プロローグ
第二部開幕!
プロット作って自画自賛して満足するところだった(笑)
薄暗く空気がなにやら重苦しい。
その部屋にはいくつかの燭台に火が灯っていて何人かの人間が集まっている。
「今回の報告はこんな感じだぜ?依頼を放棄しなきゃやられちまうし、正直また依頼の邪魔されたらたまらないからな。」
そういったのはゼロスから逃亡したスパイダーことアラクネである。飄飄とした口ぶりで今回の依頼を邪魔したゼロスの事を報告していた。
「あんた依頼を捨ててまで帰ってきてプライドとかない訳?逃げてくるしかできないとかそんな無能はここにいる必要がないと思うんだよね~。」
甲高い女の声が響く。その発言にアラクネと同じように一度戦ったパピルサグがムッとした表情で反論する。
「相対してもいない奴が騒ぐな。そいつは確実に強い。念話で報告を聞いていたから罠を作り待ち構えても簡単に見破りやがった。俺の嫌いなタイプで頭も切れる。」
「それはアンタが頭が回らないからでしょ。頭使わないで罠の魔法ばっかり研究してるからあんたは根暗だのなんだの言われるんでしょーが!」
「随分となめた口を聞いてくれるじゃないか?今から殺ってやろうか?」
パピルサグがそう言い放つと甲高い声で嘲笑していた女は殺気を放ち始める。そしてそれに反応するかのようにパピルサグも殺気を放ち始め、アラクネが報告をしていた時よりも重い空気が部屋を支配し始める。
「やめろ。私はこんなところで幹部同士の戦いは望んでいない。」
殺気を放つ二人を止めたのは威圧感のある一つの声である。その声が響いた瞬間部屋を支配していた殺気が消える。
「「ハッ申し訳ございませんボス!」」
ボスと言われた男は豪華に飾られた椅子から威圧的な声でアラクネに問う。
「アラクネ。お前はこの蟲毒の中でも指折りの暗殺者だ。そんなお前が依頼を諦めるほどのその男。どのように感じた?報告の件を抜きにしてお前の言葉で語ってみよ。」
ボスと呼ばれる男からの問いにアラクネは少し顎に手を当て考える。そしてゼロスを表現するのにこんな言葉を使った。
「不思議・・・ですかね。」
「それはどのようにだ?」
「数回見ただけでわれらの秘術を模倣し、戦った際にその秘術を応用して私を追い込みました。それをぶっつけで試す度胸や、私の糸を見破る頭の冴え、体術の強さ。どれを取っても普通ではないのです。それこそ私よりも若い雰囲気を持っているのに戦い慣れているって感じがしました。私が不思議と感じる点はそういったところでもっと言えば得たいが知れない。」
ゼロスとの戦いから読み取られた情報、読み取った情報を分析しアラクネはゼロスのことをそう例えた。
「なるほどな。」
蟲毒のボスは少し考える素振りをして決断を下した。
「蟲毒はそのゼロスという男を暗殺しようと思う。これからの依頼で何度も邪魔される。そんな予感がする。まずは情報を集めろ。周りの人間関係からそいつの噂まですべてだ。指示はお前たちに任せる。」
「ボス!期限は?」
パピルサグがそう尋ねる。
「期限は定めん。だが、出来るだけ素早くだ。情報を集めた時点で一度報告しろ。そしてそのゼロスの周りにいるものの生死も問わん。何としても始末しろ。わかったな。」
「ハッ!」
その場にいる全員が敬礼をしボスと呼ばれた男は部屋を出ていく。
(665番、666番二人をいつもの部屋に呼べ。)
(ハッ!)
