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処遇

「それでは、食事中だけど話を続けましょう」と瑠璃子。「みんな他の話をする気分じゃないでしょう?」


「私たちの処遇というのはどういうことなのでしょうか」と恵子。


「あなたたち、この艦の重力エンジンが青い光を出しているのを知っているでしょ」と瑠璃子。


「もちろんです。私たちが始動させましたから」と舞。「動力はとても快調です。」


「舵も良く効いていますが、それがどうかしたのでしょうか」と綾子。


「悠木艦長は何もしていないのよ」と瑠璃子。


「え、どういうことでしょうか?」と恵子。


「そのままの意味よ。悠木艦長は、重力エンジンへの魔力供給にかかわっていないの」と瑠璃子。「ベットで気持ちよく寝てるわ。」


「そんな。ではどうして重力エンジンが回っているのでしょうか」と舞。


「今、本部では大騒ぎよ」と瑠璃子。


「それは桐子艦長か瞳参謀長が魔力を供給しているということでしょうか」と恵子。


「そんな訳ないわ。私たちに適性がないのはとっくに確認済みよ」と瞳。「もちろん瑠璃子にもないわ。」


「ということは?」と恵子。


「ということよ」と瑠璃子。「あなたたちがこの艦の重力エンジンを動かしている。」


「えー!」と叫んで、士官たちはお互いの顔を見合わせた。


「実は先ほどの重力エンジン始動の際には、悠木に魔力を供給しないように頼んでおいたの。こっそりあなた達をテストするために」と瞳。「前回の片道五十日ほどの火星への航海で、あなた達の魔力がかなり上がったと悠木から聞いていたから。」


「なぜ事前に言ってくださらなかったのですか?」と恵子。


「緊張したらうまくいかないだろうと悠木から聞いていたからよ」と瞳。


「だとすると、この中の誰かが、重力エンジンを回しているということ?」と舞。


「あるいは二人か三人か、全員かもしれない」と瑠璃子。「調査が必要なので、ラグランジュフォーの基地に向かうことになったの。明日の午後に着くはずよ。」


「それで舵を切ったのですか」と綾子。


「そうよ」と瑠璃子。


「私たちが研究対象になるということが、処遇についての話の内容でしょうか」と恵子。


「そうじゃないわ」と瑠璃子。「あなたたちがすでに、悠木君と同様の重要人物になったということよ。大事にされるけど、もう元の自由な生活はできないということを理解してほしいの。少なくともこの戦争が終わるまでは。」


「そんな……」と恵子。


「明日の基地での立場は、士官ではなくてVIPなので、護衛と監視がつくから気をつけてちょうだい」と瑠璃子。


「それは内親王の瑠璃子女王様と同じくらいでしょうか?」と恵子。


「それ以上だと思うわ」と瑠璃子。「悠木艦長を四分割するくらい人材に困っているのよ。今のあなたたちは人類の宝物といってもいい存在だから。」


「すでにあなたたちを応接するための使節が本土から送られたという話だから、覚悟しておくことね」と瞳。


「それが私たちの処遇ですか?」と恵子。


「そうよ」と瑠璃子。「明日から、あなたたちはお姫様以上のもてなしを受けるはずだから、しばらくは士官用の宇宙食なんて食べる機会はないはずよ。」


「楽しみにしておきなさい」と瞳。


「えー!」


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