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メイド

「悠木、帰ってきてくれるのね」と瞳。


「帰らないよ」と悠木。


「あなた今、生きて戦い続けてくれるって言ったじゃない」と瞳。


「ああ、だけど家には帰らない。俺は今の生活を続けるよ」と悠木。


「だめよ。それでは、私たちがあなたを助けることができないわ」と瞳。


「そんなこと頼んでない。おれは白猫の息子として、残りの人生を生きることにしたんだ」と悠木。


「そんな……。お母さんが悲しむわ」と瞳。


「まさか。あの女は俺を厄介払いができて清々するだろう」と悠木。


「何を言うのよ!ひどいわ」と瞳。


「あの女が俺を見るときの目は冷たいよ。あんたたちを見るときと大違いだ。気が付いてなかったのかい?」と悠木。


「そんなの被害妄想よ」と瞳。


「俺がいなくなって悲しんでたか?すごく事務的だっただろ?」と悠木。


「とてもテキパキしていたわ。でもそれは、あなたのためを思ってのことよ」と瞳。


「ああ、そうだろうね」と悠木。


「悠木、お前の考えは分かった。私たちが考えを変えることにする」と桐子。


「分かってもらえて、うれしいよ」と悠木。


「私をここで下宿させてもらえないか、リリス」と桐子。


「はいどうぞ、すぐに部屋をご用意いたします」とリリス。


「何いってるんだ、リリス。この人たち、人間じゃないんだよ」と悠木。


「もちろん、そんなこと知ってるわよ」とリリス。


「すまないが、悠木が住んでいるアパートに空き部屋ができたらすぐに教えてくれ、そちらに移るから」と桐子。


「承知いたしました、桐子様」とリリス。


「むちゃくちゃだよ。潔癖症の姉さんがこんなところに住めるわけないだろ。ましてぼろアパートなんて」と悠木。


「仕方がないだろう。お前のためなら何でもすると決めたのだ。ここに住むことぐらいなんでもない」と桐子。


「私も一緒に住むわ、いいでしょう、リリス?」と瞳。


「もちろんです。瞳様。よいお姉様をお持ちね、悠木さん」とリリス。


「ああ、わかったよ、ぼくが帰ればいいんだろ。帰って姉弟ごっこを続けるよ」と悠木。


「本当!うれしいわ、悠木!ありがとう」と瞳。


「だけど、白猫を連れて行くよ」と悠木。


「ええ、いいわよ。お嫁さんとして連れてくるの?」と瞳。


「ああ、そうだね」と悠木。


「わたくしは化け猫の身、ご主人様と夫婦など分不相応でございます」と白猫。


「白猫、何を遠慮してるんだ」と悠木。


「どうかご容赦を。せめて下女にお使いください」と白猫。


「お前を下女に?召使ってこと?君はずっとぼくの側にいてくれるって言ったじゃないか」と悠木。


「決してご主人様の元を離れません。だから猫としての本分を尽くさせてください」と白猫。


「やはり人付き合いが無理なのか」と悠木。


「メイドとして住み込めばよい。悠木の面倒を見てやってくれ」と桐子。


「それがいいわ!それなら誰も怪しまないから。うちに部屋を用意するわ」と瞳。


「身に余る幸せでございます」と白猫。


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