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虚空の扉~現実を異世界が侵蝕する~   作者: Kochablo
第2話「英雄の導き」
6/9

【閑話】 予期せぬ同居人~母さん、誤解です!~

エリシアの秘密その1がバレます。

「……ん……」


柔らかな光がカーテン越しに差し込み、レオはうっすらと目を開けた。


(……あれ? 俺、昨日……)


ゆっくりと意識が戻るにつれ、昨日の出来事が走馬灯のように蘇る。


異形の影。

金色の剣を持つ少女。

気を失った彼女を家に連れて帰った。


(まさか……夢じゃなかったのか?)


まだ夢と現実の境界が曖昧なまま、レオは寝ぼけた頭で視線を巡らせた。


そして、目を見開いた。


「……は?」


そこには、天使のような金髪をふわりと広げ、無防備に眠るエリシアの姿があった。


しかも──


全裸だった。


その白く透き通るような肌には、一切の傷跡が残っていない。

昨夜の激戦が嘘のようだ。


レオの心臓が跳ね上がる。

(お、おい……どういう状況だよ!? なんで全裸!?)


「——うわあああああああ!!!」


思わず叫び声をあげてしまったレオ。


しかし──


「……むう、レオ……うるさいぞ……あと5分……」


レオの叫び声にもかかわらず、エリシアは夢の住人になろうとしている。


「……おい、なんでここで寝てるんだ……?」

「……スヤスヤ……」

「寝るな!」


そんなやり取りをしていると、階下から当該部屋へ近づいてくる音が聞こえた。


そして──


「レオ!? 何やって…………の……?」


レオの母・奈々子が、目の前の光景に固まった。


(ああ…、終わった、母さん空いた口ふさがってねー)


傍から見れば、全裸の金髪碧眼の美少女とベットインしている息子だろう。


なので弁明を実施する。


「母さん、誤解です!!」


「あらあらまあまあ♪」

——ニヤニヤ。


「いや、ほんとに違うって!!」


「ふ〜ん?」


愛息子の証言をまるで信用しない我が母。


「なぜ疑う!?!?」


「いやぁ、レオもついにねぇ……」


「だから違うんだって!!」


奈々子のニヤニヤは止まらない。


レオは頭を抱え、エリシアはというと──


「ふにゃ……おはようございましゅ、殿方の母君。エリシアと申しましゅ...」


優雅な一礼。

ただし、全裸で。


「ちょっ、服! 服着て!!」


「? 私の傷はすでに回復している……むにゃ…」


「いや、そーじゃなくて!!!おい、寝るな!」


奈々子は「ふふっ」と笑いながら、呆れたように言った。


「レオ、女の子を家に連れ込んだら、まず服を用意しなさいな」


「だから違うって!!」


エリシアはまだ状況がよく分かっていないのか、目も口も半開きでぽかんとした表情をしている。


(やばい、こいつ……天然か?)


「それにしても……エリシアちゃん、すごく寝起きが悪いわね?」


「……むぅ……」


エリシアは眠そうに目をこすりながら、ぼんやりした様子で立ち上がる。


「レオ……私はもう少し眠っていても……」


「いやいやいや!! 服着ろ!!!」


朝が苦手なのか、意識が完全に覚醒していないエリシアは、ふらふらしながら再び布団に倒れ込もうとする。


「ダメだ!! 二度寝するな!!!」


「……むぅ……」


レオが慌ててエリシアが被った掛布団を剥ぐと、彼女はダンゴムシのように丸くなり、「むぅ」と小さく唸りながら、再びまどろみそうになる。


「エリシアちゃん、朝は弱いのね?」


奈々子は楽しそうに微笑んでいた。


数分の間、母の生暖かい視線に晒されながらも、エリシアとレオの布団争奪戦が繰り広げられ、やっとのことでエリシアは覚醒した。


覚醒したエリシアが母を視界に認めると、


「では改めて……コホン。私はエリシア・セラフィエル。

ルミナス王国の聖騎士にして、公爵令嬢の名において、貴殿に名乗るわ」


その堂々とした自己紹介と優雅な仕草に、奈々子は感心したように頷いた。


「へぇ〜、貴族のお嬢様なのね? それはそれは……

でもね、エリシアちゃん。お洋服は、着ましょうね?」


「おい、そこツッコむな!!」



秘密1:朝が弱く一人で起きられない。でした。

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