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第1話 転生

※読む時の注意点

「」はキャラが口に出したセリフ。

『』はキャラの心の声。

「ねー神威。早く行くよ。」

 スマホから声が聞こえてくる。

「ごめん、もうちょっと待ってて。今行くから。」

 そう言いながら神威は着ているパーカーのフードと首元を整え、靴を履き、玄関の扉を開ける。

 そして駆けていき、集合場所に着くと、2人の少女が立っていた。

「ごめんごめん天音(アマネ)初海(ハツミ)。」

 神威は、ほんの少し申し訳なさそうに駆け寄る。

「もぉ、遅いよ。罰としてクレープ奢ってね。」

 初海が声をかける。

「はいはい、それじゃあ行こっか。」

 と、微笑みながら3人で歩き出し、目の前の横断歩道を渡りかかる瞬間、真横から大型トラックが猛スピードで突進してきた。

 運転手はスマホを見ながら運転していた。

『え?トラック……嘘…なんで?』

 神威は、一瞬何が起きているか分からなかった。

 他の2人も同じような反応をした。

「へ?」

 一瞬前を向いたドライバーがキョトンとする。

 だが、考える暇もなくトラックは無慈悲に3人を纏めて、壮絶に突き飛ばした。

「キャー!!」

「なんだなんだ?」

「誰か救急車!!」

「おい、あれヤバくね?」

 通行人の悲鳴、どよめく声、様々な音が聞こえる。

 道路に流れる赤い鮮血、その中で3人の意識が遠のいて行く。

『俺は…死ぬ……のか…?』

 神威の体は徐々に冷たくなっていき、視界も閉じかける。

『次の……人生…は……異世界で………チート能力…が……欲しい…………な……………。』

 神威の視界は完全に暗く染まった。

 次の瞬間、3人の真下にそれぞれ魔法陣が出現した。

 そして、魔法陣は眩い光を放ち、その中で神威たちは消えていった。






「やった!召喚成功ですね!」

 謎の声が聞こえてくる。

『ん……なんだ……。』

 神威は、声の正体を確認するべく、ゆっくりと目を開くと、そこは大きな石造りの祭壇の上だった、自分の真下には大きな魔法陣が3つ描かれており、他2つには天音と初海もおり、目の前にはまるでファンタジー世界の様な服を着た人が複数人いる。

