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感情通貨

作者: 瓜

 此の世に「感情ゲート」と呼ばれるものが創られたのは、何年前の事だろうか。

 私が物心つく頃には、もうあった。


 これは、冠婚葬祭各種式典といった、人生の節目の会場入り口に現れて、参加者の「感情通貨」の額を確認するのだ。


 例えば、卒業式なら感動と寂しさ。葬式なら悲しみ。結婚式なら喜びや祝福の気持ちといったように、「人生の節目」には相応しい感情がある。

 更に言えば、感情の値段にも相応しい額がある。葬式の悲しみは、誰かに悪口を言われた悲しみよりも大きい。というか、そうあるべきだと思われている。

 持ち合わせた感情の額が、求められる額より小さいものなら「卒業式で泣かないと冷たい人」だなんて言われてしまうのだ。


 そんな人間社会に、ある時、奇妙な話だがーー神とやらが現れた。

 どうやら人格神だったらしい。まあ、そんな事はどうでもいいが。


 彼だか彼女だかは言った。


「人間の、感情の苦しみを軽減して上げよう」と。


 それから、世界中の「人生の節目」に、感情ゲートが設置されるようになったのである。

 何故人生の節目なのかと言えば、人によって感情やテンションに大きな差があるものだから、だそうだ。


 周りの人間に共感も出来ないのに、「共通の感情」に強制参加させられるのは、中々辛いものがある。

 式典など、形だけなら参加も出来ようが、内心までも規範に完璧に合わせるなんていう事は、正直言って無理だ。


 感情ゲートはその点便利である。

 その場で求められるだけの「感情通貨」が支払えない場合、勝手に私達を会場から弾いてくれる。

 冷めた人間が、うざったい御涙頂戴に付き合わされる事はないし、情熱的な人間が、斜に構えた気に食わない連中と同じ場所に鮨詰めにされる事もない。


 それから、私はあまり詳しくないのだが、どうやらこのゲートは、溢れ溢れた感情を「支払わせてくれる」らしい。

 例えば、誰か親しかった人の死に際し、葬式会場に入れる程の「悲しみの通貨」を持っていたとしても、葬式が終わって帰る時には、ゲートが「入場料」として「悲しみ」を持って行ってくれるのだ。

 まあ、早い話が神によって生み出されたカタルシス装置である。効果は絶大だ。


 しかし、一体全体、入場料として取られた感情は、何処に行くのだろうか。

 それをやっと発見したので、こんな思考をしている訳だ。


「感情」は「通貨」だ。取引が出来る。

 くどくど言わずに端的に纏めると、商人が神と取引をし、集められた感情を売買出来るようにしたのである。


 需要はあるのか?どうやらあるらしい。


「他人の感情を体験したい」

「考えを実行に移すための、勇気と慰めが欲しい」

「どうしても忘れたくない感情があるが、自分一人だけのものでは枯渇しそうだ」


 人によって事情は様々だが、こういった人達が感情を買い求めるそうだ。

 その際に支払われた金の行き先は、一般には、詳しく開示されていない。


 …考えるのにも「満足した」な。

 じゃあ、そろそろこの感情も売りに行くか。

終わり方めっちゃ雑!

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