神様情報を集める!
「とりあえずフロン。この人間の国のどこら辺から来たのかわかるかい?」
まずは情報を集めないとね。情報がなきゃどこにいるかもわからないし。
「えっと私はたぶんグランドル帝国の近くにいたはずです。」
グランドル帝国?ああ神様の知識にあるや。元老院と皇帝の二つが政治の大半を握っている国か。
「となるとこの兵士たちはグランドルの貴族の私兵ってことだね。」
「恐らくそうだと思います。」
グランドル帝国かぁ。だいぶ逃げてきたんだなフロンは。ここからだと目と鼻の先にフリージア王国があるんだけど。
「うーんそしたらグランドル帝国に行くよりも一回近くにある王国に行った方がいいかな。この兵士を連行して叩けば恐らくエルフを奴隷にしているとかそういう情報が出てくるかもしれないし。」
「そういうものなんですか?その私は恥ずかしながらあまり集落から出たことがなくて世の中というものを知らないんです。」
そう申し訳なさそうに謝るフロン。
「それはしょうがないよ。ただ今いきなり帝国に行くのは不味いと思うよ。少なくともエルフを狙って行動したのであれば今行けば法律を捻じ曲げて捕らえに来るかもしれない。君たちをいきなり奴隷にしようとした理由がわからないからね。」
前回の下界のサブカルチャー的に予想すればくだらない自尊心とか見た目がいいエルフを捕らえて売り飛ばし、金にするとか酷い理由な気がするなぁ。
「そうなんですか!?それならば一体どうすれば・・・。」
「だから一度この兵士たちを王国に連行して帝国の様子を探る方がいいと思う。もしかしたらさっきの話を王国の人にもしなきゃいけなくなるかもしれないけど大丈夫?」
辛い話をさせるのはやっぱり嫌だろうしそれならぼくが話してもいいんだけど。
「・・・大丈夫です。そこまでゼロスに甘えるわけにもいかないですから。」
「そっかそれじゃあ王国にこいつらを連行・・・そこの林に隠れている人出てきてもらえるかな?」
いやいや。なんか気配がすんだけど気のせい?誰もいなかったらすごい恥ずかしいんだけど。
ちょっ反応がないんだけど!
「・・・・・・」
いやぁ!フロンさん!そんな冷たい視線で僕を見ないでぇ!
「いやぁまさかバレると思ってなかったわ。」
「!?」
驚くフロンをしり目に唐突に林から一人の男が出てくる。
「俺の名前はシーザだ。フリージア王国のギルドに属してるんだが変な兵士がこの辺りをうろついてるって話があってな。その調査に来たわけだ。」
「それは隠れている理由にはならないよね?隠れて聞くくらいならこの兵士たちの仲間って可能性もあるし。」
そういうとシーザは頭をがりがり搔きながら話始める。
「まいったなぁ。そしたらこのギルドカード見て判断してくんね?」
そういってギルドカードを出す。
やだ。このギルドカードとってもキレイ。
「綺麗な色のカードですね。」
「えっ?それだけ?」
微妙な反応を見せるシーザ。
「ゼロス?このカードってなにか特別なの?」
「いや?ただギルドカードの偽装は出来ないはずだよ。だからこの人は本物のフリージア王国のギルド員みたい。」
それにしてもこのギルドカードの色の感じならたぶんすごく強いんじゃないかな?気配の消し方も普通じゃなかったし。
「マジかあんたら。てかそっちのゼロスとか呼ばれてたな。あんたすげぇ強いだろ。俺の気配に気づいたあたり普通じゃないし、強そうな匂いがぷんぷんするぜ?」
「えっマジで?そんな匂いしてんの?嫌だなぁ消臭剤持ってないんだけど。」
正直フロンにもそんな匂いを漂わせていたのであれば申し訳ない。
「体臭のことじゃねぇよ!?強そうな感覚がする匂いって言ってんの!」
「ああ。そっちか。」
「ねぇゼロス?普通は間違えないと思うんですけど。」
ええ!?もしかして勘違いしてたの僕だけ?恥ずかしいなぁ。
「とりあえず俺はあんたみたいな強い人にうちのギルドに来てほしいんだが?話している限り少し抜けているところはありそうだがそれを補えるものがありそうな感じがする。ギルドカードも持ってるって反応じゃないし傭兵かなんかなんだろ?」
「そう見てくるあなたもよっぽど強いみたいだね。まぁそれはそれとしてギルドに入るのは条件次第かな?今からこの兵士たちを連行するんでしょ?吐いた情報は包み隠さずすべて僕たちに教えてくれるならそのギルドに所属してもいいよ。」
情報を集めなきゃフロンの仲間たちの情報も手に入らないし、できるだけ鮮度の高い情報が欲しい。すでにフロンの仲間たちがどんな状態になってるかわからないし。
「わかった交渉成立だな。とりあえずフリージア王国までこいつらを連れて行くぞ。」
そういって手際よく兵士をスポットの魔法から取り出した縄で縛り、台車のようなものを出しそれに乗せていく。
「ところでシーザ?なんで隠れてたの?ギルドカードを見てギルド員ってことはわかるけど理由は聞いてないよね。」
「そりゃあ隠れるだろ。報告受けて着いてみれば10人以上の兵士が無傷で倒れてるんだ。そんなか会話してる二人なんかみていきなり姿見せるのは危険だと思わないか?」
ふむ言われてみればもっともだ。判断能力も優れてるなぁシーザは。これは強いだけでなくてギルド員としても優秀な人材な感じかなぁ。まぁ第一印象は胡散臭いけど!
