神様の日常
ブクマありがとうございます!
投稿して四日目でブクマもらえるとは思いませんでした(笑)
元老院の事件から二か月ほどが経った。
僕は今も蟲毒の襲撃に恐怖を覚えながら・・・
「ゼロス君とフロンちゃんはそっちの庭の雑草の駆除お願いね?」
「「ハイ!わかりました!」」
雑草を抜いていた。
どうして僕たちがこんなことをしているのかというとギルドに登録した日に遡る。
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王国ギルド入り口
僕とフロンはシーザに言われたとおりに観光をした次の日にギルドに来ていた。
二人とも帝国の事件でゴタゴタしてこのギルドに入ったのはほんの少しだけだった。
僕に至ってはこの入り口の空間と奥の部屋と牢屋しか入っていない。あれ?これ登録しても行く機会少ないん場所なんじゃない?まぁいいか。とりあえず受付で登録しようか。
「すいません。ギルド登録をしたいんですけど。」
ギルドの受付嬢は笑顔でそれに受け答えしてくれた。
「ハイ!新規の登録ですね?でしたらこちらの用紙に必要事項を書いてきてください。文字は書けますか?代筆も承っていますが?」
へー。このギルドは字を書けない人にそういうサービスもあるんだ。まぁ識字率なんて教育に力を入れている国がなきゃ高くないし、僕みたいによその場所から来る人がいるからそういうことやってるんだろうけど。
「いえ大丈夫です。フロンは?」
「私も集落で読み書きは教えてもらってるから大丈夫。」
「でしたらあちらのテーブルでお書き下さい。」
そういって受付嬢はギルドの隅にあるコーナーを案内してくれた。
「わかりました。行こうかフロン。」
「うん。行こうゼロス。」
「待ってください?今ゼロスとフロンっと言いましたか?」
そういって受付嬢が話しかけてくる。
「はい。言いましたが。何か?」
「いえ。あなたたちがギルド長が褒めてた人たちなんだなと。」
おいおい。僕たちの情報ダダ漏れじゃないか。酒に酔って言いふらしたとかかな?頼むよシーザ。
「呼び止めてすいませんでした。」
「いえいえ。それでは書いてきます。」
僕とフロンはテーブルでおとなしく必要事項を書き始める。
「ねぇゼロス?私たちなんか見られてない?」
「そうだね。すごい注目を浴びている気がする。」
そうさっきから僕たちの方をギルドの人たちがすっごい見てくる。ナニコレ怖い。
僕たちが何をしたってのさ。
「さっさと書いてこの居心地悪さから抜け出そう。」
「そうだね。」
そういって必要事項を書いていくが、ある項目で僕の手が止まる。
・出身
・・・どうしよう。天界なんて書けないよねこれ。うーん。孤児にしてわからないことにしとけばいいかな?そうしよう。そんなことを考えながら全部の必要事項を書き終えた。
「すいません。書き終わりました。」
「ああ。終わりましたか?それではこのギルドのシステムについて説明いたしますがよろしいでしょうか?」
「はい大丈夫です。」
「よろしくお願いします!」
ギルドのシステムか。前の下界であったサブカルチャーと大した変わりはないだろうな。
「まず当ギルドでは必要事項にも書いてもらいましたが命の保証は自己責任です。依頼に失敗した際にも保障といったものは一切致しかねますのでご了承ください。」
「はい。それは大丈夫です。」
「私も大丈夫です。」
それは当然だよね。難易度の高い依頼を受けて死んでしまってそれをいちいち保障なんかしてられないし。
「それで登録した方にはこのギルドカードが配られます。これが自分の身分を表すものにもなりますので無くさないで下さいね?このカードは自分のギルドの身分を示します。色によってそれが分かるようになっています。最初は色がついていないです。そこから昇格していくと赤色、橙色、黄色、緑色、水色、青色、紫色、銀色、金色となります。昇格するには掲示板の依頼を10回以上連続で達成した後試験があるのでそれを受けてもらいます。ここまでは大丈夫ですか?」
