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アルセリオンの神話  作者: SR
世界創世編
9/25

第7話:感情の神と戦闘の神

 俺は今──退屈していた。やることが、ほんとうに何もない。創世して、魂を与えた。

 それからはもう、勝手に進化して勝手に争って、勝手に滅びたり増えたりしてる。つまり俺の出番はもう……ない。


 海の中はうるさいほど賑やかだ。

 魚の種類は数千どころじゃない。

 魔獣みたいなやつもいれば、喋る魚、空飛ぶクラゲ、触ると爆発するウニまでいる。

 正直、見てて楽しい。けど──


魚には色がない。

それは、目の問題か、世界の問題か。

あるいは……感情の問題かもしれない。


だから俺は、決めたんだ。


色のない世界に、感情という色を与えるために――

俺自身の心を、切り取り、形にする。


魂の奥底から取り出した“原感”は、光でも闇でもない、不定形のエネルギーだった。

それをゆっくりと、言葉に。形に。意味に――そして、神に。


俺の感情が、一つの存在となって立ち上がる。


こうして誕生したのが―


『感情の神・アムル=ネウロ』


それはヒトのようでヒトでなく、神のようで神を超えたもの。ひとつの身体に、無数の感情が宿っている。

怒りは炎のように髪を燃やし、

喜びは翼を虹に染め、

悲しみはその目から永遠に涙を流し続けていた。

声は、聞く者によって違って聞こえる。

ある者には母のように優しく、

ある者には恋人のように囁き、

またある者には、戦慄すら与える神託の如く



「……我は、貴方の感情より生まれしもの。

 されど今よりは、独立した“意思”を持つ神」


「おう……」


その存在は俺に向かってゆっくりと微笑んだ。


「問おう、創造主よ。あなたは、どの感情を私に“支配”させたい?」


俺はしばらく考えて、静かに呟いた。


「全部だ」


笑った。

俺の感情のすべてが、俺を笑った。


けれど――それでいい。


俺はこの世界をつくる。

ならば、感情の神もまた、俺の世界の柱のひとつだ。






「俺、暇なんだけど。」


 やっぱり戦闘が必要だ。血が騒ぐ。ただ、力を確かめたいだけだ。

 俺の能力『情報』は万能だ。

 知識も力も戦術も、一瞬で得られるし、全てに適応する。正直、ここまで来ると


「俺に勝てる奴なんて、いないよな。」


 海の神?ああ、それならもうとっくに俺だ。


 世界の管理者?違う違う、それすらもう“俺の下”だ。だからこそ、戦いたい。倒されたいんじゃない。

 試したいんだ、自分の限界を。

 いや、もし俺に勝てる存在がこの世界に現れたとしたら……。


「そいつこそが、この物語の主役かもしれないな。」


 ということで──俺は新たな生物を創ることにした。目的はただ一つ。


「俺を楽しませるための存在」それだけだ。


 このまま神として君臨し続けるだけなんて、正直……飽きた。だったら、自分で“未知”を創ってやる。俺は静かに、自分の細胞を切り離す。

 それに、ある特異な情報を刻んでいく。能力は『情報』その力を最大限に活用し、戦闘に特化した構造と、ある(ちから)を与える。


 名前は『宇宙根源乙姫(ユニバース)


 そう名付けた。

 彼女は俺の(エネルギー)から生まれた。けれど、ただの(エネルギー)じゃない。

 俺の『情報』を通して、未知の“根源”を与えられた特別な存在だ。宇宙(そら)の原理、根源(はじまり)の法則、そして乙姫──「与える者」「導く者」「創造する女神」それらすべての象徴としての名前。

 彼女は、他者に未知の力を授けることができる。


「……ま、どうせまたすぐに人の姿になるんだろ。

 いや、なるに決まってる。」


 だってこれまでの奴らはそうだった。

原初個体オリジン・オリジナル』も。

魂核の原型(ユナ=エンブリオ)』も。

 みんな、人の姿になって、勝手に喋り出して、なんか綺麗で、自由に動き始めるしさ、俺も人になりてぇな。

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