「うん。状況をみればそれが普通だね。いやぁ気配隠してるし、タイミング悪く出てきたら間違いなく殴ってたね僕!」
「怖いこというな。強い奴と戦うのはいいが今はそんな気分でもないからな今度手合わせをしてくれや。」
うーん。このスペックの手加減がどんなもんかもう少し実戦で知りたいところだしいいんじゃないかな?この人強そうだから死にはしないでしょ。
「いいよ。五体満足で終われるかはわからないけど。」
「おいちょっと待て。手合わせで五体満足でいられないってどんな手合わせだ。」
ちょっと手が滑れば命が危ない手合わせじゃないかな?
「そういえばフロン。これから王国に向かうわけだけど通行証は持ってる?」
僕は神様スペックだから古今東西どこの通行証でも持ってるけど見たところ荷物もない感じだからなぁ。
だいたい集落をあまり出たことないとも言ってたし。
「持ってないです・・・。」
「シーザ。この子に通行証作ってもらうことってできる?」
「一応銀貨一枚で作ってもらえるんだがな。」
ありゃ結構お高い?この世界って銅貨100枚で銀貨になるんだよね。銀貨100枚で金貨って感じ。白金貨も同様に金貨100枚で同じ価値になるわけだけど、一般人のひと月の収入が銀貨3枚程度だったはず。
「その私そんなにお金も持ってないです・・・。」
その話を聞いて少し考え込むシーザ。
「ゼロスと同様にギルドに入るなら俺がその代金出してやる。こんなところに何も持ってないで兵士に追われてるとかなにやらエルフの嬢ちゃんには事情がありそうだしな。ギルド員になれば大義名分を使って君を守ることが出来ると思うぞ?」
ほほう。この状況でここまで予想が当たっているところを見るとやっぱり凄腕のギルト員とみて間違いないな。
「フロン?僕はこのシーザの言ってることに乗る方が今は賢明だと思う。まずは自分の安全を確保するべきだ。地に足着けないで行動するのは得策ではないからね。大丈夫。いくらこのシーザの見た目が胡散臭くても僕が助けてあげるからさ。」
「お前だいぶ失礼なやつだな。俺からすると村人のような格好しておいて強者の臭いを漂わせてるお前もよっぽど胡散臭いんだが。」
何ィ!この僕が胡散臭いだと!あっでも最初にフロンに僕も信用できないって邪険にされたっけ?そうかぁ僕も胡散臭いのか。
「ゼロスがそういうならそうする。そのよろしくお願いします!」
「ああ。任せとけ。こっちとしてもエルフならすぐにギルドの戦力になれそうって打算もあるけどな。」
シーザはそう言って笑う。
とんとん拍子で話が進むな。とりあえず王都に向かってからフロンとこれからの方針を決めないと。
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森を抜け台車で兵士たちをゴロゴロと運びながら王都に向かう途中。
「そういえばゼロス。あんたなんであんな森にいたんだ?」
「えっなんでって森に居たら悪いの?」
失礼な!僕みたいな人が森にいたって変じゃないじゃないか?