「「大丈夫です。」」
二人そろって頷きながら答える。
ギルドカードって色で判断するんだね。それにしてもいちいち試験受けなきゃいけないとか面倒だなぁ。信頼とかそういったもののためなんだろうけど。
「ギルドカードの色によって受けられる依頼は決まります。ギルドカードの色ごとの掲示板に依頼があります。そこに貼ってある依頼しか受けられないので注意してください。もしも大けが等でその色の掲示板の色の依頼が受けられなくなった場合は相談してくださいね?あと掲示板の色が真っ白になっている依頼は危険度の割に報酬が少なかったり、難易度が分からない依頼が多くあります。よほど実力に自信がない限り受けるのは避けた方がいいでしょう。説明は以上です。今説明したことはギルドのルールとしてギルドのいたるところに貼ってあるのでそこで確認してください。それではギルドカードを作るので少々お待ちください。」
そういって受付嬢は先ほど僕たちが書いた用紙を持ってギルドの裏に行った。
「うーんこれがギルドの決まりなんだ。結構沢山あるんだね。」
「しょうがないよ。そうしないと死人が沢山出ちゃうから。」
「そうだね。私も死にたくはないから昇格しないのも手かもしれないね。」
そうかその手があるな。僕は蟲毒に命をずっと狙われてるし、鍛錬する時間が欲しい。お金は帝国で大量にもらったし。よしそうしよう。
「フロン。僕は昇格しないことに決めたよ。」
「えっ!?なんで?」
「お金には困ってないし、僕も死にたくない。蟲毒に命を狙われている今は鍛錬する時間が欲しいからね。」
「そうか。ゼロスは蟲毒のアラクネって人に報告に逃げられたんだったね。」
そうそう。アラクネに体術で負けたの何気にショックだったし、まだこの人形のスペックに合わせた体の動きが出来てないからね。やることは沢山あるよ。
「だったら私も一緒!一緒に鍛錬して強くなる!昇格はいいや。」
「フロンはそれでいいも?僕に合わせなくてもいいんだよ?」
「いいの!今度は私がゼロスを助ける番だよ!」
ホントいい子だ。僕なんだか目から汗が出てきそうだよ。こんな子が世の中に溢れれば戦いとは無縁になるのにな。ホントに有給始まって10日も経たないうちに命狙われるとかどうしてこうなった・・・!
「ならフロンにも手伝ってもらうかな。」
「任せて!」
フロンは笑顔でそういって胸を張りやる気に満ち溢れている。うん。可愛い。
そんな話をしていると受付嬢がギルドカードを持って戻ってきた。
「これがお二人のカードです。ギルド長がお二人のことを期待していました。頑張って昇格してくださいね?」
「えっ?ええ・・・頑張ります。」
変な返事をしてしまった。シーザめ。あんまり辛い依頼なんかしたら蟲毒に狙われてる僕は危ないじゃないか!絶対昇格なんかしてやらないからな!
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そんなことがあって現在までこういった依頼をこなしているわけだ。
そして今回の依頼で50回連続依頼達成だ!やったね!
ちなみに昇格できるようになった途端受付嬢から昇格の話が来たが断った。
何度も昇格しませんかと受付嬢に言われたが断り続け、一か月くらいでシーザと受付嬢が僕たちに切れた。いきなりシーザに殴られたが蟲毒のことを話すと「なるほどな」とシーザが納得。
殴られた分を返せ、ということでその後訓練場で殴り合い。引き分けに終わったがこのことが噂になりギルドでのシーザ信者にめっちゃ雑な扱いを受けるようになった。ホントにいたんだシーザ信者。
フロンは可愛いという部分だけが取り上げられもてなされるが。僕との扱いの差に愕然とするね。
なおそれ以降僕は受付嬢のエリーさんとのみ親しくしている。
そうそう。その頃に人形と僕の魂がなじんだのか神様の知識も使いたいときに使えるようにできるようになった。生きる上で何もかもわかるのはつまらないからこれからは知識も縛っていこうと思う。
えっ?そこまで縛って死にたいのかって?まぁ大丈夫でしょ?
