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第6話:欠落した記憶

その後香りをかついで家へ向おうとした時、事情を聞こうと真理香も呼ぼうとするとすでにその姿はなかった。


真理香のことも気にはなるが今は香りの手当ての方が先決だろう。





家へ連れて行き香りの手当てをしてやる。

あちこちに切り傷があり、少し古い傷などもあった。

もしかして真理香からの仕打ちはこれが始めてではなかったのか?

だとしたら自分は・・・

どうしてそんなことにも気づけなかったのか?

自分は一体何をしてたというんだ。

彼女一人守れやしない。

元彼女のことをこんなにも傷つけた。


本当俺はバカだ・・・



『香り・・・早く目覚ましてくれ。ごめんな。俺のせいで・・・こんなに傷作って・・・』


まだ意識を戻さない香りに俺は優しく話しかけた。

もちろん答えは返ってこない。



ふと見ると携帯が光っていた。

真理香からだろうか?

そう思って携帯を開けた。


一通のメールが届いていた。


【新今香りさんと一緒でしょ?二人で部屋で何やってるのかな?今から真理香たんがお邪魔しに行くよ♪】


とても能天気過ぎる内容のメールだった。

二人で部屋で何してるだって?今からお邪魔するだと?

こいつ・・・俺がきちんと言ってやらなければ・・・これは俺の責任なのだから・・・



ピンポーン

ピンポンピンポン


鳴り響くけたたましいチャイム音。

主は誰かなど予想はつく・・・


『真理香・・・』


先ほどと変わりない姿で、それに何処か無邪気な・・・


『お前・・・』

『新の家なんてひさびさだなあ~。一年ぐらい前かな?覚えてる?』

『お前なあ・・・』


俺の言葉を無視続け、いや・・・俺の言葉など聞こえないかのように、まるで自分の世界にでも入り込んでいるかのように彼女はとても無邪気で、夢を見ているかのようだ。


『真理香!』


少し声を張り上げて名を呼ぶと、彼女は俺に気づいたようで肩を震わせた。


『ビックリするじゃない新。どうしたの?』

『どうしたって・・・今日のことで話しがしたい』

『今日のこと?って・・・何の話し?』


こいつはとぼけているのか?

だとしたらたいがいにしろ!

あんなことをしておいて、香りにあんな酷い仕打ちをしておいて・・・


それとも本当に覚えてない?

いや、そんなことはありえないだろう・・・



『何の話しだと?香りのことだ!』

『香りって・・・誰?新のお友達?』


首をかしげながら本当にわからないと言った顔をする真理香。

こいつは頭がどうかしてしまったのか?


『おい・・・こっち来い!』


そんなはずはない。

会った確かめさせてやる!


香りにあんなことをしたんだ。

香りを見てしらんふりできるわけがない!


『ちょっとどうしたの新?何か面白いものでもあるの?』


こいつの無邪気さに段々苛立ちを覚えてくる。

こいつは・・・


どういう神経してやがんだ!



部屋の扉を開け、可哀相な香りの姿を見せる。


『わっ!』


真理香は新鮮な反応をすると心配するかのように香りの体を揺さぶる。


『大丈夫ですか?ねえ新この人どうしたの?』



ここまで来ると演技とは思えない。

こいつ・・・本当どうしてしまったんだ?

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