「私もなんでゼロスが森にいたのかは気になります。」
「だってそうだろう?あんな子供でも入れるような森に村人のような格好して、兵士を10人以上もなぎ倒すような奴なんて普通はいないぞ?傭兵だとしたらギルドカードを持ってないのも納得なんだが普通はもう少しなんか装備を持ってるものじゃないか?」
うっやばい。確かにそういわれたらそうだ。私神様でさっき下界に降りてきたんですー。なるほどー。なんて話誰が信じるんだよ!よし。ここは適当に誤魔化そう。
「ちょっと森林浴に行ってただけだよ?」
しまった!最後の方で声が上ずってしまった!天界じゃ嘘なんかつけないもんな。みんな神眼持ってるから心の中までさらけ出してるし、嘘つくような経験なんてあんまりないんだよ・・・。
「ふーん。」
シーザは疑いの目を向けてくる。
「ゼロスも森が好きなんですね!やっぱり森は静かで良いところですから!」
そういって自分たちと同じ感覚を持っているのだと勘違いをしているフロン。
ああ。その純粋な目が今の僕にはすごく痛い!
「ほっほら!持ち物なんて僕もスポットの魔法を使えるから持たなくても問題ないんだよ!」
そういって魔法を使えることをアピールする。
「まぁそれなら必要はないか。ただあんな森でも何が起こるかわからないから服装くらいは考えた方がいいと思うぞ。」
「それもそうだね。今度からは気を付けるよ。」
ふぃー!なんとか誤魔化せたぁ!あぶねぇ!これだから頭が回る人は何かと怖いよ。
「そういえばシーザ。隠れて僕たちの様子伺ってたけどどこまでさっきの話を聞いてたの?」
「ん?そこのフロンの嬢ちゃんに何かあるのはわかるけど、隠れ始めた瞬間にお前にバレたからほとんど何も聞いてないぞ?」
なんだ。少し警戒しすぎてたみたいだな。でも少し勿体ないな。この話を聞かれてたなら遠慮なく巻き込めたんだけど。強そうだし頭回るみたいだしギルド員なら伝手もありそうだしな。
「まぁとりあえず細かい話はギルドに着いてからにしようか。」
そうシーザが言うと王国が見えてきた。あそこがフリージア王国かぁ。結構でかいんだなぁ。
「王国って大きいんですね。私の集落からは考えられない大きさです。」
「まぁ村とかとは規模が違うからね。色んな施設もあるから見て回るのもいいかもしれないよ。この兵士たちが目を覚ますまでは少し観光でもする?」
「でも集落のみんなのことを考えると観光なんてしている場合では・・・。」
まぁそりゃ焦るよね。たぶん結構な人数が捕まっているだろうし。
「そしたら全部解決したら一緒に回ろうか!僕が力を貸すから約束!」
そういって小指を差し出す。
「えっとこれは?」
「指切りっていうんだ。約束をするときにするおまじない。」
「その。たぶん簡単じゃないと思います。集落を全部を包囲できるくらいには敵が多いんですよ?」
「ならどんな手でも使う。僕はやられたらやり返す。理由はどうあれ事情を聞いた以上フロンをこのままにはしておかないよ。」
もう乗りかかった船だよ。絶対に助けるさ。神様として嘘はつかない。約束は絶対だ。
「迷惑をいっぱいかけるかもしれません。それでもいいならよっよろしくお願いします。」
そういって小指を差し出すフロン。
その顔は心なしか嬉しそうである。
「目標はエルフの仲間たちを助け出すこと。それが出来たら一緒に観光しようか。約束だよ?」
「はい!」
そんな約束をし、門の前に着く。
「これはシーザ様!お疲れ様です!」
「おお。お疲れ。なんか変わったこととかあったか?」
そういってシーザは情報をやり取りし始める。
「いえ。特に何も。」
「そうか。こっちは所属不明の兵士の連行とそれに襲われた人たちを保護した。ギルドまで連れていくから通してくれ。あとこの二人に通行証も頼む。代金は俺が持つからさ。」
「わかりました!」
そういって通行証を取りに行き別の門番が門を開ける。
「こちらが通行証です。お二人とも無くしてしまうと再発行にまたお金がかかってしまうので無くさないでくださいね?」
「ありがとう門番さん。」
「ありがとうございます。」
ハハッ。俺の分まで通行証もらっちゃった。残念。僕もう持ってる(笑)。あとでシーザをからかおうか。
「礼ならシーザさんに言ってあげてくれ。俺は仕事をしてるだけなんだからな。」
「いえいえ。社交辞令みたいなものですよ。気にしないでください。」
「あんたなかなか礼儀がしっかりしてるんだな。そっちの兵士に襲われたとか災難だったな。この国ではそういうことはないと思うから楽しんで行ってくれ。そっちのエルフの嬢ちゃんもな。」
この国の門番いい人だなぁ。国の顔だってことを理解してるのかもしれないね。この国への印象がぐっと上がったよ。
「おーいそろそろ行くぞ。」
そうシーザが言ってくる。
「それじゃ門番さんありがとう!」
「あっありがとうございます!」
「おう。それじゃあな。」
うんうん。よかったよかった。この国ならフロンも馴染みやすいだろう。少なくとも最近出来事であんまり人間にいい印象持ってないだろうし。
「さっきの人いい人でしたね。」
「そうだね。」
フロンにもばっちりいい印象を与えたようだ。門番さんグッジョブ!
