表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/103

出航

「もう一つ、重要な連絡があります。わが艦隊に出撃命令が出ました。火星宙域航路の哨戒を行います。これで会議を終わるわ。全員持ち場に戻って。すぐに出港よ」と瑠璃子。


「司令殿、この艦はどれほど訓練の期間があったのでしょうか」と悠木。


「1か月よ」と瑠璃子。


「たったひと月ですか。二番艦があると聞きましたが、そちらの方は」と悠木。


「同じよ。それが何か?」と瑠璃子。


「練度不足で実戦に耐えられませんよ。しかも海戦の素人ばかりでは」と悠木。


「そんな事は分かっているわ。だけど今はそんなこと言ってられる状況ではないの。わかってるでしょ、ほとんどの艦が沈められてしまったよ。現在運用されているのは前の戦役の残存艦とこの船のような新造艦しかないのよ」と瑠璃子。


「そうでしたね」と悠木。


「あなたに期待しているわ」と瑠璃子。


「できるだけ努力してみます」と悠木。



 副官の川本サキ少尉が悠木を艦橋に案内をした。


「こちらです」とサキ。


「この艦には、なぜ副艦長と副官がいるの?」と悠木。


「副艦長の仕事は艦長職の補佐です。副官の仕事は艦長のお世話です」とサキ。


「なるほど。手厚いサポート体制だね」と悠木。


「ここが艦長のお席です」とサキ。


「艦長、二番艦夕霧の艦長、伊沢少佐から通信です」と通信課の白石エリカ少尉。


「つないでくれ」と悠木。


「モニターに出します」とエリカ。


「あなたがそこに座っているということは、仕事を引き受けてくれたということだな。感謝する、悠木大尉」と桐子。


「文句は会った時に直接言うよ、桐子少佐殿。ところで、本当にこの素人集団を連れて火星に行くのかい」と悠木。


「もちろんだ。お前がいれば問題ない。ちゃんと先導してくれ。私はついていく。じゃあ、よろしく頼む」と桐子。


「え、切れたの?」と悠木。


「司令、長野の防空隊本部から通信です」とエリカ。


「佐々木司令長官ね。つないでちょうだい」と瑠璃子。


「すまないね、瑠璃子大佐」と佐々木指令。


「いいえ、これは私が希望したことです。どうかお気遣いなく」と瑠璃子。


「悠木大尉、この度は申し訳なかった。悪いのは私だ。瑠璃子指令をうらまないでくれ。朝風をどうかよろしく頼む」と佐々木。


「まさか、あんたの指揮下に入る日が来るとはね。因果の皮肉に驚いてるよ」と悠木。


「信じてもらえないだろうが、いつかあなたに報いたいと思っている。どうか武運長久を」と佐々木。


「え、切れちゃった」と悠木。


「防空隊地球圏第一艦隊、出港せよ」と瑠璃子。


「朝風、出港準備だ」と悠木。


「出港準備!」と副艦長の佐藤恵子中尉。


「アンカーロック解除します!」と航海長の山本綾子少尉。


「動力接続!」と機関長の栗原舞中尉。


「朝風、出航しろ」と悠木。


「微速前進!」と恵子。


「微速前進!」と綾子。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