依頼も終わりギルドに戻ってくると手厚くギルドメンバーに迎えられる。
「よう!スケコマシ!今日もフロンちゃん侍らせていいご身分だな!」
「そうだそうだ!フロンちゃんと毎日一緒に依頼受けやがって!」
「お疲れさん二人に飲み物用意しといたぜ?」
そういっていつも通りギルドメンバーは僕に唾を吐く。フロンに見えないようにそんな態度を取るもんだから質が悪い。えっ?フロン?ギルドメンバーにジュース差し出されたジュース飲んでるよ?
ちなみに僕に出された毒々しい飲みものは手が滑ってさっき唾を吐いたギルドメンバーにチョークスリーパーを使いながら無理やり口に入れてやった。手が滑ったんだからしょうがない。
「お帰り名探偵。今日の依頼はどうだった?」
「いつも通り感謝されましたよ。丁寧に雑草を抜いてくれるって。」
エリーさんに僕は名探偵と呼ばれている。なぜなら落とし物の依頼をすべて解決しているからだ。ほとんどが見つからないことが多いのに少しの手掛かりから落とし物を見つけてしまうことからそう呼ばれるようになった。
「これからいつも通り鍛錬?」
「ええ。シーザは今日は忙しいらしいのでちょっと外でやってきます。」
なぜだろう。シーザ信者から呼び捨てにするなよって殺気とエリーににこやかに話してんじゃねーよって殺気がすごい。どうしてこのギルドはここまで僕に治安が悪いのか知りたい。
「それじゃあ気を付けてね。」
「はい。フロン行くよ?」
「うん!今行く!」
そして僕とフロンはギルドを後にする。最後まで僕に殺気が向けられてたことは言うまでもない。絶対あいつらいつかボコボコにしてやるからな!
王国を出て最初にフロンと出会った森の池に身体強化を使って走ってやってきた。この辺りは木々が少なく鍛錬をするにはちょうど良い空き地があるためだ。
「さて。僕は今日新しくできた魔力の使い方を試してみるよ。フロンはどうする?」
「私は弓に魔力の付与の練習をしてるよ。属性までつけれるようにしたらすごく使えると思うんだよね。」
「なるほどね。弓の先に火を着ければ火矢になったりとかできるしね。汎用性は高いよね。」
「でしょ!だから私はそれができるように頑張るよ!」
そういって二人はそれぞれ鍛錬を始める。
フロンは得意な弓を使うスタイルである。魔法も使うため基本的に後衛でそれに伴いできることを模索している。
僕は僕で蟲毒の秘術で魔力の使い方からまだまだできることがあると踏んで色々試している。
武器や拳に魔力を付与と言ったことをする人は多くいるがそればかりで完全に型にはまり新しい魔力の使い方が広まっていない。つまり魔力の使い方次第ではもっと戦いの幅を広げることが可能である。
ちなみにこの二か月で蟲毒の秘術はより精密に使えるようになり、アラクネとの戦いのときにぶっつけ本番で試した自分の位置を偽る魔力の使い方は完璧にした。名前はミラージュとつけた。
そしてもう一つ新しい魔力の使い方が最近出来上がった。
「よし。いっちょやってみようか。」
そうして僕は一度大きくジャンプをし瞬時に魔力をコントロールする。すると足に魔力の塊ができ、それを利用してもう一度ジャンプをする。
「できた!これが瞬時にできるようになったら空中での姿勢制御ができる!」
そうこの魔法は魔力の塊を足に用意して相手の意表を突く動きが出来るのだ。特に相手が空中に居る時にはとてつもない威力を発揮する。
「ん?待てよ?これって防御にも使えるんじゃ?魔力の塊で相手の攻撃に合わせれば使えるんじゃないか?」
ものは試しだな。フロンに攻撃してもらおう。
「フロンー!ちょっと僕に矢を射ってくれないかー?」
ちょっと離れたところで練習していたフロンに声を掛ける。
「そんなことして大丈夫なのー?」
「大丈夫だー!どんとこいー!」
そういうとフロンは弓を引き正確にこちらに矢を射った。
「これでどうだ!」
魔力の塊を集めに展開し弓の直線状に配置する。すると矢は何かにぶつかったかのように減速し僕に当たる前に止まり下に落ちた。
