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第3話:恐怖の前日にも恐怖

家に帰ってから一眠りした俺はマダ冴えない頭のまま、香りにメールをした。

寝ぼけながら、しばらく香りの返信を待っていた。

いつも忙しくても必ず10分以内には返信が来る。

だが、今日は30分経ってもこない・・・

『きっと忙しいか何かだろう』と思った俺は、そのまま夕食を食べに一階へと降りていった。


午後7時

家族そろっての夕食。俺は最初メールが気になっていたが、親父が飯中には携帯禁止命を出しているので、確認することができなかった。


そのうちにメールのことは忘れていき、いつものように家族と夕食の時間を楽しんでいた。


午後7時30分


夕食を食べた俺は、いつものようにリビングでテレビをつけた。

自分の部屋にはテレビがないので、リビングで見るしかないのだ。


そしてメールのこともすっかり忘れ、テレビに見入ること2時間


午後9時30分


母さんが風呂が溜まったことを告げる。

俺は部屋に戻らず、そのまま風呂場へと向かった。


なんとなく疲れた一日な気がした俺は、いつもよりもやけに長く入っていた。


あんまり長く入っているから、親父が心配と、早く上がれ

という感情を込めながら、俺を呼びにきたので

俺はさっさと風呂を出ることにした。


午後10時30分


リビングに戻り、ジュースを飲みながら、またテレビをつける。

親父が風呂からあがるまでの優雅な時間だ。

親父が上がってくると、いつも『早く寝ろ、早寝早起きが一番だ!』親父の口癖だ・・・

いつも思う『ならお前もしろ!』と・・・

大人は子供に言うことは、たいてい自分の出来ていないことだ。

他の親がどうかはしらねえが、うちの親父が良い見本だ。



午後11時


テレビに見入っていると、親父が現れた。

そしてやっぱりいつもの台詞。

「早く寝ろ、早寝早起きが一番だ!」

ついさっきの思い返しを思い出し、口元が緩んでしまう。

「何がおかしい」真剣な顔で見てくる親父・・・また笑いそう・・


その笑いをこらえたまま、俺は二階へと戻った。

扉を開ける前、何かを忘れていたような気と、凄く嫌な予感がし、

さっきまでの口元の緩みが嘘のように、変な気分に陥った。


勘違い、気のせいだ。

そう考えながら、扉を開ける。

暗い部屋に目立つ光、携帯の通知を知らせる光だった。


香りか?


ディスプレイを開けると、メールが2通も入っていた。

一件目は、真理香のメールだった。


内容はこうだ

“明日決着をつけるから、あたしの試合見にきてね。後、このことは誰にも言わないでね♪”


最後に♪のついた楽しそうなメールだった。

だが、内容が理解できん。試合?

あいつ・・・なんかやってたか?


その疑問を抱きながら、今度のメールを見ると、

香りからだった。


その内容は

“助けて”


絵文字のない、SOSメールだった。

ふざけてるのか?と、思ったが、香りがいたずらでこんなメールを送るとも思いがたい。

不審に思った俺は、香りに電話をした。


プルルル・・・

プルルル・・・

プルルル・・・


出ない。


何があった?そんな疑問を抱くと、突然!

冷や汗が出、なんともいいがたい変な気分になった。

自分が倒れそうになる、貧血になったみたい・・・

血の気が引いて、たぶん今の俺はすごく青ざめた顔をしてるに違いない。


思考回路の回らない俺は、メールの意味を考えることもできなかった。

そして、どうしてこうなったのか、考えるのも出来ず、

ただ、倒れないように立つことが、今の俺にできる唯一のことだった。



だが、これが最大の恐怖ではなかった。

明日、もっと俺は恐怖することになるだろう。

一生分の恐怖が訪れてきたかのような、恐怖がやってくる。

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