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嘘と黒 1

いつもお読みいただきありがとうございます!

なかなか時間が取れず今回は1と2に分けて書こうと思います。言輝と色音の秘密が徐々にわかってくるのでお楽しみに!!

 言輝は"嘘つき"である。

 だか、嘘つきという言葉をかけられたのは母親の最後の言葉だけだった。

 今日という日が来るまでは…

 言輝の嘘はただ口から発せられる言葉だけで成り立っていない。

 人間は嘘をつく時、自然に仕草に出ることが多い。

 例えば、相手の目を合わせなかったり、妙に言葉を強調して話していたり様々である。

 言輝は意識することなくこれらの仕草を抑えることができる。瞳孔の拡大などの些細な動きでも可能なのだ。この力は身につけた訳ではなく、"生まれつき身についていた"という方が妥当だろう。

"すべての言葉が真実であると受け止められる。"

 言輝はこれまで嘘がバレない人生を歩んできたので色音の言葉に動揺を隠せなかった。

 「俺の聞き間違いかもしれない」

 様々な可能性を考えているといつの間にか放課後になっていた。

「言輝くん!校舎の案内行こうか!」

 既に美琴の隣には色音が控えていた。表情は無表情のままなのだが、どこか観察されているような感じがした。

 「そうだね。そろそろ行こうか」

 やけにテンションが高い美琴に疑問が浮かんだが、それ以上にどのタイミングで言輝の言葉が嘘であると感じたのか聞きたくてたまらなかった。

 「一緒に校舎を回っていればチャンスはあるだろう」

 言輝は意を決して二人の後に続くのであった。


 色音は後ろを歩くクラスメイトに興味がわいていた。

 「あんなに綺麗な黒色の言葉は初めて見たわ」

 色音は生まれつき言葉に色を感じる不思議な力を持っていた。初めてそのことを自覚したのは父が亡くなる一年ほど前である。

「パパは色音をおいて何処にも行ったりしないよ」

 父が小学五年生の色音に言った言葉だ。微かに色音はその言葉を黒色に感じていた。

その一年後、父はこの世を去った。末期のがんで余命一年と宣告されていたらしい。

「あの時感じた黒色は、嘘をつくときに見える色だったんだわ」

 色音はこの出来事をきっかけに言葉の色について研究し始めた。

 「これまで見てきた嘘の黒色はお世辞にも綺麗な色ではなかったけれど、彼は違う」

 今では、様々な色の言葉を見てきて、相手がその言葉に込める思いの強さで色の濃淡が変わってくる事もわかっている。しかし、あんなに綺麗な黒色は生まれて初めて見た。

 人が嘘をつく場合、いくら嘘をつくのに慣れていても、どこかで後ろめたさを感じて、淡い黒色になってしまう。父の嘘の時もそれ以外の嘘もすべてそれにあてはまっていた。

「彼は、嘘を嘘だと思っていないのかしら?気になるわ…」

 色音もまた言輝と話すチャンスを伺いながら、校舎案内に臨んでいたのだった。


お読みいただきありがとうございました。今週は少し忙しくうまく物語が書けず申し訳ありません。しかし、土日からは投稿頻度を少しずつ上げていこうと思っております!!これからもよろしくお願いいたします。最後にどんな内容の感想やレビューでかまいません。いただけるだけでモチベーション向上につながります!

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