14話 あくまで自己防衛
あぎゃーっぁぁぁぁぁぁぁ!!
あちぃあちぢぃぃーッッ!!
灼熱の炎の中でのたうち回る白髪の男
いや、あっつぅ!あっつぅぅ!?
大きな爆破を受けてしまったが、体には少しばかりの火傷がついているだけだ。
切り傷や火傷が再生していく·····。
大したダメージを受けなかったのは高い防御力のおかげで、傷が治ったのは言うまでもなく[再生]のスキルの恩恵だ。
「ありがたい事だな·····。」
地面の上に僅かに残った炎の中から白髪の男が出てくる
·····無傷で。
「なっ!」
「馬鹿な····。」
魔法を打ったのは里でも有名な賢者だ。
打ったのもただの魔法ではなく、特殊な上位魔法だ。
にもかかわらず、かすり傷一つ付いていない男にエルフ達は皆呆然とする
「っ!囲め!皆油断するな!」
真っ先に我に返ったミカエルが叫ぶ
その声を聞いた他のエルフ達も気づき、各々杖や武器を構える
「ふむ·····」
今にも魔法の雨が降りそうな緊迫した空気の中で男は·····
『まぁ面倒くさくなったら全部燃やして逃げればいいや····。』
·····余裕だった。
悠長に構えもせず顔には余裕の笑みを浮かべている。
一触即発の雰囲気が漂う
その時、黒い影がノアの顔を狙って高速で飛んできた
·····が、その影は当たる前に掴み取られた。
「ナイフか·····」
周りの木から人影が降ってくる
気付けば俺を囲んでいたエルフの輪を更に囲む様に黒ずくめの集団が周りを覆っていた
「ぬっ、来たか····」
「各々で固まれ!」
エルフ達が焦った様子で杖を構え直す
人数に大差は無いが、黒ずくめの集団は剣を持っている。
魔法使いと剣士がこれだけ近い距離で戦えば魔法使いが勝てるはずない。
「しょうがないなぁ····。」
小さく呟く
そしてその姿が···消えた
「ぐ···がぁ·····」
「な、なにがぁぁ····」
剣を構えていた黒ずくめの男達が次々に吹き飛ばされていく
しばらくして残ったのは相変わらず余裕の微笑みを浮かべる白髪の男だけだった。
驚くエルフ達に向かって男が声をかける
「死体燃やすからどいてくんない?」
「「···はい。」」