「うぅ……。」

「はぁ…はぁ…。」

 天音と初海も苦しそうに意識を取り戻す。

「わ!フォーリスさん大変です!この人達大怪我してますよ!」

 最初の声の主の少女が誰かを呼ぶ。

「ふむ、任せてください。」

 そう言いながら、高齢の男性が神威たちに近づき、両手をかざす。

完全治癒(フルリカバリー)。」

 その瞬間、神威たちの血がピタリと止まり、傷や欠損した部位も急速に塞がっていく。

「えっ!凄っ!なんで!?」

 神威が動揺する。

「傷が…治っていく……!」

「わぁぁぁ……。」

 初海と天音も驚く。

『今のはなんだ…?あんなの普通じゃありえない。そして、このあまりにも現実離れした部屋と人々の服装。つまり、まさかとは思うが…。』

 神威は考えを巡らせる。

「えっと…、俺たちは何故ここに?」

 神威は目の前の男性に尋ねる。

「おっと、すみません。驚かせてしまいましたね。君たちはこの世界、つまり異世界に召喚されたんですよ。」

 男性は優しい口調で語る。

「え!?異世界!?」

 天音と初海が同時に驚く。

『やっぱりそうなんだ。ここが夢の異世界かぁ。』

 神威は2人とは反対に、幸せそうな顔をする。

「突然呼び出してしまいすみません。そして…」

 と男性が言いかけると、

「そんなことありません!!僕は異世界に行くのが夢だったんですよ!!」

 神威が目を輝かせながら語る。

「そ、それは良かったですね…。」

 男性を少し驚いた様に言う。

「神威、なんであんなに騒いでるの?」

 初海が天音に問いかける。

「多分、なろう系主人公とかに憧れてたから、この状況が嬉しいんだと思う。」

 天音が説明する。

「なるほどねぇ。せっかくだから異世界楽しんじゃう?」

 初海が少し面白そうに天音に聞く。

「私も賛成。こういうのは大抵、帰れないか、帰るまで時間がかかるから。この状況を楽しんだ方がいいと思う。」

 天音が少しメタ的に語る。

「で、突然呼び出して申し訳ないんですけど、貴方達は元の世界に帰ることはほぼ不可能なんです。」

最初の女性が申し訳なさそうに口にする。

『やっぱり。』

 天音は心の中で呟く。

「その様子でしたら、あまり悲観されていないようですが、この世界での生活を強要していまいすみませんでした。私の名前はリーシャ・フェルディオです。それで、貴方達が召喚された理由なんですが、この世界は今、国間での戦争、強力な魔物の出現や活性化などの危機に加え、邪悪なる神々によって、この世界が滅ぼされようとしているんです。無理なお願いなのは承知の上ですが、どうか貴方達の力で、この世界を救っていただけないでしょうか。」

リーシャが続けて話す。

『いやぁ、これも憧れた設定だなぁ。』

「天音と初海はどう?」

 神威が天音と初海に問いかける。

「こっちはさっき、この世界を楽しむってことで2人とも賛成してるから、私たちは大丈夫。」

 初海が答える。

「よし!それじゃぁ決定だな!俺達はこの世界を救う!!」

 神威が勢い良く言い放つ。

「本当ですか!ありがとうございます!早速ですが、この世界に生まれた者は、職業とその人物固有のスキル、固有(ユニーク)スキルの2つを持っています!さっき貴方達の傷を癒した方は、我が国が誇るS級癒術士(ヒーラー)、職業(大僧侶)、固有スキル《神の慈愛》を持つ、シャリス・フォーリスさんです!そして、転生者や召喚者には普通よりとても強力な職業と固有スキルが備わっているんです!それで今から、こちらの水晶に手を置いてもらい、貴方達の職業と固有スキルを測定します!早速手を置いてください。」

 リーシャがそう言うと、両手に水晶を乗せ、差し出してきた。

「じゃあ、最初は私から行くね。」

 と言うと、初海が前に出て来て、水晶に手を置く。

 すると、水晶が眩く光りだし、次の内容が空中に出てくる。


職業:(剣聖)

〖アクティブスキル〗

強撃(きょうげき)

・俊足

・剣聖の構え

飛剣(ひけん)

絶断(ぜつだん)

〖パッシブスキル〗

・小回復

・聖剣化

・遠距離中耐性

固有スキル:《空間断裂》


「えぇぇぇ!!職業剣聖!?」

 リーシャが激しく驚く。

「た、確かに凄いのは分かるけど、そんなに驚くことなの?」

 初海も少し驚いた様に聞く。

「凄いなんてものじゃありません!剣聖は、現代では貴方を含めて3人、歴史上でも7人しか記録されていない、伝説の職業ですよ!!」

 リーシャが説明する。

「へぇ、私が伝説の職業かぁ。なんか超面白そうじゃん!」

 初海はワクワクした表情をする。

「もしかしたら、貴方達なら本当に世界を救えるかもしれません!!さぁ、次はどなたが確かめられますか?」

 リーシャがワクワクした様に聞く。

「じゃあ次は私。」

 と言うと、天音が前に出て水晶に手を置く。

 水晶は再び眩く光りだす。


職業:(賢者)

〖アクティブスキル〗

・大魔法

・複合魔術

・魔力暴走

・多重詠唱

〖パッシブスキル〗

・魔力増加

・詠唱破棄

・近距離中耐性

・魔力感知

固有スキル:《超魔力回復》


「えぇぇぇぇぇ!!職業賢者!?」

 リーシャが更に激しく驚く。

「私も絶対スゴそう。」

 天音が少しワクワクした表情を浮かべる。

「賢者なんて、現代では貴方ただ1人、歴史上で5人しか居ない、剣聖と並ぶ伝説の職業ですよ!!」

 リーシャが説明する

「じゃあ、次は俺の番だな。」

『なんかワクワクするなぁ。』

 神威は期待を膨らませた顔をして、水晶に手を置く。

 そして、水晶が眩い光を放つ。




 一方、神威達とは遠く離れた、魔王の棲む城付近であのトラックの運転手が倒れていた。

 すると、黒いフードを被った男が運転手の男性に近づいていく。

 そして謎の男は、男性を結界で作った球体の中に入れ、宙に浮かせて運んで行った。

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