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嘘つきゲーム

いつもお読みいただきありがとうございます。今回は言輝と色音のみの登場となっており、二人の性格が少しわかってくると思います。最後までお楽しみください。

 放課後の食堂には、ほとんど人気ひとけがない。居るのは言輝と色音の二人だけ。食堂には調理員さんが片づけをする音と外から聞こえる部活の声が微かに聞こえるのみ。

「気まずい」

 言輝は女の子と二人きりという場面には慣れていない。まして、色音ほどの美少女が相手となると尚更だ。

「年齢=彼女いない歴の俺にはハードル高すぎないか!?こういう時は、まず挨拶だっけ?いきなり本題にはいるのは違うよな」

 言輝は嘘をつくこと以外はほとんど取り柄がない。これといって、特技があるわけでもなく、勉強、スポーツに関してもいたって平凡なのだ。

「あの、そういえば自己紹介まだでしたね。副委員長の音宮言輝です。言葉さんこれからよろしくね」

 この言葉に嘘はないので言輝の顔は少しこわばっていた。

「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。改めまして言葉色音と申します。音宮さんよろしくお願いします」

 言輝は驚いている。自己紹介の時と印象が違い、今の色音は笑顔で言輝と向かい合っているからだ。

「みんなの前で自己紹介というのはどうも苦手で、表情があまり作れなくて…失敗してしまいました」

 色音は少し落ち込んだ様子で苦笑を浮かべてた。確かにあの表情のない顔で自己紹介をされたら、「私に関わるな」と感じた生徒も少なくはないだろう。「これから徐々に馴染んでいけばいいと思うよ。言葉さんの笑顔は、すごく素敵だと思う」

 言輝の言葉にも嘘はない。

「音宮さんはいい方ですね。もしよろしければ、私も名字ではなく名前で呼んでもかまいませんか?委員長さんも名前で呼ばれていたので…」

 色音は少し上目遣いに言輝に提案した。

「大丈夫だよ。じゃあ、俺も色音さんって呼ばせてもらうね」

 美少女に上目遣いでお願いされたら断れる男子はいないだろう。言輝は迷いなく了承した。

「ありがとうございます言輝さん。校舎案内まで付き合っていただき、迷惑じゃなかったですか?用事がある様子でしたけど…」

「ああ、大丈夫だよ。今日、必ずやらないといけない用事でもなかったし」

 空気が変わった気がした。言輝はこの時「しまった!?」と思った。

 この言葉には嘘があった。本来、放課後に用事はない。態度、表情には出ていないが、内心少し焦っていた。嘘がバレたかもしれない相手には慎重に言葉を選ぶ必要があった。

「やっぱり、あなたの言葉は黒いのね…」

「言葉が黒い?何を言ってるの?」

 言輝は言葉の意味を理解することができなかった。今までそんな言葉は聞いたことがない。色音の表情が先ほどとは打って変わり、言輝を観察するような表情に変わっていた。

「私は言葉に色を感じるのです。言葉が黒く見えるのはその言葉に嘘偽りがある証拠。言葉は話す人の込める思いによって色が変わるのです」

「言葉に色を…そんな嘘が僕に通じると?」

 言輝は色音の目を真っ直ぐ見て、焦る様子も見せない。しかし、心の中では凄く動揺している。

「嘘ではないのですが、どうしたら信じていただけるのでしょうか?」

 色音は困った様子でこちらを見ている。でも、どこか楽しんでるようにも見える。

「こんな小さな嘘が何故バレた?言葉に色を感じるなんて、そんな事が本当に…」

 言輝は必死に考えるが明確な答えが出ない。

「私は今まで様々な嘘を聞いてきました。どの嘘も黒色をしていましたが、どこか曇っていました。しかし、言輝さんの嘘は違います。あなたの嘘は真っ黒。どうしてそんなに綺麗な嘘をつけるのですか?」

「それは…」

 言輝のプライドが邪魔をして、この質問には黙る事しかできなかった。


 言輝はしばらくしてから一つの提案をした。「色音さんが本当に言葉に色を感じることができるのなら一つゲームをしようか?」

「ゲーム?」

「そう。お互い今から五つの過去の話をする。その中に幾つ嘘があるか当て合うゲーム。もし、俺が負けたら、色音さんの話を信じよう」

 こんなゲーム本来ならする必要はない。このゲームは、言輝の自己満足でしかないのだ。

「俺の嘘がバレるはずがない…言葉に色を感じるなんてことがあってたまるか!」

 今の言輝の頭にはその事しかない。

「それで信じていただけるのならお受けしましょう」

 そして、勝敗など最初からわかっているやる必要のない"嘘つきゲーム"が始まるのだった。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。言輝は少しプライドが高く女の子の扱いが慣れていない感じで、書かせていただきました。色音は自己紹介でのクールな印象から少し女の子らしい一面も書かせていただきました。楽しんでいただけたなら幸いです。

最後に、どんな内容の感想やレビューでもかまいません。評価をいただけるだけでモチベーション向上につながります!ブックマーク登録もしていただけるとよろしくモチベMAXになります。お願いいたします。

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