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女子高生恐怖症の異世界女子高学園伝説!!!  作者: 藤原俊介
第2章 何者が勇者たるか
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第10話 メカアリサボム

「アリサ君、彼女のことはそっとしておいてやってくれ。それより僕とペアを組もうじゃないか」

「は……へ!?はい……!?」


 ルルップのことは心配だったが、中等部時代から親交のあるミツキさんが言うのなら、いったんは口を挟まないでおく方がいいと思った。というよりも、ミツキさんに打ち合いを誘われたということで頭がいっぱいになり、他人を心配する余裕など、とうに失くしていた。


「あ、あの……俺……剣なんて持ったことなくて……全然相手にならないと思いますけど………」

「大丈夫さ。僕が一から教えてあげるよ。さぁ行こう!」

「へ……へい………」


 ミツキさんに流されるままに、俺は竹刀を取りに行く。そして打ち合いを始めた女子高生らの間を通り、空いたスペースに移動する。この授業に参加している女子高生の中には、かなり剣に慣れた人もいる一方、初心者らしい人も思っていたより多くて、俺は少し安心した。


「じゃあまずは構えてみよう。右足を出して、かかとをちょっと上げて、背筋は伸ばそう、それで左手が………って君、そんなガチガチにならなくても……」


ウィーン、ガチャガチャ


 ミツキさんは、分かりやすいよう段階を踏み、丁寧に教えてくれていたのだが、女子高生の指導に極度の緊張を感じていた俺は、身体が鉄のように硬直し、ロボットのようになっていた。全身の筋肉を連動させて動かすということができないので、1つ1つの関節を、順にゆっくり動かしていく。


キュイーン、ジジジジジ、ガッシャン、ガッシャン、ピピピピピピ、シーン


 「ま、まあ一応形にはなったね。全身カチコチだけど……じゃあ軽く竹刀を当てるから受け止めてみて。最初は優しめにいくね」


 そう言ってミツキさんは俺から少し離れ、こちらを向いて竹刀を構えた。コチコチに固まった俺の不細工な構えと違い、彼女の構えには余計な力が入っておらず、素人でも見惚れるほどに洗練されたものだった。彼女は竹刀を構えたまま、そろりそろりと近づいて来る。俺の間合いに到達すると、彼女は竹刀をゆっくり上げて、ゆっくり下ろし、俺の竹刀に優しく当てた。


こちっ


ボッカァァァァーン!!!!!


 どんなに優しく軽いとはいえ、女子高生の攻撃を受けた俺は、無残にも爆発してしまった。黒い煙が空へと昇る。地上で煙幕に囲まれた俺は、徐々にその姿を現すのだが、構えの姿勢は崩さないまま、全身煤まみれになっていた。


「アリサ君!?君は衝撃を与えると、爆発するタイプの人間なのか!?」

「ちがいます……すみません………」

「無事ならいいんだが……う~ん……どうも僕は力を加減するのが下手みたいだな……」


 そうじゃないんです。ごめんなさい。俺が弱っちぃだけなんです。そう心の中で謝罪していると、ミツキさんは打ち合い中の他のペアを物色し始め、しばらくしてから俺と同様剣術初心者の女子高生を連れて来た。ストローのように手足が細く、身長も小さめである彼女は、授業に参加している女子高生の中でも、ひときわ非力であるように見えた。


「アリサ君!練習相手を連れて来たぞ!」

「あの……わたし初心者だし、力ないですし……この授業に来たのも体力作りのためっていうか……お役に立てないと思うんですけど……」

「大丈夫。そこで真っ黒になって固まっている彼女も初心者だから。さあ一度打ち合ってみてくれ」

「は、はい……分かりました……」


 すると彼女は一応竹刀を構え、ふらつきながら振り上げた。しかし竹刀の長さや重量に、体のバランスがとれておらず、こちらに近づいてくるのにも、ずっと足がおぼつかない。それでも何とか俺のところへ辿り着き、ふらつくどころか動けない俺に向かって、「えいやっ」と竹刀を振り下ろす。竹刀同士が弱くぶつかり、小さな音がたぶん鳴った。その衝撃は、先ほどミツキさんが緩く当てたものよりもさらに弱く、この子が本当にひ弱であることを悟る。しかしどんなにひ弱でも、彼女は女子高生だった。当然、俺は爆発した。



ちゅどーーん!!!!!



