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アルセリオンの神話  作者: SR
世界創世編
7/25

第5話:ユナとオリジン

 ユナも最初はただの細胞の集合体だった。だが、彼女は自らの意思で姿を変え始め、やがて青と白の髪、青と白のオッドアイを持つ少女の姿へと進化した。

 何でみんな俺より先に人の形になるんだよ…少し悔しくもあり、どこか面白くもある。だが、俺は俺のやり方で進むさ。人の形なんて関係ない、俺には俺だけの「情報」があるんだから。


「我が神よ!!」


 原初個体(オリジン・オリジナル)が俺の方へ駆け寄ってくる。


「私、いっぱい生き物作りました!我が神とは既に別の個体も存在しますよ。」


 俺の細胞から生まれた存在たちは、もう俺だけのものじゃない。彼ら自身の細胞で新たな命を生み出し、交尾し、命の輪を繋いでいる。世界は確実に動き出しているんだ。うん、うん、それでいい。それこそが“始まり”ってやつだ。


 つまり、『魂核の原型(ユナ・エンブリオ)』の使命は、もう果たされたということだ。


 魂を持つ存在が生まれ、そして魂を継ぐ命が繋がっていく。最初は彼女が唯一の“魂の源”だったが、今やその必要はない。魂を持った存在同士の交配によって、自然に魂を持つ子が生まれるようになったのだから。


魂核の原型(ユナ・エンブリオ)』はもう役目を終えた。だが、それは消えるという意味ではない。

 彼女の存在は、始まりを担った“魂の母”として、永遠に歴史に刻まれるだろう。さらば!


「勝手に終わらせないでください!!

 あたしも“始まり”の存在になりたいんです!

 ずるいですよ!我が君主と、こいつだけ……!」


「こいつ……それ、私のこと?」


 ピキピキと音が聞こえそうな空気の中、オリジンとユナは睨み合っていた。

 どうやら、このふたり……仲が悪い。いや、致命的に相性が悪い。


 片や、自力で魂を得て進化した『原初個体(オリジン・オリジナル)


 片や、魂の創造を許された存在『魂核の原型(ユナ=エンブリオ)


 どちらも俺の“分け与えた存在”だが、だからこそ互いを意識しすぎる。

 しかも、どちらも俺への執着が強すぎるのも原因だろう。っていうか、俺、ただの細胞だったんだけどな。

 気づけば“神”扱いされてるの、ちょっと荷が重くないか?


「私も早くなにかしたいです!!」


 と、ユナが怒り気味に声を上げた。


 まぁ、確かに退屈だろう。

魂核の原型(ユナ=エンブリオ)』の仕事は、

原初の個体(オリジン・オリジナル)』が作り出した生物たちに“魂”を与えるだけ。

 黙々と、感情も持たない器に命を灯していく作業。地味すぎて面白くない。


 それに、ユナは本来「魂創造」の才を持っている。

 ただの作業係として扱うのは、ちょっともったいない。


 う〜ん……なんか無いかな。


 ちょっと考えた俺は、ふと閃いた。


「じゃあ、逆にさ。

 お前にしかできない“魂の進化”とか、“ってのはどうだ?」


 たとえば:魂に“特性”をつける。

 複数の魂を束ねて“群体意識”を生む。

 もしくは、“堕魂”──壊れた魂を集めて、異質な存在を創る。


「え、いいの?! 本当に?!」


 ユナの目が輝く。青と白のオッドアイが興奮でゆらめいていた。


「あぁ、いいぜ」


 俺はそう言って、自分の固有スキル『情報』から“感情”の因子を抽出する。


「……ふふっ。なにこれ。なんか、嬉しい……」


 ユナは新たな能力を得た。


「よし、じゃあ好きにやってみな。全部お前に任せる」


「任せてください!我が神!!」


 ユナはそう言って、海の底へ嬉しそうに飛び跳ねるように泳ぎ去った。

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