「なにこれ・・・めちゃくちゃ魔力使う・・・。」
魔力を使い矢を止めたはいいものの魔力を凝縮して扱うため必要な魔力も多くなる。魔力を多量に消費したことでゼロスに一気に倦怠感がのしかかり座り込んでしまう。
「大丈夫?ゼロス?」
そこにフロンが心配して戻ってきた。
「ああ。大丈夫。ちょっと魔力を使いすぎて疲れただけだから。」
「さっきの矢を止めたやつ?」
「うん。そう。ちょっと防御に使うにはきついかも。やっぱり足元に使って急な方向転換とかそういったことに使う方がいいかも。フロンも使えるようにしてみる?」
そうフロンは基本的に後衛にいる。上から物を見て矢を使うということができれば戦いの場では役に立つこと間違いなしだろ思う。
「それ私にできるかな?前言ってたけど魔力を凝縮させるって相当コントロール出来なきゃ出来ないよね?」
フロンの言うことはもっともで扱うのは至難である。魔力を凝縮することはできてもそれを固定して足場として使うにはそれだけの難易度が伴う。これは魔力の質を変化させて周りの魔力に同化し姿を消すという秘術をあっさり使えるくらいに魔力のコントロールが長けていないとできないものである。
「うーん。やっぱり難しいか。」
「私は矢に魔力を付与するのでいっぱいいっぱいかな?」
「まぁそれができるようになったらまた色々試してみようか。」
「そうする。確かにそれ使えたら私も戦術の幅が広がると思うよ。」
そうなんだよ。後衛であると意表をつける行動があればそれだけ有利に立ち回れるから惜しいんだよな。まぁ難しいからそのうちでいいか。
「よし。そろそろ日も暮れそうだし帰ろうか!」
「そうだね!今度はシーザも含めて組手でもできればいいね!」
「そうだね。この魔法で度肝抜いてやる・・・!今度こそ引き分けじゃなくて僕が勝つ。」
二人は身体強化をして王国に戻る。
「門番さーん!あーけーてー!」
「その子供っぽい口調はやめろ。お前はいくつだゼロス。」
「さぁ?」
その受け答えに頭を抱える門番さん。このやり取りはいつもの光景である。
「とりあえず通行証だせ。門はすぐ開けてやるから。」
「「はーい!」」
「ホント手のかかる子供だな・・・」
失敬な!僕は神様だぞ!子供なんて年は何千万年以上も前の話だぞ!
そうして二人は門をくぐり借りているマンションの一室に戻ってきた。
「今日も疲れたね。」
「そうだね。それじゃご飯の準備するよ。」
「うん。お願い。」
正直このマンションを借りるときは相当葛藤した。二人同じ部屋で取ろうとしていなかった。しかしフロンがごねたのである。結果二人で一つの部屋を借りることになったのだがフロンには貞操という概念が薄すぎると思う。正直僕は神様だからそんな発情とかしないけどこの子はそういう面が心配だ。悪い人に騙されないようにしないと・・・。
(おーい今大丈夫かー?)
そんなことを考えてたらシーザから念話がきた。
(どうしたんだ?)
(いや。仕事終わったから軽く鍛錬に付き合ってもらおうかと思ってな。)
生憎だが僕はもう魔力を使ってへとへとだ。断ろう。フッ、シーザよ。一日寿命が延びたな。次は引き分けなんて生易しい結果ではなくシーザに負け犬ってレッテルを張り付けるのだ。
(今日は魔力使い果たしてへとへとだからやめとく。)
(そうか。いったい何やったんだ?)
(魔力の使い方を模索してた。)
シーザも自分の魔力を散らすとかできるんだから頑張れば秘術くらいなら使えるとは思うんだけどな。そしたら超厄介だな。僕のミラージュは絶対真似される。
(あー。俺も魔力の扱い模索しなきゃな。やっぱり一人でいいわー。)
(ああ。頑張るといい。仕事に支障出ない程度にねー。)
そういって念話は終了した。その後フロンの作ったご飯を食べてその日は終わった。
そして鍛錬と依頼の日常は終わり、情報を集めた蟲毒の襲来が始まる・・・。
ほのぼのギャグ回。
次回からこの章本番です。