 2度の爆発でさすがに気を失った俺は、保健室に搬送された。





ア……サ……



聞き覚えのある、声が聞こえる。



アリ……サ…さん……



アリ……サ…メ…さん……



アリノ……サダメさん……



「有野サダメさん」

「!!!」


 突如呼ばれた以前の名前に驚いた俺は、ベッドから慌てて起き上がった。急いで自分の髪や胸を触り、俺がアリサ・シンデラーナであることを確認する。ならばこの世界に、以前の俺を知っている者がいるというのか。ゆっくり顔を横に向けると、そこにはかつてのセーラー服に、新しく白衣を纏っている、あの女神がいた。


「やっと起きましたね。また会えて嬉しいです。ジジ・キーカンジーユですよ。転生してまだ2日目なのに、黒コゲで運ばれてきてびっくりしました。サダメさん、違う違う、今はアリサさんですね、アリサさん、どうですか新しい人生は?」

「びっくりしたのはこっちですよ。何であなたがここにいるんですか。あの灯篭のところから出てきて大丈夫なんですか」

「全然大丈夫じゃないですよ~。私あの後、勝手に転生させたこと、偉い神様にめちゃくちゃ怒られたんです。超怖かったです。それで反省として、転生させたアリサさんが無事卒業できるまで、近くで見守りなさいって、バエテールの間も含めた神界を追放されちゃったんです。ひどくないですか?」

「やっぱダメだったんじゃないですか!てかそれ俺も後味悪いですよ。ある意味俺が原因であなたが追放されたってことにもなってんですから」

「そんなの全っ然気にしなくていいですよー。むしろ神の仕事から解放されてラッキーって感じです。しかも3年間かわいい女子高生たちに囲まれて過ごせるなんて、まじサイコーですよ。てかアリサさんが留年すれば、ここで過ごせる時間も延びるってことじゃないですか?アリサさん!留年してください!」

「するか!誰がそんな理由で留年するんですか!3年で友達と一緒に卒業しますよ!」

「ぷー。アリサさん結構律儀ですよねー。いいですけど。それよりもうお友達できたんですか!新しい人生は順調みたいですね」

「友達には恵まれましたけど、全然順調じゃないですよ。何で女子高の女子高生に転生させたんですか!おかげで卒倒したり爆発したり大変なんですよ!他にもあなたには聞きたいことが山ほどあります!」

「じゃあ質問コーナーしましょうか!」



女子高生の女神ジジ・キーカンジーユの!?

J(じぇえったい!)K(聞きたい!)質問コーナー!!


(拍手)


Q1 何で俺を女子高生に転生させたんですか!


A 私は女子高生を司る女神ですよ!?女子高生以外には転生させられません!ちなみにこの学園を選んだことに、深い意味はないです。


Q2 この世界はどこの何なんですか!


A ここはサダメさんが生きていた世界と、異なる世界の地球です。魔法が発達していたり、生息している生き物が違ったりしますが、水が安定して存在できたり、太陽が沈んで月が昇ったり、共通点も多いです。サダメさんがいた世界では考えられないような、めっちゃ絶景の島とかもありますよ!


Q3 何で白衣を着て保健室にいるの?


A 保健室の先生として、この学園に潜入することにしたからです。ちょうど今年度、この学園では保健室の先生の入れ替えがあったので成りすましやすかったんです。本来来るはずだった先生は今、どうなっているのでしょう!?ミステリー!


Q4 服やお金など、ありがとうございます。


A そんないいですよ。ちなみにあの衣服・金銭等はどこで手に入れたものなんでしょうか!?ミステリー!


Q5 そういえば他の女子高生と違い、ジジとは何の抵抗もなく話せます。あなたは女子高生を司っているだけで、女子高生ではないのでしょうか。セーラー服を着ているのに。


A 神に年齢の概念などありません。私は永遠の17歳。永遠の女子高生。これは決まっていることなのです。アリサ?分かりましたか?そういうことです。私は女子高生です。それ以外の何者でもありません。これは全世界の真理なのです。信じなさい。私が女子高生であることを信じなさい。アリサ、決して疑ってはなりません。私は女子高生です。


Q6 最後の質問です。戦士が剣を持たないということはありますか。


A 斧や素手で戦う戦士もいます。それほど珍しいことではないと思いますよ。



「でもそういうわけでもなさそうなんだよなぁ」

「それ以外なら、アリサが女子高生にトラウマを持っているように、剣にトラウマがある人もいると思いますよ。過去に剣で強い怪我を負ったとか」


 それでもルルップは剣術の授業を選んでいた。俺が女子高生を克服しようとしているように、ルルップも剣を克服しようとしているのだろうか。しかしそれも腑に落ちないのは、彼女の背中から怒りが、それも自分に対する激怒が推し量られたからだ。


「もしくは、誰かをひどく傷つけてしまったとか」


 ジジがそう言った瞬間、6限の終わりを知らせるチャイムが鳴り、俺は午後の授業をすっ飛ばしたことに気が付いた。

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