そんなことを考えながら二人はシーザについていく。
「それにしてもシーザ?なんかすごい門番の人に慕われてたみたいだけど。」
「ああ。それがどうした?」
「いや普通じゃないなと。あのギルドカードもやたら綺麗な色してたし、シーザどう考えても強いし。」
僕の事見て強そうなんて言う人なんて普通居ないよ?だって今は村人の格好だし雰囲気も普通にしてるし。
「てかそれだけわかっててまだわからんのか。やっぱ存外抜けてるんだなゼロス。まぁギルドに行けばわかるさ。」
失敬な。いつもと違って神眼とかないからちょっと人の心が読めなかったりするだけだ!
「ここがこの国のギルドだ。」
そこには前の下界であった学校に近い見たの建物だった。
その中に入る一同。
「お疲れ様ですシーザ様!」
「どうでしたかシーザ様!」
と元気に挨拶してくるギルド員たちが沢山いた。
「シーザ慕われてんのな。」
そのぽつりと言った発言にギルド員が話しかけてくる。
「何言ってるんだあんた?シーザ様はギルド長だぞ?この国のギルドの代表なんだよ。ああ。もしかして知らないってことは新人か?」
げっマジか!どおりでギルドカードはやたら綺麗だし洞察力とかもすごいわけだ。
「ええ。そうなんです。いやー知らなかったです。」
「なら覚えといた方がいいぞ。なんたってあの若さでギルドをまとめる立場にいるんだからな。すごい人だぞ!」
「おーい。そこで何やってんだ?そろそろ行くぞ?」
そこでシーザから呼ばれギルドの奥の部屋で事情の説明から始まった。
「さてまずはもう一度自己紹介から始めよう。俺はシーザ。驚くかもしれんがこの国のギルドを運営している代表だ。」
「ええっ。そうなんですか!?」
フロンはそれを聞いて驚くが僕は驚かないぞ。さっき聞いちゃったからな。
「まぁ僕は色々納得したって感じかな。」
「お前の反応見るとよけい普通とは掛け離れてることを感じさせるな。」
まぁ一応神様ですし。有給の人生縛りプレイ真っ最中だもの。普通ではないよなぁ・・・。
「一応僕たちもシーザ様って呼んだほうがいい?」
「いや。勘弁してくれ。最近色んな奴に様付けで呼ばれて参ってるんだ。ちょっと若くしてギルド長になっただけなんだが。それとお前に様付けで呼ばれるのが気持ち悪いからな。」
「失敬な!人を気持ち悪いって言う君にはシーザざまぁって呼んじゃうぞ?」
「・・・呼んでもいいが、ギルド入ったお前がそんなこと言えば俺の信者に殺されるぞ?」
「普通にシーザって呼ぶことにするよ。」
なんだよ信者って。宗教かよ・・・。
「ああ。フロンの嬢ちゃんもシーザだけで頼む。信用してるなら名前で呼べばいい。」
「わかりました。シーザと呼ばせていただきます。さっきの門番さんも慕ってたのでたぶん信用できると思います。」
「それならいい。」
とりあえずフロンも人間全員が信用できないみたいなことじゃなくてよかった。うん。決めた。シーザも巻き込んじゃおう。ギルマスってことは権力もあるだろうし情報網もあるだろう。なら手伝ってもらった方が早いだろうし。
「それじゃどういう経緯か話せるか?」
「フロン?事情話せる?話せないなら僕がするけど。」
辛いなら無理をしない。僕は辛いことを避けるのは別に悪いことじゃないと思うよ。
「大丈夫です。自分で話します。」
そういってフロンは自分の事情を話す。
その話を聞いたシーザは冗談きついといった顔をする。
「おいおい。この話本当ならやばいぞ。お前たち国ごとの情勢って知ってるか?」
「私は知らないです。」
「僕は多少。」
ごめんなさい!嘘です!僕は神様の知識で今も情報が供給されてます。入ってきた情報によると正直シーザの言った通りこれはやばい。下手すりゃ戦争が始まってもおかしくないよこれ。
「なら嬢ちゃんのために話すぞ。」
そういってシーザは現在の国の情勢を話始めた。