アラクネが念話で蟲毒の下っ端に命じる。
「今回のボスの命令は665番と666番に任そうと思う。」
アラクネがそういうと他の幹部はそれに同意する。
「ああ。あいつらは優秀だからな。もうすぐこの立場にもなれるだろう。」
この立場とは幹部の事である。蟲毒では幹部になるまでは番号で呼ばれ、一定以上の強さと幹部全体からの信頼、ボスの信頼が必要となる。幹部になってそこで初めて名前を与えられるのである。それまでは幹部の下で働き、自分を鍛える。しかし依頼の途中に生き残れない番号も数多くある。特に依頼で失敗すると情報を漏らさないように自害を選ぶことも多い。
「666番はアラクネの部下、665番はパピルサグの部下だっけ?あんたに部下なんて育てられたんだ。」
「殺すぞ・・・。」
甲高い声の女とパピルサグが殺し合いを始めようとしたところでアラクネが止める。
「いい加減にしろお前ら。部下にまでその醜態を見せる気か?」
そういうと部屋にノックの音が響く。
「来たか。入れ。」
アラクネが部屋に入るように促すとドアを開け、二人の青年が入ってきた。
「お前たちに指令だ。先ほどボスから指令が出た。ゼロスという男の素性を665番は探れ。」
665番と呼ばれた青年は黒髪で目が隠れるくらいまで髪が伸びている。身長は平均的だが顔つきはいい。
「ハッ!」
「666番は665番からの情報をもとにゼロスを殺せ。周りにいるやつらの生死は問わん。」
666番と言われた青年は金髪の髪に整った顔立ちに長いマフラーのようなものを巻いている。身長は665番よりも少し高いくらいであった。
「ハッ。」
「665番は早速ことに当たってくれ。666番はそれまで俺と鍛えるぞ。」
そういってアラクネと二人の青年は幹部の部屋を出ていく。
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「アラクネ。今度の奴はどんな奴だ?」
666番がアラクネにそう尋ねる。
「俺が負けた相手だ。体術という面では俺の方が上だったが秘術を応用して俺の目を欺いて生き残りやがった。」
「・・・その割には嬉しそうだ。」
アラクネは笑っていた。
(そう純粋な体術では上だった。魔法を使おうというやつには今まですぐに接近して殺していたのにその素振りを見せずに魔法で勝利をもぎ取った。負けたというのになぜ俺はこんなに嬉しいのだろうな。)
「お前には蟲毒のためにその相手を暗殺しなければならない。そのために俺と戦って生き残ってもらうぞ?」
「・・・望むところだ。」
そう666番は答え細長い杖のような物をスポットから取り出す。
そして二人は命を削る模擬戦を始めた。
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二人は長い時間模擬戦をし、休憩をはさんでいた。
「・・・アラクネは負けて再戦したいとは思わないのか?」
「珍しく饒舌だな?したいさ。俺の底を見せて戦って負けたんだ。次は今以上に強くなってあいつを殺す。」
そう話すアラクネの顔は明るい。暗殺は自分に命令されたわけでもないのにだ。
「・・・なのにその暗殺は俺に任すとはどういうことだ?それに周りの奴の生死を問わないのはなぜだ?この蟲毒は誇りがなくなったのか?」
「質問が多いな・・・。暗殺を任すのはお前が秘術の練度が俺たち幹部よりもうまいからだ。俺が真正面からじゃ勝てなかったからな。」
そう暗殺とは相手にバレないように殺すことである。正攻法でも強いアラクネが勝てないなら別方面から相手を殺すことを模索した結果が666番というわけだった。
「周りの奴の生死を問わないのは暗殺に失敗した場合、それくらいしないと勝てないからだ。それはパピルサグが言ってたことだけどな。今回は誇りなど度外視だな。俺も納得はいかんが。あいつは戦おうと言えば戦うような奴だと思うんだが。」
どうやらアラクネは今回の暗殺のやり方には納得がいってないようだった。彼には彼なりの暗殺の美学があるらしい。
「・・・ならなぜこのやり方を容認した?」
「ボスの命令は絶対だ。これを破れば待っているのは死だけだ。」
蟲毒の内部ではボスの命令は絶対である。それを守れなかった末路をアラクネは知っていた。脱走者を出し、蟲毒のことが噂で広まるようになった事件である。
「・・・どうやら俺の知ってる蟲毒の誇りは落ちたらしい。」
「そうかもな。だが変なことは考えるなよ。」
「・・・」
その言葉に666番は頷く。
その後も二人の模擬戦は続いた。




