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泡にならない人魚姫は  作者: 逃した魚
6/6

1日目

ホテルはとても綺麗だった。

綺麗だったし、とても寝心地が良かった。

家よりよく寝れた気がする。


私は朝食バイキングを急いで済ませて、ホテルをチェックアウトし、

集合場所の海へ向かった。


今日は昨日より日差しが強い。

幸いなことに、いつも使っているちょっと高めの日焼け止めが、ホテルの売店に売っていたので、昨日の夜それを購入した。


ホテルを出る前、しっかり塗ったはずなのに、集合場所にたどり着くまでに汗で流れ落ちてしまって全く効力を発揮していないようだ。

肌がヒリヒリしてきた。


10分くらい歩いて、集合場所に到着した。

朝早いのでそんなに人はいなかった。

私は海の家の前のベンチに座ってアルバイトの関係者が来るのを待った。


しばらくすると、日焼けした、いかにも湘南っていう感じの若い男の人がこちらに近づいてきた。

私は少し警戒した。が、その人はライフセーバーのバッチをつけていたので関係者ということがわかり、私はホッとして会釈をした。


「もしかして君がアルバイトの子?」

「はい!そうです!」

「そうだと思った!俺、君の教育係を任されたんだ。あ、蟹谷涼太かにやりょうたっていいます。よろしく!」

「私は貝沢海姫です!よろしくお願いします!」

「おう!なんでも聞いてな!じゃあ早速、諸注意とか、あと、流れとか説明していくから、とりあえずついてきて!」


そう言われついていき、道具室やら更衣室やら、いろんな場所に案内され、仕事内容なども含むて一連の流れを教わった。


「さぁ、早速配置についてもらいたい。海姫ちゃんはあの西側のエリアをお願いしたい。トランシーバーがあるから、何かあったらいつでも連絡して。」

「はい。わかりました。」

「一緒に頑張ろうね!」

そういうと、涼太さんは私の頭を軽くぽんっと叩いて、自分の持ち場に向かって行った。


とっても優しい人だ。

これから1週間、不安が大きかったが、いい人でとても安心した。


今日から頑張っていこう。そう思い、私も持ち場についた。



持ち場に着き、お客さんもだんだんと増えてきた。

私はライフセーバーの資格を18歳の時に取得したものの、実務経験は初めてなので、現場の雰囲気に圧倒されつつある。

私はこれまでにないくらい意識を集中させ、持ち場の様子を慎重に観察した。





あっという間に夕方になった。夕焼けが綺麗で、ついみとれてしまった。

だが、まだ業務は終わっていない。最後までお客さんの安全を確認する。

お客さんがいなくなると、やっと本日の業務が終了した。


今日は海で両親とはぐれ、迷子になってしまった子どもがいたくらいで、命に関わる大きな出来事はなかったので、ひとまず安心だ。


こうして、ライフセーバーのアルバイト無事終了。

よし、職員用宿舎にいって、ご飯食べてお風呂に入って、ゆっくりしよう……と考えていた時、


「今日、新人歓迎会やるから、こっから〇〇駅方向にまっすぐ歩いて15分くらいのところにある居酒屋集合な!」


と、涼太さんから声をかけられてしまった。


私は正直、そういう集まりが好きではない。大学でもそういう飲み会とか合コンとか企画する人がいて、誘われたこともあるが、毎度気が乗らないのと、そういう場に居たくないのもあって、断ってきた。

でも今回は私のために開かれる会だから行かないわけにはいかない。

私はしぶしぶ居酒屋へ向かった。


居酒屋に着くと、既に涼太さんとその他10人くらいの人が入り口で待っていてくれた。


「おー!きたきた!主役の登場だぞー!」


涼太さんはそういうと私の背中を押しながら、店の中に入った。


私はやや戸惑いながらも亮太さんに押されるがまま、店の中に入っていった。

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