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交戦

 悠木はウィッチ偵察機で発艦した。


「朝風と夕霧の合同航空隊に火星の衛星、フォボスの偵察を命じます」と瑠璃子。「悠木大尉が合同航空隊の指揮を執りなさい。」


「了解した」と悠木。「航空隊各機、相対速度を朝霧に合わせろ。」


 十二機のアルバ戦闘機は、三機ずつの小隊で編隊を組んでいた。


「各小隊は連結してからオレに続け」と悠木。


 悠木が搭乗するウィッチ偵察機は、少しずつ加速していった。「朝霧隊、夕霧隊の順に続け。」


 「朝風相対速度、秒速十キロに固定しろ。進路はフォボス接触地点だ。これから電波索敵を行う。小隊ごとに三百キロの距離を開けて縦列で飛行する。電波情報を統合して敵が出す信号を探す」と悠木。「迷子になるな。」


 悠木のウィッチを先頭に、アルバ三機ごとの連結編隊が前後三百キロの距離を開けて飛行した。


 「ステルスモードにしろ。無線は禁止だ。物音を立てるなよ」と悠木。


「敵機影を確認しました」とウィッチ偵察機の人工知能、キャシーが音声を発した。「フォボス手前、およそ五十万キロの地点です。」


「何だと!」と悠木。「敵のクラスと数は?」


「デルタクラスが三体、ガンマクラスが五体、他の小さなものは解析できません。およそ秒速二十キロでこちらに移動中です。光学映像をモニターに映します」とキャシー。


「偵察部隊だ」と悠木。「ここまで進出しているのか。」


 悠木は無線のスイッチを入れた。「航空隊各機、敵の偵察部隊を見つけた。やつらはこちらに向かっている。敵と相対速度を合わせて迎撃する。各小隊ごとに百八十度回頭して、連結を解除しろ。」


 ウィッチ偵察機のレーダーに敵の機影が写った。「敵は八体だ。十二時の方向、距離一万四千キロ、敵との相対速度プラス秒速二十八キロ。加速して相対速度を合わせろ。約十分後に敵と接触する。」


「キャシー、朝霧の艦隊司令につないでくれ」と悠木。


「瑠璃子司令です」とキャシー。


「こちら偵察隊の悠木だ。敵を発見した。これから十分後に交戦する。早くこちらに来てアルバを回収してくれ」と悠木。


 しばらく時差があって「わかりました。すぐ行くわ」と瑠璃子。


「航空隊各機、小隊ごとの編隊を崩すな。オレが前に出る。オレが撃ちもらした敵を機銃の弾幕で落とせ」と悠木。


「キャシー、交戦準備だ」と悠木。


「承知しました。うふふ」とキャシー。


「何がおかしい?」と悠木。


「この程度の敵を相手に緊張しておられます」とキャシー。


「この体で近接戦闘は初めてなんだよ」と悠木。


「初体験ですか?興奮しますわ」とキャシー。


「相変わらずだな、君は」と悠木。


「こんなうぶなご主人様は初めてで、とても新鮮ですわ」とキャシー。


「サポートを頼むよ」と悠木。


「私にすべてお任せください。身も心も」とキャシー。


「わかったよ」と悠木。


「それでは思考接続のレベルを上げさせていただきます」とキャシー。


「今回だけだ」と悠木。


「はい」とキャシー。「ああん。」


「変な声を出すな」と悠木。


「敵接触まであと三分です」とキャシー。「機雷敷設します。」


「航空隊各機、あと三分で敵と接触する。深追いをするな。朝風が来たらすぐに帰投しろ」と悠木。


「あと二分です」とキャシー。「おとり機体を切り離します。」


「この体では近接戦闘に耐えられん」と悠木。


「本当にお任せいただけるのですね」とキャシー。「敵ガンマクラス二体、触雷により脱落。残りが分散します。」


「航空隊各機、誘導弾全弾射出」と悠木。


「ミサイルの弾幕によりデルタクラス三体脱落。残り、ガンマクラス一体、デルタクラス二体が突入してきます」とキャシー。


「キャシー、近接戦闘態勢だ。三体とも撃ち落とせ」と悠木。


 ウィッチ偵察機は難なく敵の弾幕をかいくぐり、すれ違いざまに小型爆雷を三体の敵に打ち込んだ。小型のデルタクラス二体はすぐさま爆散した。やや大型のガンマクラス一体が形状を保ったまま後方に流れたが、待ち構えていたアルバ隊の機銃の一斉掃射にあって崩壊した。


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