床を駆けていく。

「むぅ!?」

ラゼロスの表情が変わる。

そして初海は、凄まじい速さの横薙ぎを放つ。

「ドゴォォォン!!」

とてつもない破壊音が辺りに広がる。

なんと、後ろの壁が粉々に吹き飛び、青空が顕になっていた。

ラゼロスは、大剣で攻撃を受け止めてはいたが、刃が頬を少し掠めていた。

『気を抜いていたのもあるが、剣の初心者がこれ程のパワーとスピードを出せるものなのか。これが剣聖の力……!いや、彼女の才能なのかもしれんな。』

ラゼロスは心の中で、感嘆する。

「わ!すみません!大丈夫ですか?」

初海が気が付き、心配する。

「いや、謝ることは無い。こちらもとても面白いものが見れた。他のスキルも使ってみよ。」

ラゼロスは、更にスキルを使用するように求めた。




一方、王城地下の大魔導書館。

「ドゴォォォン!」

ここにまで初海の衝撃音が届いていた。

「今のは?」

天音は眼鏡をかけた女性に話しかける。

「恐らく、ラゼロス王と貴方の友達が戦っているのでしょう。えー、貴方の名前は聞いています。自己紹介をするのも面倒くさいので、私の事はリズ先生と呼んでください。」

リズがローテンションで話す。

「よろしくお願いします。リズ先生。」

天音がお辞儀をする。

それから、スキルの使用方法の説明を受け、次に魔術の講義に移った。

「良いですか、魔術には9つの属性があります。転生者からよくある質問なんですけど、属性相性とかいうものはあまり無いので気を付けてください。種類としては、炎、水、氷、雷、岩、風、光、聖、闇があります。まず、炎魔術から…。」

と、リズは天音に、魔術の基礎を教えていった。

「私が教えられることは以上です。他に学びたいことがあったら、私程度では力になれないので、ここにある魔導書を参考にしてください。それでは。」

と言うと、リズは大魔導書館を立ち去った。

『無愛想な人だった。』

天音は心の中で呟きながら、本棚を漁り始めた。




それより少し前、柊は街にある道場の前に居た。

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