表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルセリオンの神話  作者: SR
世界創世編
5/25

第3話:増える生き物達

 あの日から何日が経っただろうか──いや、もう“日”という感覚すら曖昧だったかもしれない。

 俺は、ただ“動いて”いた。無限の海を彷徨いながら、変化を探し、兆しを探して。


 そして──それは、突然だった。


 水の流れが、わずかに乱れた。

 視界の端で、何かが“泳いだ”気がして、俺は即座に気配を探る。


 ──居た。


「……うそ、だろ」


 そこに居たのは、見慣れない魚。

 しかも、明らかに“俺の作ったもの”とは異質だ。自然発生……いや、それは違う。何者かが“作った”、それとも……?



「我が神よ!!」


 突然、そんな声が響いた。

 俺はキョロキョロと辺りを見回す──誰だ?

 すると、水の中に“人間の姿”をした女性が立っていた。いや、泳いでいた、というべきか。長い髪、整った顔立ち──まるで神話から抜け出してきたような容姿。


「お前……誰?」


 思わず問いかけると、彼女は目を輝かせて叫んだ。


「酷いです!原初個体オリジン・オリジナルですよ!私です!我が神の記憶から、“人”という存在の情報を解析し、擬態してみました!どうですか!?綺麗でしょうか!?可愛いでしょうか!?抱いてみますか!?」


 全身が淡く発光していて、水中に光の波紋が広がっていく。髪は綺麗に揺れ、目は宇宙を切り取ったかのような煌めきを宿していた。


「お、おう……すごいな……」


「っていうか、俺もやりたい、それ……」


 正直、羨ましかった。

 だって俺は人間になりたかったのに、どう頑張っても無理だったんだぞ。

 それを初めて作った細胞が、先に人型になるとかズルくないか!?俺が本体だぞ!?


「じゃあ、私がサポートして差し上げましょう♡」


「う、うむ……たのむ……!」


 こうして俺は、原初の個体(オリジン・オリジナル)と共に、“人”になるための進化を本気で模索し始めた。

 最古の神と、最初の創造物──この奇妙なコンビの誕生だった。


 ♢♢♢


 太古の星──


 あの“何か”からこぼれ落ちた100個の細胞は、それぞれが独自の進化を辿っていた。

 時間の概念すら存在しなかったその世界で、ただひたすらに変化と適応を繰り返す。


 ある細胞は重力そのものに干渉し、

 ある細胞は絶対零度の因子を宿し、

 ある細胞は概念そのものを喰らう存在に、

 ある細胞は知性の極致を目指して姿を変えていく。


 それぞれが「正解のない進化」を歩み、

 やがて、“神”としか呼べないような力を持つようになっていった。彼らはまだ互いに出会っていない。

 けれど、その存在同士が交わる日はそう遠くない。


 人も、生き物もまだまだ存在してない原初の時代が今動き出す──。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